デビュー曲がいきなりYouTubeで世界1位。「Number_i」と「TOBE」の無限の可能性。
1月1日にデビュー曲の配信を開始した「Number_i」が、素晴らしい快挙を成し遂げているのをご存じでしょうか。
その快挙を成し遂げた新曲のタイトルは「GOAT」。
「Greatest Of All Time」のスラングで「史上最高」という意味のある言葉なのですが、その名に恥じない凄いMVになっています。
「Number_i」は、元「King&Prince」のメンバーである平野紫耀さん、神宮寺勇太さん、岸優太さんの3人が、滝沢秀明さんが立ち上げた新会社「TOBE」に移籍して結成された新グループですので、普通のデビュー曲とは位置づけが違う面はあります。
ただ「GOAT」は、従来のいわゆるアイドルグループとは一線を画した本気のラップとダンスをメインにした楽曲になっており、ある意味、世界に向けた3人のデビュー曲と呼ぶのにふさわしい曲と言えます。
3日で1000万再生を達成し、YouTubeの世界1位に
実際、1月1日に配信を開始した「GOAT」は、その中毒性の高い楽曲と完成度の高いMVのインパクトもあり、YouTubeの動画が公開から3日で1000万再生を突破。
参考:「Number_i」デビューシングル「GOAT」配信3日で1000万回再生突破!世界トレンド1位
これは日本の男性アーティストのデビューシングルとしては史上最速の記録になるようですが、話はそこで終わらず、1月3日のYouTubeのMVのデイリーランキングで、なんと日本だけでなくグローバルでも1位を獲得する快挙を成し遂げたのです。
さすがに1月4日のランキングでは16位になったようですが、「GOAT」は他にもiTunesやSpotifyの急上昇チャートなど、日本の様々なチャートでも1位を獲得しており、素晴らしいスタートダッシュを切っていると言えます。
こうした快挙の背景には、TOBEが昨年9月にファンのSNSへの画像や動画の投稿を明確に許容するガイドラインを公開し、ファンが様々な形で楽曲の拡散に貢献できるようになったことなども大きく貢献しているようです。
参考:TOBE、アーティスト画像・動画の使用ガイドライン発表 応援のためのSNS投稿など「著作権侵害を主張いたしません」 NG事項も明記
最初から海外を意識した展開
「Number_i」の3人が「King&Prince」を退所することを発表した際に、「大切にしていることは同じでも、海外での活動をはじめとして、それぞれの目指したい方向が異なることもわかりました。」というコメントが掲載されていたことが、記憶に残っている人も多いはずです。
参考:King & Prince岸優太、平野紫耀、神宮寺勇太が脱退・退所へ「ファンの皆さま、ごめんなさい」
その言葉通りに、今回のデビュー曲「GOAT」は明確に「海外」がメインターゲットとなっています。
楽曲自体もラップ中心で海外を意識した楽曲づくりをしていることが分かりますし、MVに表示されるクレジットやYouTubeの概要欄、そして公式SNSアカウントの投稿も全て英語という徹底ぶり。
もちろん「GOAT」自体の歌詞は日本語パートが多数ある楽曲です。
ただ、母国語を含んだ楽曲であっても、メインのサビが英語中心の楽曲であればアメリカのチャートでも十分ヒットできるというのは、昨年米国の音楽チャートで1位を獲得した「NewJeans」が証明してくれています。
参考:iPhoneコラボに、全米1位。NewJeansが確立した新しい世界ヒットの作り方。
「Number_i」も、そうした最近の海外の音楽市場のトレンドを意識して今回の「GOAT」をリリースしていると考えられるでしょう。
実は、そうした「Number_i」の海外展開に向けた本気ぶりは、プロモーションにも表れています。
なんと、すでにSpotifyと連携して「Tokyo Super Hits」という日本の楽曲のプレイリストの目玉として、屋外広告をニューヨークに展開しているのです。
最初から米国でも聞いてもらうことを意識していることが、良く分かる取り組みと言えると思います。
海外ブランドも「Number_i」に注目
さらに「Number_i」の平野紫耀さんは、1月4日に「ルイ・ヴィトンとパートナーシップを結ぶ」ことになったとインスタグラムに投稿。
参考:平野紫耀、ルイ・ヴィトンとのパートナーシップ締結を報告 バッグ&スーツケースとの自撮りショットに「一生見てられる」
しかも、3月17日には「Number_i」も出演する「TOBE」初のコンサートが、AmazonのPrime Videoで世界同時ライブ配信されることが決まっています。
今回の「GOAT」のリリース前から、ルイ・ヴィトンのような海外ブランドも、Amazonのようなプラットフォーム大手も、「Number_i」や「TOBE」の影響力に注目していたことが良く分かる事例と言えるでしょう。
複数のプラットフォームを活用する「TOBE」の戦略
興味深いのは、今回の「Number_i」のプロモーションにおいても、「TOBE」が一つのプラットフォームに依存するアプローチを取っていない点です。
MVはYouTubeに公開して世界1位を獲得することに成功している一方で、上述したようにSpotifyとも連携し、米国向けのプロモーションも実施しています。
実は「TOBE」は、「Number_i」も出演する「とべばん」というテレビ番組並のスポンサー付きのYouTubeライブを実施したことでも昨年話題になりましたが、それとは別に「TOBEの夏休み。」という番組をABEMAでも展開しています。
さらに、年始には「TOBE HIGH SCHOOL」という縦型動画の番組をTikTokライブで配信したと思ったら、そのアーカイブをTVerでも配信するという、驚きのマルチプラットフォーム戦略をとっているのです。
日本では、いまだに「ユーチューバー」や「インスタグラマー」など、単独のプラットフォームでの活動を前提とした肩書きで呼ばれることが多いですが、海外ではそうしたプラットフォームのユーザーも「クリエイター」と呼ばれ、複数のプラットフォームを組み合わせて活用することが普通になってきています。
「Number_i」と「TOBE」のマルチプラットフォーム戦略は、そうした海外のトレンドを先取りした取り組みと言えるかもしれません。
そういう意味では「Number_i」と「TOBE」にとって、YouTubeでの世界1位獲得というのは、あくまで一つの通過点に過ぎないはず。
彼らの前には文字通り無限の可能性が拡がっていると感じます。
本気で様々なSNSやプラットフォームを組み合わせて使う彼らが、2024年にさらに様々な記録を打ち立ててくれることを楽しみにしたいと思います。