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カタールW杯開幕!! 「自国と森保ジャパンの成績、優勝国は?」韓国記者10人に聞いた展望・予想①

慎武宏ライター/スポーツソウル日本版編集長
欧州で活躍する選手が多いことを韓国記者たちも高く評価していた(写真:森田直樹/アフロスポーツ)

ついに開幕したFIFA(国際サッカー連盟)ワールドカップ2022カタール大会。11月20日(現地時間)に行われた開幕戦(カタール対エクアドル)を皮切りに12月18日の決勝戦まで、世界中が“サッカー”という名の熱気に包まることになるが、隣国・韓国のメディアは今回のワールドカップをどう予想しているか。

そこで一般紙、スポーツ紙、総合ニュースサイト、サッカー専門メディア、フリーランスなど合計10人の記者たちに直撃。取材協力してくれた記者たちはいずれもW杯取材経験があり、『スポーツソウル』などすでに現地カタールに飛んで取材を始めている記者もいる。

そんな彼らに自国・韓国代表と日本代表の成績、決勝戦の対戦カードを予想してもらった。まずは一般紙・スポーツ紙・総合ニュースサイトの記者たちの展望から。

韓国も日本もグループリーグ敗退か

一般紙『中央日報』スポーツ部 ソン・ジフン記者

【グループH予想】

第1戦=ウルグアイ ●0-2 第2戦=ガーナ △1-1 第3戦=ポルトガル ●0-1

1分2敗でグループリーグ敗退

【展望】

韓国はソン・フンミン(トッテナム)というワールドクラスの選手を擁していることが最大の強みであり、相手にとっては要注意事項だった。が、そのソン・フンミンが眼底骨折でベストな状態ではなくなった。どれだけ活躍できるかは未知数で、相手によっては負担減。ソン・フンミンを止めてこそ勝率も高まるのでハードチェックも厭わないだろう。つまり、攻撃面では苦戦を強いられそうだ。そのため守備が重要になるが、守備に慢性的な不安を抱えるのが韓国だ。その不安をどう払拭するか。CBキム・ミンジェ(ナポリ)を中心とした守備陣が、韓国のグループリーグの行方を決めるだろう。

(参考記事:【写真】顔面骨折のソン・フンミンが“バットマン”で登場!黒フェイスガード姿を初披露

【グループE予想】

第1戦=ドイツ ●1-2 第2戦=コスタリカ〇1-0 第3戦=スペイン●1-2

1勝2敗でグループリーグ敗退

【展望】

日本はどんなチームと対戦しても、自分たちの試合テンポを維持できる安定力を持つが、今回ばかりはグループリーグの対戦運が悪い。客観的に見てドイツかスペインのどちらかを抑えて16強入りするのは容易ではないと予想する。ドイツ、スペインとの試合では早い時間に失点せず、できるだけ長く耐えることが必須条件となり、コスタリカ戦でも無失点が勝利の条件となるはず。そういう意味でも、吉田麻也と冨安健洋が率いる守備陣の組織力が問われる試合になるのではないか。

【決勝戦 予想】

ブラジル対フランス(優勝予想はブラジル)

ウルグアイ戦の「変数」次第。日本は鎌田に注目

スポーツ紙『スポーツソウル』サッカー班 キム・ヨンイル記者

【グループH予想】

第1戦=ウルグアイ ●1-2 第2戦=ガーナ 〇1-0 第3戦=ポルトガル △1-1

1勝1敗1敗でグループリーグ突破。16強戦でブラジルに●0-2で敗退

【展望】

守備の不安定さゆえに初戦のウルグアイ戦では苦戦を余儀なくされそうだが、眼底骨折したソン・フンミンの回復具合が思った以上に早く、先発は無理でもジョーカーとしてウルグアイ戦に投入されるのではないかという見方も出てきた。ウルグアイ戦の「変数」がその後の試合にどんな影響をもたらすかが、韓国のポイントになる。また、2戦目のガーナは相手の戦力が不安定でもあるだけに勝っておきたい。ポルトガルは手強い相手だが、韓国は伝統的にW杯グループリーグ最終戦で善戦する傾向にあり、そこに期待を込めて引き分けを予想したい。

【グループE予想】

第1戦=ドイツ●1-2 第2戦=コスタリカ〇1-0 第3戦=スペイン●1-2

1勝2敗でグループリーグ敗退

【展望】

日本の戦力は個々のレベルが高く、年齢やポジション配置などもバランスが取れていると思うが、いかんせん属したグループがよくない。W杯優勝経験国がふたつもある組だ。特にドイツとの試合は厳しくなりそうだが、コスタリカやスペインとは好勝負を展開するのではないか。注目しているのは鎌田大地。今、もっとも欧州で活躍している日本人選手でもある彼が、コスタリカとスペインを相手に核心的な役割を果たすのではないかと予想する。

【決勝戦 予想】

ブラジル対アルゼンチン(優勝予想はアルゼンチン)

