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北海道新幹線「並行在来線」、遂に中断のバス転換協議 北海道庁は無策のまま説明責任を放棄するのか!?

鉄道乗蔵鉄道ライター

 北海道新幹線の並行在来線として、北海道庁主導の協議会において廃止の方針が決定された函館本線の長万部―小樽間。日本経済新聞と北海道新聞の報道により、「沿線自治体とバス転換協議を行う並行在来線対策協議会ブロック会議の開催が見通せない」と道庁交通企画課が認めていたことが明らかになった。

 非公開で行われた前回のブロック会議は5月であったが、この時に道は小樽市長からの指摘により「バス事業者との協議ができていないこと」を認めていたが、事態はブロック会議の開催ができないほどに深刻化しているといえる。

機能不全に陥った北海道の交通行政

 背景にあるのはバスドライバー不足だ。北海道内のバス会社は、ドライバー不足を理由にこの10月1日から各地の路線でバス路線の大幅な廃止・減便に踏み切った。大きく注目されたのは、2019年に「攻めの廃線」としてJR石勝線夕張支線の廃止を行った夕張市のバス路線で、鉄道代替バスとして増便された新夕張駅ー旧夕張駅方面の路線を極力維持する形で、夕張市から札幌市方面に向かう広域路線が全廃された。これによって由仁町や長沼町の一部では交通空白地帯となる地域を生むことになり、「攻めの廃線」は4年で交通崩壊をもたらす結果となった。

 道庁は、次回のブロック会議については、バス会社との交渉を行いその進展について、10月から11月の間に沿線自治体に対して報告する予定となっていた。しかし、道内各地でバス路線の廃止・減便が進む現状では、バス会社との交渉を行うことができるはずもなく並行在来線のバス転換議論は中断せざるを得なくなってしまったようだ。北海道の交通行政は完全に機能不全に陥ってしまったと言っても過言ではない。

説明責任放棄の北海道庁

 こうした状況の中で、10月から11月の間に予定していたブロック会議で道庁がどのような説明を行うのかということについて関心を持っていた読者の方も多いことであろう。そうしたことからも、道庁は沿線住民やこの問題に対して関心の高い日本国民に対して、バス会社との交渉の進捗について説明を行う責任がある。道庁の想定したシナリオ通りに事態が進まないからといって「ブロック会議の開催が見通せない」とスケジュール通りのブロック会議の開催をやめ説明責任を放棄する姿勢は問題と言わざるを得ない。

 道庁は、自身の政策決定の失敗を認め、矮小化した目先のコストカットの議論ではなく、新幹線開業の経済効果をいかに地域全体に波及させるのかということを前提とした建設的な議論ができるように政策転換を行うべきではないだろうか。

(了)

鉄道ライター

鉄道に乗りすぎて頭の中が時刻表になりました。日本の鉄道全路線の乗りつぶしに挑戦中です。学生時代はお金がなかったので青春18きっぷで日本列島縦断修行をしてましたが、社会人になってからは新幹線で日本列島縦断修行ができるようになりました。

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