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本田圭佑とパク・チソンの対談がカタールで実現!「韓国と日本が共にグループリーグ突破を」

金明昱スポーツライター
パク・チソンの妻キム・ミンジが自身のインスタグラムで公開した2ショット

 カタール・ワールドカップ(W杯)が開幕し、出場国の元代表選手たちも観戦や解説の仕事などで現地に駆けつけている。そんな中、元日本代表の本田圭佑と元韓国代表のパク・チソンがカタールで出会った。

 本田はABEMAの解説者として、パクは韓国SBSの解説でカタールを訪れており、そのタイミングで対談が実現し、この様子が2日、YouTubeに公開された。

 これはパク・チソンの妻キム・ミンジが自身のYouTubeチャンネル「キム・ミンジのマンドゥラン」で公開したもので約3分、韓国語の字幕付きで編集されたものだが、日本対スペイン戦の前に実現。キム・ミンジは自身のインスタグラムでも「日韓サッカー頂上会談。パク・チソン解説委員と本田圭佑監督が出会いました」と2ショット写真も公開している。

 気になるのは、2人が話した内容だ。通訳がいないなかで会話は当然、英語だ。最初に日韓両国のW杯での状況について話し合った。

 本田が「韓国とポルトガルの試合はどうなると思いますか?」と聞くと、パクはこう答えた。

「とても難しい試合になると思います。ポルトガルがすでにベスト16入りを決めているので、そこまで激しい試合は求めていないと思いますが、フランスのようにメンバーはかなり変わると思います。チュニジアに0-1で敗れたように、そうしたケースも起こりうるので、韓国にとってはいい状況です。しかしメンバーがたくさん変わるとはいえ、レベルは高いので、韓国の選手たちは全力を尽くさないといけません。韓国もベスト16に上がれる状況です」

 次にパク・チソンが「日本はどうですか?」と聞くと、本田はこう答えていた。

「私たちも(スペインに)勝たないといけません。勝てば自力で決勝トーナメントに進めます。スペインも勝ち点が必要です。ルイス・エンリケ監督は、今日の試合を支配するだろうと言っています。なので今日はとても激しく、難しい試合になると思います。ボールポゼッションも20%よりも低くなると思います」

 本田のW杯の解説と分析が、かなり適格だと話題にもなっているが、実際にはスペインが試合を握る展開になった。

 しかし、パク・チソンは日本が初戦でドイツを下した試合を上げ、「ドイツの時もそうでしたよね」と聞くと、本田がこう答えた。

「(ドイツ戦の)前半はとても運が良かった。ドイツが得点チャンスをたくさん外したのはあったと思います」

 次にパク・チソンが「日本とスペインの試合はどうなると思いますか?」と聞いた。本田はこう答えている。

「私がスペイン人でなければ、スペインが勝利すると100%確信しますが、私は日本人なので当然、日本を応援しますし、たぶんスペインを相手に20~30%は(勝利の)可能性があると見ています。無条件に守備を徹底して、カウンターから得点を狙わないといけない」

 パク・チソンからは日本のサッカースタイルについての質問も飛んだ。

パク:「スペインと日本のプレースタイルは似ていますよね?」

本田:「そうです。私たちはそのようなスタイルを追求しています」

パク:「そのようなプレースタイルの相手と戦えば、日本の選手たちは戦いやすいと感じますか?というのも、日本は細かいパスプレーが特徴ですよね」

本田:「その通りです。ただ、森保監督が今大会で選んだ選手は、そうしたスタイルではありません。ボールをキープして、パスをつないでいくスタイルではありません。なので、オプションが多くはありません。100%守備の戦術を使わないといけません。遠藤(保仁)さんや香川(真司)さんがいたときとは、まったく違うスタイルです。当時はボールを保持する必要がありました。スペインが相手ではボールを保持するのは難しい。残念ですがそれが現実です。カウンターしかありません。私はできませんが、彼らは勝つことができます」

 本田の言う通り、日本代表は前線から積極的なプレスでボールを奪い、鋭いカウンターからのゴールで勝利を手にした。

韓国はポルトガルとの“大一番”

 逆に本田からは、韓国の戦い方についての質問があった。

「韓国は守備的な戦い方をしますか?もしくは攻撃的にいきますか?ポゼッションを高める?カウンターで仕掛けますか?」

 するとパクはこう返した。「守備的に試合を進めるでしょう。次のポルトガルが相手ではすごく難しい。それでも自分たちが追及してきたサッカーを展開するでしょう。ただ、守備ラインは以前よりも下げると思います」

 最後は互いにW杯での健闘を称え合った。

本田:「韓国と日本が共に勝てればいいですね」

パク:「一緒にグループリーグを突破すれば、アジア3カ国(豪州も含む)が決勝トーナメントに上がるわけですから。そうなればアジアの国にとってはすごいことになりますからね」

 日本はスペインに勝った。次は韓国の番だ。グループリーグ突破をかけてポルトガルと対戦する。

 2人は最後にスマホの番号を交換し、これから連絡を取り合おうと約束していた。アジアのライバルでもある日本と韓国が共にベスト16入りを果たせれば、さらにW杯は盛り上がりをみせるのは間違いない。

スポーツライター

1977年7月27日生。大阪府出身の在日コリアン3世。朝鮮新報記者時代に社会、スポーツ、平壌での取材など幅広い分野で執筆。その後、編プロなどを経てフリーに。サッカー北朝鮮代表が2010年南アフリカW杯出場を決めたあと、代表チームと関係者を日本のメディアとして初めて平壌で取材することに成功し『Number』に寄稿。11年からは女子プロゴルフトーナメントの取材も開始し、日韓の女子プロと親交を深める。現在はJリーグ、ACL、代表戦と女子ゴルフを中心に週刊誌、専門誌、スポーツ専門サイトなど多媒体に執筆中。

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