「日本は不運なことに相手があまりにも強すぎる」

スポーツ紙『スポ―ツ朝鮮』イギリス駐在 イ・ゴン記者

【グループH 予想】

第1戦=ウルグアイ●1-3 第2戦=ガーナ〇2-0 第3戦=ポルトガル ●0-3

1勝2敗でグループリーグ敗退

【展望】

韓国代表はベント監督のもとで指揮官が標榜するビルドアップ・サッカーを4年間、研磨してきたが、戦力や戦術完成度なども含めた総合力はウルグアイ、ポルトガルを相手にするには役不足であることは否めない。それでも期待選手を挙げるなら、MFファン・インボム(オリンピアコス)。MLS、ロシア、ギリシャと異なるリーグを渡り歩きながら、コンスタントに実力を高めてきた。パス・センスはチームでNO.1だろう。

【グループE 予想】

第1戦=ドイツ ●1-3 第2戦=コスタリカ 〇3-1 第3戦=スペイン ●0-2

1勝2敗でグループリーグ敗退

【展望】

注目しているのは三笘薫。ブライトンでプレーする彼のプレーを何試合か直接見たが、これからの成長がとても楽しみな選手。体調不良などもなく自身の才能を発揮できれば、世界が注目する選手になるのでは。ただ、日本は不運なことに、相手があまりにも強すぎる。欧州組が多数の日本の戦力は過去に例がないほど充実しているように見えるが、16強進出は厳しそうだ。

【決勝戦 予想】

アルゼンチン対ベルギー(優勝予想はアルゼンチン)

ソン・フンミンが完全な状態でも…日本も苦戦必至か

スポーツ・エンタメメディア『OSEN(オーセン)』サッカー担当 ウ・チュンウォン記者

【グループH予想】

第1戦=ウルグアイ ●1-3 第2戦=ガーナ △1-1 第3戦=ポルトガル ●1-3

2敗1分けでグループリーグ敗退

【展望】

もちろん、個人的には韓国の16強進出を強く信じているが、客観的に見て韓国が対戦する国々は手強い相手ばかりだ。サッカー統計サイト『Opta』がスーパーコンピューターによる分析結果を発表したが、グループHの決勝トーナメント進出の確率はポルトガルが82.6%、ウルグアイが62.2%、韓国は29.1%だった(ちなみにガーナは26.1%)。同メディアは「韓国はスターでありアイコンのソン・フンミンが、負傷から回復することを待っている。ソン・フンミンがいなければ、韓国は非常に厳しい状況に置かれることになる」としたが、ソン・フンミンが完璧な状態であっても韓国のグループリーグ突破は確実視できない。

【グループE予想】

第1戦=ドイツ●0-3 第2戦=コスタリカ 〇1-0 第3戦=スペイン ●0-3

1勝2敗でグループリーグ敗退

【展望】

組織力を備えた日本だが、ドイツやスペインとは選手たちのパワーという点で大きな差があり、それは認めざるを得ないところだろう。善戦を期待したいが、苦戦は免れないのではないか。

【決勝戦 予想】

ブラジル対アルゼンチン(優勝予想はブラジル)

「日本の実力に疑う余地はないが、組み分けが悪すぎる」

総合ニュース『MyDaily(マイデイリー)』 サッカー担当 イ・ヒョンホ記者

【グループH予想】

第1戦=ウルグアイ 〇2-1 第2戦=ガーナ △1-1 第3戦=ポルトガル ●1-4

1勝1分1敗でグループリーグ敗退

【展望】

ベント監督のもとで4年。まだまだ課題は多いが、攻撃に関しては完成度が次第に高まっているように見える。得点力がある攻撃陣が多く揃っている印象だ。その中でもソン・フンミンとチョ・ギュソン(全北現代モータース)には期待したい。アジア人初のプレミアリーグ得点王になったソン・フンミンに関しては、ここで詳しく説明することはないだろう。もうひとりのチョ・ギュソンに関して紹介すると、1年前と今とでは完全に見違えるほど急成長した有望株。体格を活かしたポストプレーだけでなく、チャンスメイクや前線からの守備などあらゆるタスクをこなせる万能型CF。新たなストライカー候補として活躍が期待されている。

【グループE予想】

第1戦=ドイツ ●0-2 第2戦=コスタリカ 〇3-1 第3戦=スペイン ●1-2

1勝2敗でグループリーグ敗退

【展望】

日本の実力の高さを疑う余地はない。ただ、組み分けが悪すぎる。文字通り、「死の組」だ。しかも初戦の相手は強豪にして前回ロシア大会で屈辱に塗れたドイツだ。ドイツは日本であろうとなかろうと、並々ならぬ覚悟で今回のカタール大会に臨むだろうし、日本であろうとなかろうと大事な初戦だけに慎重かつ手堅く試合を進めるだろう。そんなドイツを相手に初戦で勝ち点を得るのは簡単ではないはずだ。それでも日本で期待する選手を挙げるなら、久保建英だ。久保のドリブルと左足は期待を抱かせるに十分だ。

【決勝戦 予想】

ブラジル対アルゼンチン(優勝予想はアルゼンチン)

ライター/スポーツソウル日本版編集長

1971年4月16日東京都生まれの在日コリアン3世。早稲田大学・大学院スポーツ科学科修了。著書『ヒディンク・コリアの真実』で02年度ミズノ・スポーツライター賞最優秀賞受賞。著書・訳書に『祖国と母国とフットボール』『パク・チソン自伝』『韓流スターたちの真実』など多数。KFA(韓国サッカー協会)、KLPGA(韓国女子プロゴルフ協会)、Kリーグなどの登録メディア。韓国のスポーツ新聞『スポーツソウル』日本版編集長も務めている。

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