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【台風上陸割合20%】今年の台風は多い?|過去10年間の発生・接近・上陸数の比較結果を詳しく解説

栗栖成之防災士ライター
出典:photo AC

台風10号はノロノロと迷走し、全国各地に浸水や土砂災害など甚大な被害を与えました。交通の乱れも酷く東海道新幹線は4日ぶりとなる、本日2日に始発から平常通りの運転です。

また、1日21時にはフィリピンの東の海上で台風11号が発生しましたが、日本への直接的な影響はないとのこと。

ところで今年の台風の発生は多いのか、疑問に感じる方も多いでしょう。そこで、過去10年間の台風と今年を、発生数・接近数・上陸数で比較。また、8月までの接近および上陸数の割合も解析してみました。

過去10年の平均発生数は24.8個!8月までは13.4個

出典:気象庁 台風の発生数から筆者加工
出典:気象庁 台風の発生数から筆者加工

この表は、気象庁が公開している「台風の発生数」を、筆者が独自に加工したものです。

2014~2023年までの、過去10年間における台風の発生件数と、2024年の発生件数を比較できるようにまとめました。

  • 2014~2023年の平均発生数は24.8個
  • 8月までの平均発生数は13.4個
  • 2024年8月までの発生数は10個
  • 過去10年間で最も多い発生数は29個
  • 過去10年では2018・2019年が連続してトップ

発生数一覧からは、上記のことが分かります。現状8月までの発生件数は10個と、平均を下回っています。

しかし、発生件数がトップタイとなる2019年では8月までは12個でしたが、9月以降に17個もの台風が発生しています。

このため、今月以降の発生数によっては、トップに近づくかもしれません。その根拠は、次にお伝えする9月の海面水温にあります。

海水面の温度は2019年のほうが高い

台風が発生する地域の海水面の温度を比較すると、以下のように2019年のほうが全体的な温度は高くなっています。

2019年の台風が9月以降に多く発生していたのは、海水面温度が高かったことが原因といえるでしょう。

しかし、2024年海水面の温度も、27度以上の海域が多いため油断できません。

2019年9月の海水面温度

出典:気象庁 日本近海の月平均海面水温分布図(2019年9月)
出典:気象庁 日本近海の月平均海面水温分布図(2019年9月)

204年9月1日の海水面温度

出典:気象庁 日別海面水温 2024年9月1日
出典:気象庁 日別海面水温 2024年9月1日

日本へ接近した台風を比較!年間平均は11.5個|8月までは7.3個

出典:気象庁 全国への接近数から筆者加工
出典:気象庁 全国への接近数から筆者加工

今度は、日本に接近した台風の数を比較しました。

  • 過去10年間で日本に接近した台風は平均11.5個
  • 8月までに接近した数は平均7.3個
  • 2024年8月までの接近数は6個
  • 接近数は2018年が16個でトップ
  • 発生件数がトップタイの2019年も15個と2位

接近数を一覧で比較すると、上記のことが分かります。2014年に日本に接近した台風は6個と、平均よりも下回っています。

しかし、発生数に対する割合は以下のように約60%と高く、今後も全く油断はできません。

▼発生数に対する接近割合(各年8月まで:「接近数」対「発生数」)

・No1 2021年:8対12=約67%
・No2 2022年:7対11=約64%
・No3 2018年:13対21=約62%
・No4 2024年:6対10=約60%
・No5 2023年:7対12=約58%

この割合から発生件数と接近する台風とは、比例関係でないことが分かります。

特にNo1となっている2021年は、8月までの台風発生数12個と平均よりも少ない数にもかかわらず、接近数は8個となり割合は約67%とトップです。

上陸した台風は2016年の6個がトップ!8月までの今年の上陸割合は約20%

出典:気象庁 台風の上陸数から筆者加工
出典:気象庁 台風の上陸数から筆者加工

最後に、日本に上陸した件数を一覧表にしました。

  • 上陸は7月に発生した台風から発生
  • 過去10年間の台風の上陸数は平均3.5個
  • 8月までの上陸数は平均2.2個
  • 2016年の6個が過去10年間でトップ
  • 発生件数が多かった2018・2019年は5個の台風が上陸

上記の一覧表からは、このようなことが分かります。

2016年の発生件数は26個でしたが、そのうち6個の台風が上陸しトップです。次いで2018・2019年の5個の上陸数となりました。

ここでも、8月までの発生数から見た上陸数の割合を計算してみましょう。

▼発生数に対する上陸割合(各年8月まで「上陸数」対「発生数」)

・No1 2016年:4対11=約36%
・No2 2019年:3対12=約25%
・No3 2024年:2対10=約20%
・No4 2015年:3対16=約19%
・No5 2022年:2対11=約18%

8月までの発生数から見た上陸割合を見ると、2024年は約20%と3位になります。

もちろん、今後9月以降の発生率や上陸数によって、全く異なる結果になる可能性は高いです。ですが、今のところ発生数からみれば、約20%の割合で上陸しているのが現実です。

2024年の台風の接近・上陸の割合は、トップ5にランクインする!

出典:イラストAC
出典:イラストAC

今回は、8月までに台風が発生した数・接近数・上陸数などを、過去10年間の台風情報と比較してみました。

過去10年は年間の数字が分かりますが、2024年は8月までの数字しか分かりません。そこで、過去10年間も8月までの数字で比較しています。

発生数から見た接近数および上陸数の各割合をみると、2024年はトップ5にランクインする、高い数字となっています。

9月も台風シーズンのなかでも多く発生する月ですから、今後の台風に警戒しないといけませんね。

防災士ライター

これまで、洪水・土砂災害・地震・津波・高潮など、あらゆるハザードマップを作成。2017年に防災士とひょうご防災リーダーの資格を取得。2014年からWEBライターとして活躍し、現在では経験と資格を活かしてさまざまなメディアに多ジャンルにて記事を投稿中!

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