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【森友学園問題】 共産党が暴露した『取扱厳重注意文書』の内容とは?

安積明子政治ジャーナリスト
それは5月28日の参議院予算委員会で暴露された(写真:つのだよしお/アフロ)

『赤旗』編集部ですら入手できなかった極秘文書

 日本共産党の宮本岳志衆議院議員、宮本徹衆議院議員と辰巳孝太郎参議院議員の3名は6月5日に会見を開き、森友学園の国有地取得問題をめぐる2017年9月7日付けの「航空局長と理財局長との意見交換概要」などを公開した。このうち局長間の意見交換に関する文書は5月28日の衆参予算委員会で同党の小池晃書記局長と宮本岳志議員が質問したものだったが、当初はその“現物”は質問者以外には一切渡されず、同党の機関紙の『赤旗』ですらコピーを入手できなかったほどだった。

ゴミ撤去費用をごまかすため、会計検査院を欺く相談

 それほど高く機密扱いされていたのは、極めて森友学園問題の真相に迫る記述があるからだ。この文書は“会計検査院対応”と“国会対応”の2部構成になっており、登場人物は財務省から太田充理財局長と中村稔総務課長、国交省からは蛯名邦晴航空局長と金井昭彦総務課長の4名。そのうち“会計検査院対応”には、いかに会計検査院による検査結果にコミットして、不自然なまでに高額な小学校建設予定地のゴミ撤去費用をごまかそうというのが見てとれる。

 たとえば次のような理財局側の発言だ。

「『総額』を消すことが重要だが、それが難しい場合には、失点を最小限にすることも考えていかなくてはいけない。少なくとも『トン数』は消せないのではないか。『金額』よりも『トン数』のほうがマシ。仮に『総額』が残る場合には、むしろ試算額をたくさん記述させ、いろいろなやり方があるとしておいた方がいい」

 なぜ理財局はこのように数字を操作しようとしたのか。それは取引が公正ではなかったからではないか。公正ではない取引がやむをえなかった一因に、国有地取得を希望していた籠池泰典氏と諄子夫人の強烈な個性が挙げられる。これに関する記述も、以下のように文中に見ることができる。

「国として相手がうるさいので広めに見積もったとも言いづらいかもしれない」(理財局)

「籠池夫妻が相当な人たちだとのイメージが進む中で、そのような答弁をすることについて、気持ちは同感だが……」(理財局)

 籠池夫妻には財務省も国交省も、ほとほと手を焼いていたに違いない。読んでいて思わず笑ってしまった。

文中ににじみ出る不自然な“官邸への配慮”

 しかしながら理財局や航空局が会計検査院を欺こうとした主な理由はやはり、昭恵夫人の存在以外には考えられない。というのも文中には、官邸への過剰な配慮が散見されるからだ。「局長レベルの対応をした後、官邸や与党などに対してどのような対応をしていくか」と航空局が言えば、「検査院に対しては官邸だからといって通用しない。説明していくタイミングも考える必要がある」と理財局が答えている。そして「両局長が官邸をまわっている姿をマスコミに見られるのはよくない。まずは寺岡(官房長官秘書官)を通じて官房長官への対応するのが基本」と理財局は主張しているが、これは森友学園問題が“政権の中枢部”に深く突き刺さった重要問題であるということを十分に認識しているということに他ならない。もし昭恵夫人が“関与”していなかったら、これほどまでに会計検査院への対応に財務省も国交省も神経を使い、手間をかける必要があるだろうか。

太田局長の処分は適切か

 このように考えれば、6月4日に明らかにされた太田理財局長の処分も適当なものだったのか。財務省が同日に公表した「森友学園案件に係る決裁文書の改ざん等に関する調査報告書」によれば、「現在の理財局長」(太田氏)に対する処分は【文書厳重注意】だった。その理由は、「平成29年7月に着任して以降、平成30年3月2日の報道に至るまで、一連の問題行為を全く認識していなかったが、国有地行政の責任者である本省理財局の局長として、この間、配下に問題行為を認識していた職員がおりながら有効な対応を行えず、問題行為の公表が遅れたことの結果責任ま免れない」というもので、「問題について知らなかった」という前提での「不作為」に対する処分になっている。しかし実際には局長就任2か月後には、太田局長は上記のような隠蔽工作に走っている。

 次々とボロが出てくる森友学園問題だが、もういい加減に終止符を打つべきだ。ただし不正を隠蔽することではなく、真実を全て明らかにした上で。

政治ジャーナリスト

兵庫県出身。姫路西高校、慶應義塾大学経済学部卒。国会議員政策担当秘書資格試験に合格後、政策担当秘書として勤務。テレビやラジオに出演の他、「野党共闘(泣)。」「“小池”にはまって、さあ大変!ー希望の党の凋落と突然の代表辞任」(ワニブックスPLUS新書)を執筆。「記者会見」の現場で見た永田町の懲りない人々」(青林堂)に続き、「『新聞記者』という欺瞞ー『国民の代表』発言の意味をあらためて問う」(ワニブックス)が咢堂ブックオブイヤー大賞(メディア部門)を連続受賞。2021年に「新聞・テレビではわからない永田町のリアル」(青林堂)と「眞子内親王の危険な選択」(ビジネス社)を刊行。姫路ふるさと大使。

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