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アギーレを感情論でいま解任するのはナンセンス

杉山茂樹スポーツライター

アギーレは今後も、日本代表監督の職にとどまるのか。アジアカップでベスト8に終わったいま、最大の関心事はそれになる。

大きく関わるのは、例の八百長問題だ。しかし、いまはシロかクロか定かでない、疑われているに過ぎない段階。これを解任の決定打とするのは強引。無理がある。人権的にも問題がある。

一方で、成績不振は、解任の理由としてもっともらしいものに見える。大会前、アジアカップ優勝をノルマだとする乱暴な声を多く耳にしたが、これは、彼を解任したがっている人たちのムード作りに見えて仕方がなかった。

ノルマは最大でも決勝進出がいいところ。妥当な線はベスト4。運に恵まれなければ、準々決勝で敗れることもあり得るーーとは、大会前に書いたメルマガの一節だが、いまもこれが順当な見方だと僕は思っている。なので、成績的な面から考えると、合否は、PK負けという不運が絡むので微妙な線になる。結果至上主義者が、解任を求めたとしても不思議はない状況だ。

とはいえ、アギーレは、2018年W杯で好成績を収めるために招かれた人物。協会とも4年契約を交わしている。就任してわずか6ヶ月後に行われたアジアカップの成績で、解任を求めるのは、よほどおかしな采配をした場合に限られる。この人に任せておくと将来がないことがハッキリ見えた場合のみだ。4年契約を結んでいる監督を半年で、切ってしまえば巨額な違約金も発生する。

感情論を封印して検証すべきは、アジアカップで見せたその采配そのものになる。どこがよくて、どこがまずかったか。

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スポーツライター

スポーツライター、スタジアム評論家。静岡県出身。大学卒業後、取材活動をスタート。得意分野はサッカーで、FIFAW杯取材は、プレスパス所有者として2022年カタール大会で11回連続となる。五輪も夏冬併せ9度取材。モットーは「サッカーらしさ」の追求。著書に「ドーハ以後」(文藝春秋)、「4−2−3−1」「バルサ対マンU」(光文社)、「3−4−3」(集英社)、日本サッカー偏差値52(じっぴコンパクト新書)、「『負け』に向き合う勇気」(星海社新書)、「監督図鑑」(廣済堂出版)など。最新刊は、SOCCER GAME EVIDENCE 「36.4%のゴールはサイドから生まれる」(実業之日本社)

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