「アンネのビデオ日記」YouTubeで公開:アンネ・フランクが動画で伝える隠れ家の生活
第2次大戦時にナチスドイツがユダヤ人を迫害、約600万人を殺害したホロコースト。そのホロコーストの象徴的な存在が、アンネ・フランク。アンネ・フランクはナチスの迫害を逃れて、オランダのアムステルダムの隠れ家に身を潜めて生活をしていたが、密告によって逮捕され、強制収容所に送られ、戦争が終結する直前に収容所で死亡。隠れ家に隠れていた時の生活や思いを綴った日記が戦後になって発見され、ホロコーストを生き延びることができた父オットー・フランクによって「アンネの日記」として出版。今でも世界中の人々に読み継がれている。
アムステルダムにはアンネ一家らが身を潜めていた家があり、現在でもアンネ・フランクハウスとして世界中から多くの観光客が訪問している。だが最近の新型コロナウィルス感染拡大防止のために、2020年3月から閉じており入ることができない。そのアンネ・フランクハウスではEvery Mediaと提携して、「アンネの日記」の動画版「アンネのビデオ日記(Anne Frank video diary)」を制作し、2020年3月30日からYouTubeで公開している。
「アンネの日記」は今までにも欧米を中心に世界中で舞台やテレビドラマ、映画などに制作されて放映されてきた。今までのテレビや映画などで放映されてきた「アンネの日記」は実際の日記に忠実に描かれてきたが、今回アンネ・フランクハウスが制作した動画は、1940年代のナチス支配下のアムステルダムでアンネ自身がビデオを回して動画を撮影しながら、隠れ家での生活や思いを伝えている構成になっている。「アンネのビデオ日記」は全部で15編で構成。まずは1編と2編が公開された。
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「若い人たちがホロコーストをイメージしやすい」
アンネ・フランクハウスのエグゼクティブ・ディレクターのレオナルド・レオポルド氏は「制作した『アンネのビデオ日記』は一人一人の心に届く内容であり、感じて頂くものがあると思います。従来のアンネの日記のテレビや映画では、実際のアンネ・フランクよりも年上の女性が演じることが多かったですが、今回の動画ではアンネと同世代の少女が動画を撮影しながら、当時の様子を動画で現代の人々に直接的に伝える内容となっています。世界中の若い人たちが『アンネのビデオ日記』を見て、いろいろと感じ取ってもらい、現代社会の反ユダヤ主義や民族憎悪、ヘイトについて深く考えるきっかけになってもらいたいです。若い人たちにとってはアンネの動画は勇気を与えてくれると思います」と語っていた。
またアンネ・フランクの友達だった91歳になるジャクリーン・ヴァン・マアルセン氏は「このビデオ日記に感動しています。カメラで撮影された日記は若い人たちに、アムステルダムでのホロコースト時代のユダヤ人の辛い生活や迫害される気持ちをイメージしやすくしてくれることでしょう。アンネの物語が現代社会に戻って来たようで、ビデオ日記はとても良いと思います」と語っていた。
戦後75年が経ち、ホロコーストの生存者らは高齢化してしまい、当時の様子を伝える人が少なくなってきている。歴史的な遠い話になってしまっているために、欧米やイスラエルではホロコーストの記憶のデジタル化を積極的に進めている。ホログラムで生存者とインタラクティブに会話をしたり、VRで収容所の様子を伝えるなどの取組みが行われている。ネット動画で当時の様子を伝えることも、ホロコーストという歴史の伝達手段の1つで注目されている。2019年には、ホロコーストの当時インスタグラムがあったらという設定で、ホロコースト経験者の実話を元にしたインスタグラムの動画「Eva.storie」が公開された。「アンネのビデオ日記」も、このインスタ動画「Eva.storie」と似ており、アンネが動画を撮影して当時の生活や思いを伝えており、史実にも忠実だ。
▼「アンネのビデオ日記」紹介動画
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