【泉佐野市】誰も開店に気づかない「週に一度だけ」の『究極の発酵ランチ』が絶品。築200年の古民家で
令和6年能登半島地震によりお亡くなりになられた方々に心よりお悔やみ申し上げます。被災されたみなさまに心からお見舞い申し上げるとともに、謹んで新年のご挨拶を申し上げます。
ここまで心を込めたら、もうそれは究極の極み。そう言わざるを得ないレストランをご紹介します。
レストランと言っても、料理が振る舞われるのは築200年の古民家。以前の記事でご紹介した「まちば日和」(月イチマーケット)が開催される「くらふとや」(Googleマップ参照)がその舞台です。
【参考記事】
毎回大盛況のわけとは?! 月イチ開催マーケット『まちば日和』(外部リンク)
*次回の「まちば日和」は、1月12日(日)に開催されます。詳細は、まちばの芽公式HP(外部リンク)でご確認ください。
木曜日に咲く。
週に一度「木曜日」だけ開店する発酵料理「ひなたに咲く」。
10月にオープンした同店。宣伝もなく、あまりにもひっそり咲くものだから誰も開店に気づかない様子。それでも噂を聞きつけてか、取材日は数組のお客さんで賑わっていました。
(取材日 2024年12月26日)
発酵料理とは
みなさんは、発酵料理と聞いて何を思い浮かべますか?
身近な発酵食品と言えば、味噌、しょうゆ、漬物、ヨーグルトなどでしょうか。
発酵料理とは、微生物(乳酸菌、酵母、麹菌など)の働きによって食材の成分が分解され、新しい物質が生成されることで味や香りが変化し、栄養価が高まった料理のこと。そのメリットは消化吸収が良いことに加え、「ビタミンやアミノ酸が増え、栄養バランスが良くなる」「善玉菌を増やし、腸内環境を整える」「免疫細胞を活性化し、カラダの抵抗力を高める」など、カラダに良いことづくし。近年の健康ブームで、その注目度も高まってきています。
“発酵”を「咲く」と表現する店主の清水 亜佑美(しみず あゆみ)さん。
麹菌が成長し花のように広がる状態を指す表現と知り、その料理の奥深さを想像します。
清水さんは、中学生の頃から「朝はコップ一杯のお水から」をうたう“健康系女子”。お父様が癌を患ったことをきっかけに“食事で健康をサポートできる”「発酵料理」の魅力にとりつかれます。
献立は月替わり
そんな清水さんが腕を振るう発酵料理の献立は、月替わりで提供されます。
取材にうかがった12月の献立は、「シーフードと大山どりの発酵クリームシチュー~自家製豆乳仕立て~厳選天野米の雑穀おにぎりと発酵野菜サラダセット」1500円(税込)。
乳製品、小麦粉、白砂糖不使用。発酵調味料(柿酢、玉ねぎ麹、塩麹、甘麹)もすべて自家製というこだわりようです。
お料理を待つ間、ふと一息。目に飛び込んでくる光景は、まるで田舎のおばあちゃんの家で見る静寂のよう。夏休み、冬休みには必ず訪れたい、そんな気分にさせられます。
お水はセルフサービス。ストーブの上のやかんのお湯で割って「白湯」にできます。
さりげない気遣いでありながら一番大切なことを教わった気がします。
「からだを冷やさない」。そう、これが健康の基本です。白湯を一口ごくり。からだの傷んだ部分、心の弱った部分にじっくり沁みていきます。ほどなくして、お料理が運ばれてきました。
光景ごと味わう「究極の発酵ランチ」
この光景がまるごとごちそうです。記憶にのこる食体験は、心地よい環境があってこそ。
同店は予約優先制となっており、どの席で食べたいか希望を伝えてみても良いかもしれません。
お日様をいっぱい浴びて育った肉や野菜たち。シーフードやナッツの旨味も加わり、まろやかでコク深い香りを放ちます。
高品質で栄養満点な大豆で知られる北海道産の「美豆(みと)」は、旨味、甘味がしっかりあるのが特徴。豆乳スープは、その「美豆」を使用して手づくりされたもの。「おからの栄養もまるごと食べてほしい」と清水さん。
濃厚な風味と、麹菌による発酵のコクがスープに深みを与えています。
鳥取県の大山山麓で育つ「大山どり」は、抗生物質を使用せず、自然に近い環境で育てられているのが特徴で、肉質がやわらかく鶏本来の旨味が感じられます。
具はほかにも、イカ、エビ、ムール貝、エリンギ、干ししいたけ(パウダー)、ブロッコリー(塩麴蒸し)と盛りだくさん。素材の旨味が溶け出たスープは滋味深く、発酵料理のイメージを覆すほどクセがなくまろやかです。
絶品という言葉ではくくれないほどの奥深さ、ひと口食べると目に涙が滲む、そんなあったかい料理です。
