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31歳の誕生日にメジャー初昇格!昨季はマリナーズ解雇後にソーラーパネル販売に従事したオールドルーキー

菊地慶剛スポーツライター/近畿大学・大阪国際大学非常勤講師
ヘッド投手のメジャー昇格を報じる公式サイト(MLB公式サイトより)

【レイズの中継ぎ投手がMLB初昇格】

 レイズはブルージェイズ戦を控えた現地時間の4月23日、ロールスターの入れ替えを発表し、予備ロースターの1人としてキャンプ施設で準備していたルイス・ヘッド投手を昇格させた。

 今回がヘッド投手にとって待ちに待ったメジャー初昇格。しかもこの日は彼の31歳の誕生日だった。MLBにまた新たな“オールドルーキー”が誕生した瞬間だった。

【昨年はマリナーズ解雇後ソーナーパネル販売に従事】

 ヘッド投手はテキサス州立大出身で、2012年のドラフトでクリーブランドから18巡目指名を受け、プロの世界に入った。

 クリーブランドでは3Aまで到達できたもののMLBへ昇格できないまま、2018年シーズン終了後に解雇されると、今度はドジャースと契約。だが故障もあり、ルーキーリーグから3Aまで各レベルに回った末、シーズン終了後に解雇されていた。

 そして昨シーズンはマリナーズと契約していたのだが、新型コロナウイルスの影響でシーズンが中止になり、5月にマイナー選手が大量解雇された際に、彼もその1人になった。

 職を失ったヘッド投手は、アリゾナ州でソーラーパネルの訪問販売業に従事。まずまずの業績も残し、もう野球の世界には戻れないと思っていたらしい。

 ちなみにマイナーリーグの通算成績は、294試合(うち4試合に先発)に登板し、19勝19敗37セーブ26ホールド、防御率3.67と、決してずば抜けたものではなかった。

【厳しい台所事情のレイズリリーフ陣】

 ところが今年に入って、レイズが手を差し延べてくれた。マイナー契約とともに、招待選手としてメジャーキャンプに参加できることになった。

 オープン戦では7試合に登板し、1ホールド、2セーブを記録するなど、防御率1.50、被打率.136と安定した投球を披露している。

 とりあえず3Aへの振り分けが決まっていたのだが、新型コロナウイルスの影響でマイナーの開幕が1ヶ月遅れることになったため、メジャーの予備ロースターとしてキャンプ施設で調整を続けていた。

 一方レイズは開幕からリリーフ陣に負傷者が続出。まだ開幕してから1ヶ月も経過していないのに、ロースターの入れ替えを繰り返している状態だった。

 今回もディエゴ・カスティーヨ投手がコロナ関連故障者リストに入ったことで、ヘッド投手が昇格することになったというわけだ。

 果たしてヘッド投手は、デビュー戦でどんな投球を披露するのだろうか。

 だがメジャー初昇格を喜んでいられるの、ほんの一瞬でしかない。主力リリーフ投手たちが復帰してくるまでに、首脳陣を満足させる投球を披露しなければ、メジャーに残留することはできない。初昇格と同時に厳しいサバイバル競争に身を置いているのだ。

スポーツライター/近畿大学・大阪国際大学非常勤講師

1993年から米国を拠点にライター活動を開始。95年の野茂投手のドジャース入りで本格的なスポーツ取材を始め、20年以上に渡り米国の4大プロスポーツをはじめ様々な競技のスポーツ取材を経験する。また取材を通じて多くの一流アスリートと交流しながらスポーツが持つ魅力、可能性を認識し、社会におけるスポーツが果たすべき役割を研究テーマにする。2017年から日本に拠点を移し取材活動を続ける傍ら、非常勤講師として近畿大学で教壇に立ち大学アスリートを対象にスポーツについて論じる。在米中は取材や個人旅行で全50州に足を運び、各地事情にも精通している。

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