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【那覇市】「食いしん坊必読、県産野菜をふんだんに使った定食屋さんの遊び心を味わい家族愛を感じよう。」

リトルマスタ文筆家兼音楽家(那覇市)
faidama定食

 大衆食文化の代表である沖縄の定食屋さんというと揚げ物で大皿が埋め尽くされたA定食や、炒め物(チャンプルー)中心のメニューを想像するだろう。食堂faidama(ファイダマとは八重山諸島の言葉で食いしん坊を意味するそうだ)のメニューはいい意味で定食屋さんのイメージを裏切ってくれるし、伝統食の堅苦しさの形式を打ち破り、ある種の革命を起こしている。高江洲ご夫婦2人で切り盛りしているが、そのユニークさの秘訣は、ご主人の経歴を活かした和食ベースの出汁と、香辛料の宝庫である石垣出身の美沙さんによる遊び心満載のデリ、ご主人のお父さんやおじさんが畑で栽培する食材と言える。

 

 家族の愛が料理からも伝わってくる気がして、それも食堂の魅力となっている。ご夫婦のインタビューの機会を得たので、そのユニークさの秘訣に詳しく迫っていこう。

 

 ご主人は那覇出身。東京の日本料理店で勤務されていたとのこと。そのため、メインの料理は和食ベースで、出汁が効いている。カジュアルな割烹というイメージでもある。栄養素は高いが、個性の強い県産食材とのマッチングの妙が、ユニークさの秘訣①だと思う。写真のfaidama定食は旬の食材を使い2週間に一度内容が変わっていくので、たびたび食堂に通うことになる。取材時(2024/11/17)のfaidama定食は、出汁が鰹、昆布、醤油、日本酒、砂糖、具がゴボウ、美らキャロット、オクラ、茄子、チンゲン菜、シイラ(白身魚)、それらを素揚げ後、もしくは直接煮込んでいる。冬瓜に出汁が染みていて美味しいなと感想を述べたら青パパイヤだった、というインタビュアーの失態も白状しておく。出汁の合わせ方の秘訣は教えてもらえるそう。お店で気軽に聞いてくださいとのこと。

出汁で煮込んでいくご主人
出汁で煮込んでいくご主人

料理をサポートするやちむん
料理をサポートするやちむん

メニュー表
メニュー表

faidama定食 魚と野菜の梅煮びたし
faidama定食 魚と野菜の梅煮びたし

 

 美沙さんは、石垣出身。東京の沖縄料理店で働いていたが、スタッフには、若いウチナーンチュ(沖縄の人)が多かったそうだ。ただ若いスタッフが沖縄の食材を知らなくて、例えば、ナーベラ(ヘチマ)の説明をお客さんにする前に若いスタッフにする必要があったそうだ。強い太陽光のもとで育ち、ビタミンや栄養素が豊富な沖縄県産野菜、食材をもっと面白く新しい感覚で楽しんで欲しい、そんなきっかけを作れないか、というのが那覇で食堂を開業する動機の一つとなったとのこと。

 

 遊び心の効いたデリ、がユニークさの秘訣②と言える。八重山特有のスパイス使いが実験的だと思う。ニンジンラペや、紫キャベツといった定番デリの味付けは変わらないが、しりしり(すりおろし)なんかはその時の気分でカレー味だったりもする。八重山諸島ではピィパーズ(ピパーチとも言う。ヒハツモドキ、胡椒のような調味料)をよく使うが、faidamaの料理でも活躍している。じゅーしぃ(炊き込みご飯)にピィパーズの葉っぱを入れたりするが、沖縄本島の人からは月桃(サンニン)が入っているのですか?と質問されたりするそうだ。写真のfaidama定食メインディッシュ中央にも鎮座するが、ヒレザンショウ(山椒の一種、徳之島から八重山諸島にかけて分布)もよく料理に登場する。テイクアウトお弁当にもデリが散りばめられているので、お薦めです。カップデリの持ち帰り購入も可能。

faidama弁当
faidama弁当

 

 食堂を切り盛りするご夫婦を支えているのが、ご主人のお父さんやおじさん。畑をやっている。チチハル(父畑)、オジハル(叔父畑)とネーミングされ、お店でも取れたての野菜、果実を購入出来る。もちろんメニューの食材にもなっている。レモンの木が丸ごとカミキリムシに食い荒らされて枯れる、など無農薬ならではの苦労も多いとのこと。チチハルは糸満市喜屋武にあるが、塩分、ミネラルを多く含む土が特徴で美らキャロットなどを栽培している。パパイヤ、長命草、ローズマリー、ピィパーズ、ライム、レモングラス、ハママーチ、冬瓜、大根、ジャガイモ、タマネギなどを栽培している。オジハルでは、小禄茄子(これはビニールハウスで二毛作)マンゴーなどを栽培している。ここで足りない食材は糸満、南風原、東風平の道の駅や山原から調達しているとのこと。

父畑で獲れたパパイヤ
父畑で獲れたパパイヤ

父畑、美らキャロット
父畑、美らキャロット

 

 日本の伝統文化は、しきたりや格式にがんじがらめとなり、保存継承に四苦八苦しているといったことが往々にして見受けられるが、沖縄では新しい要素を取り込んで、生き生きと生活に根付いているケースも多い。ぬちぐすい(医食同源のこと)を標榜する食文化も、日常生活からかけ離れた食事となり、知識としては継承されているが、身近に感じることができない場合も多く感じる。しかし、食堂faidamaはいとも簡単に、県産食材を遊び心満載で「ぬちぐすい」としてくれるので、頻繁に通ってしまう。

外観1
外観1

外観2
外観2

八重山童歌集
八重山童歌集

香辛料など購入できる
香辛料など購入できる

*基本データ

名称:食堂faidama

住所:沖縄県那覇市松尾2-12-14-1F

電話:098-953-2616

営業時間:11:00-15:00 売り切れ仕舞い 物販/お弁当・総菜の受け渡しは18:00まで営業 月曜火曜水曜 定休 (変更がある場合は、インスタグラムでお知らせします)

公式サイト: https://www.faidama.com/

https://www.instagram.com/shokudou_faidama/

文筆家兼音楽家(那覇市)

音楽アーティストとしての活動の一方、レコード会社A&R⇒音楽ライター⇒インディーレーベル主催⇒CSTV番組プロデューサー⇒キャリア公式携帯サイト運営⇒お笑いコンテンツマーケティング企画⇒行政観光振興事業プロデューサー⇒ドローンショー運営と渡り歩く。

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