年内の日銀によるマイナス金利政策の解除観測が後退した模様、謎の「事情に詳しい複数の関係者」が再登場
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ブルームバーグは11日の夕方に「マイナス金利解除、日銀は今月急ぐ必要ほとんどないとの認識-関係者」との記事を掲載し、これを受けて市場の一部に出ていた19日の金融政策決定会合におけるマイナス金利政策の解除の可能性が後退したとして、ドル円は上昇(円安ドル高)となり、ナイトセッションの債券先物は買われていた。
7日に植田日銀総裁が参院財政金融委員会で、年末から来年にかけて「一段とチャレンジングになる」と述べたと伝わった。この「年末」の部分が意識されて、12月18、19日の金融政策決定会合で正常化に向けた動きがあるのではとの見方も浮上した。
そのなかで、マイナス金利政策の解除もあるのではとの観測も出ていたようである。
たしかに6日の氷見野日銀副総裁の講演の内容からも日銀が正常化に向けて舵を取ろうとしていることがわかる。債券市場参加者や外為市場の参加者の多くは来年前半でのマイナス金利解除の可能性をかなり意識していた。それが早まるのかとの見方も出ていたとみられる。
しかし、あれだけ慎重であった日銀執行部が金融政策の方向転換をすんなり行うことのほうがむしろ考えづらい。しかし、物価や雇用の情勢、海外金利の落ち着き、政治の風向き変化などなどの条件が、やっと方向転換に向けて揃いつつあることも確かで、重い腰を上げようとしている姿勢は感じられた。
それでも「拙速」は嫌っているようでもあり、また短期金融市場を中心にマイナス金利解除の影響も小さいものではないため、ある程度の準備期間も必要との考え方もあったとみられる。
このため、12月19日でのマイナス金利解除の可能性は個人的にもそれほど高いものとは思っていなかった。ただし。やはり日銀の植田総裁のチャレンジング発言も気になるところではある。19日に今後の正常化へのチャレンジに向けた姿勢を示すこともありうるか。
ちなみに今回のブルームバーグには、久しぶりに「事情に詳しい複数の関係者」が登場していた。金融政策を決めるのは審議委員を含めた政策委員であるが、少なくともこの関係者には審議委員は含まれていないと思われる。