和歌山県かつらぎ町産「天野米」と十五穀米をブレンドし、土鍋で炊きあげたご飯でふんわり握られたおにぎりは、箸を入れるとほろほろと崩れるほど一粒一粒がしっかりしています。そして、お米が甘い! うす塩もいい仕事をしています。さりげなく脇に添えられた紫キャベツとにんじんは、4、5日天日干しにして、乳酸発酵させたもの。乳酸発酵によって、ビタミンB群やアミノ酸などの栄養価が向上し、独特の風味や酸味が生まれるのだそう。わたしは、この漬物ともマリネとも感じられるシャキシャキ野菜が好きすぎて、「ビンに詰めて販売してください!」と思わずリクエストをしてしまいました。ごはんにもパンにもあう、“いいとこどり”の副菜です。
店主は元パティシエ。スイーツも最高
料理があまりにも隅々まで美味しいものだから、スイーツも気になります。
なんと、店主の清水さんは元パティシエ。もう期待しかありません。
「発酵ガトーショコラ」と、12月のドリンクMENU「有機カカオのホットショコラ甘酒」(*)をオーダーしました。
*「有機カカオのホットショコラ甘酒」にお酒は入っていません。12月のドリンクMENU は、1月も引き続き提供されます。
“ショコラ・ショコラ”となってしまったことを心配したけれど、自家製の発酵甘酒に有機カカオをブレンドしたショコラ甘酒は、甘さ控えめでガトーショコラとも相性抜群。飲む点滴とも言われる甘酒をスイーツにしてしまう発想が斬新です。表面に浮かんでいるのはカカオニブ。プチプチとした歯ごたえと香ばしさが良いアクセントとなり、飲むと言うより食べる感覚に近いです。
もうこの時点でからだはじんわりと温まり、すこし汗ばむほどに。
ガトーショコラは、口に入れるとほわほわとした発酵を感じることができます。雪のように降り積もるココナッツが、どこか詩情を感じさせてくれます。生地はしっとりとしていて濃厚。甘さ控えめでありながら、有機カカオがしっかり香るからショコラ感は満点。罪悪感低めのオトナスイーツは、世の女性はきっとみんなうれしいはず。お隣の席のシニアの方も「とても美味しかった」と満足げなご様子でした。
「発酵料理」は子育てに近い?
取材中、何度も「お料理どうですか?」とテーブルを訪ねてくださった清水さん。
わたしには、それが「うちの子たちどうですか?」に聞こえて、育てて(発酵させて)世に送り出す料理は、どこか子育てに近いのかもしれないと感じました。
清水さんは穏やかな雰囲気を持ちながらも、お店を営むかたわら料理教室に通い、「発酵料理」の勉強を続けるというストイックな一面も。「子どもやお年寄り、ご病気の方でも安心して食べられる料理を提供したい」と人々の健康を願う熱いまなざしが印象的でした。
1月も咲く。
1月のひな咲く発酵無添加ランチメニューは、「トマトたっぷり和牛発酵オムハヤシ」です。
自家製の玉ねぎ玄米麹、塩玄米麹、玄米醤油麹などでじっくり煮込んだ有機トマトと黒毛和牛のマリアージュが楽しめる贅沢なひと品。
自家製発酵野菜と季節の果物も添えられる予定です。(新年の営業は1月9日(木)から)
「発酵料理」はクセがあるという印象でしたが「ひなたに咲く」のお料理は、栄養満点でありながら味に妥協を許さない「究極の発酵料理」です。
お正月のごちそうで お疲れの胃腸に、からだにやさしい「発酵料理」はいかがですか?
週に一度、心とからだをリセットする目的で訪れてもいいですね。
おまけの道案内
りんくう北駐車場(無料)から「くらふとや」まで、徒歩で3分ほど。
その道順をご案内します。
① りんくう北駐車場を出て、道路を渡り右へ。黄色いポールのすぐ先を左へ曲がります。
② 突き当りを右へ。
③一つ目の角(電信柱)を左へ。
④ほんの数十秒で「くらふとや」に到着。
【基本情報】
店名:発酵料理「ひなたに咲く」
公式インスタグラム(外部リンク)
住所:泉佐野市春日町9-8(築200年の古民家「くらふとや」内)
営業日時:木曜 11:00~14:00(L.O.13:00)
駐車場:なし(りんくう北駐車場(無料)、または周辺のコインパーキングをご利用ください)
取材協力 発酵料理「ひなたに咲く」店主 清水 亜佑美 様
*発酵料理「ひなたに咲く」さまのご厚意により、撮影用の一部の料理を無償でご提供いただきました。本記事制作にあたってはガイドラインに基づき公平中立に制作しています。
*記事内容は取材当時のものです。
*予約優先制。ご予約はインスタグラムのDMからお願いいたします。