高校2年生は1日平均36.6分…子供達のパソコンやタブレット型端末の利用時間をさぐる
スマートフォンの普及とともに、インターネットへの窓口としての認識がパソコンからスマートフォンに移り、パソコンの必要性を感じない子供が増えている。最初に手に取り、使い慣れた端末がパソコンでは無くスマートフォンであれば、それも仕方が無い話ではある。今回は国立青少年教育振興機構が2018年8月に発表した「青少年の体験活動等に関する実態調査」(※)の報告書の内容から、子供達のパソコンなどに関する利用時間の実情を確認する。
次に示すのはパソコンやタブレット型端末に関して、普段の生活で1日何時間ぐらい利用しているかを尋ねた結果と、その結果をもとに算出した概算平均時間。所有権があるか否かは問われておらず、インターネット接続の是非も問われていない。また自宅内だけでなく学校内での利用も合わせ、単に利用しているか否かのみを聞かれている。
ただし学校教育でパソコンの授業が行われているにもかかわらず「まったく無い」の回答が少なからず存在することから、回答者の認識としては授業内での利用は「普段の生活で利用している」には該当しないものと考えていると見てよいだろう。他方、パソコンとタブレット型端末を同一視した設問には疑問があるが、これは仕方が無い(認識的にはタブレット型端末はスマートフォンとパソコンの中間的な立ち位置であり、OSや操作方法などの観点ではむしろスマートフォン側に属するべきなのだが)。
直近となる2016年度分においては、中学2年生がもっともよくパソコンなどを利用しており、利用者として区切れる人はおおよそ6割。平均利用時間も1日1時間近く。3時間以上利用している人も1割を超えている。スマートフォンと異なり自宅外でのながら利用はほぼ不可能なため、実質的に自宅での利用となるが、学業に従事している中学生で1日3時間以上のパソコンの利用は、かなり長いと認識できる。具体的に何をしているかまでは不明だが、ゲームやソーシャルメディアに勤しんでいるのだろうか。あるいは勉強などでの利用も計上されているのかもしれない。
しかし高校生になると利用時間は大きく減る。利用していない人も6割となる。これはスマートフォンに時間を奪われるからだと思われる。
男女別に見ると、明らかに男子の方が利用時間は長い。これは長時間利用する割合が男子の方が多いだけでなく、「まったく無い」、つまり事実上パソコンにノータッチの人が女子の方が多いのが原因。
高校2年生になると男女差は0.30時間=18.0分にも及ぶ。女子の方がインターネット、デジタル機器に疎いからでは無く、その分女子の方がスマートフォン、恐らくはソーシャルメディアへの注力が大きいのが原因の一つではある。また、男子の方が「テレビやコンピューターゲームなどをしている時間」が長いため、その分パソコンに触れる時間も長くなるのだろう。
1日が24時間しかないのは誰もが同じ。さらに自由な行動を取れる時間はもっと短い。その中で何をするかについて、男女で大きな違いが生じているのは、興味深い話ではある。
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※青少年の体験活動等に関する実態調査
直近年度分は2017年2月から3月にかけて各学校(小学校は1年生から6年生まで各100校ずつ、中学校は2年生対象に150校、高等学校は2年生対象に150校)への調査票発送・返信による回収方式で行われたもので、有効回答数は学校数が879校、子供の回収数が18316件、保護者が15769件。
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