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異例の「真夜中の発射」! 北朝鮮はいつ、どこからでもミサイルを発射できる能力を誇示!

辺真一ジャーナリスト・コリア・レポート編集長
北朝鮮のミサイル(朝鮮中央テレビから)

 北朝鮮は労働党創建日(10月10日)の前夜祭のつもりなのか、9日未明にミサイル2発を発射した。防衛省は2発とも高度100km、飛距離350kmと推定している。

 発射されたミサイルは潜水艦弾道ミサイル(SLBM)の可能性も指摘されているが、ミサイルの種類についてはまだ確定されておらず、韓国では大口径放射砲(多連装ロケット)の可能性が指摘されている。北朝鮮が2019年8月24日と10月31日に発射した大口径放射砲は高度97km、飛距離は370kmと380kmあった。

 日本(防衛省)の発表では2発とも午前1時台(1発目は1時47分、2発目は1時53分)に発射されているが、深夜の発射は最近では極めて異例である。

 過去の例をみても、午前1時台の発射は2014年7月13日午前1時20分に軍事境界線近くの黄海南道・開城から発射された射程500kmのスカッドミサイル(2発)以来1度もない。当時も日曜日だった。

 この時も直前まで6月29日、7月2日、7月9日と北朝鮮はミサイルを連射していた。そして、翌日の14日には金正恩(キム・ジョンウン)総書記が見守る中、38度線に近い南東部から砲撃訓練が実施され、人民軍は日本海に向けロケット弾など計100発余りを発射していた。

 飛距離は3kmから長くて50kmでいずれも北朝鮮の近海に着弾していた。これまた軍事境界線付近での実弾発射訓練は極めて珍しく、韓国側は深刻な軍事挑発と受け止めていた。

 幸いにも北朝鮮の砲弾は韓国海域に着弾しなかったことで大事に至らなかったが、韓国国防部は「一発でも我が海域に着弾すれば、情け容赦なく懲罰する」と北朝鮮に警告を発していた。

 午前2時から3時台の発射も何度かある。

 2014年3月26日には午前2時35分に平安南道・粛川から中距離弾道ミサイル「ノドン」が2発発射されており、2019年8月2日にも午前2時に江原道・永復から大口径放射砲2発が発射されていた。

 しかし、直近の2年間をみると、どんなに早くても午前6時台だった。早朝、それも深夜の発射は奇襲攻撃を前提にしていることは言うまでもない。

 北朝鮮の発射場所も実に多様化している。

 今朝のミサイルの発射場所は韓国合同参謀本部の発表では日本海に面した江原道の文川とのことだが、元山よりも少し北方にあるこの地点からの発射は2020年4月14日の短距離巡航ミサイルを除けば1度もなかった。文川には海軍基地がある。

 北朝鮮のミサイル発射場は確認されただけでも全土に36か所もある。

咸鏡北道に1か所(舞水端)、咸鏡南道に6か所(宣徳、咸州、咸興、端川、新浦、連浦)、江原道に4か所(元山、永復、通川、文川)、中国との国境に近い慈江道に2か所(龍林郡都陽里と無坪里)、平安北道に3か所(亀城、義州、東倉里)、平安南道に14か所(粛川、安州、北倉、南浦、妙香山、平城、順安,三石、介川、順川、宣川、温泉、泰川、陽徳)、黄海北道に2か所(平山と黄州)、黄海南道に4か所(長山串、殷栗、開城、クァイル郡)がある。

 今年8月17日午前8時に平安南道から発射された巡航ミサイルの発射地点について韓国(合同参謀本部)は「温泉から発射された」と発表したが、北朝鮮は2日後に温泉から9km離れた「安州のクムソン橋からだ」と発表し、「発射時間だけでなく、発射地点もひとつまともにわらかないのか」と韓国を揶揄していた。

ジャーナリスト・コリア・レポート編集長

東京生まれ。明治学院大学英文科卒、新聞記者を経て1982年朝鮮問題専門誌「コリア・レポート」創刊。86年 評論家活動。98年ラジオ「アジアニュース」キャスター。03年 沖縄大学客員教授、海上保安庁政策アドバイザー(~15年3月)を歴任。外国人特派員協会、日本ペンクラブ会員。「もしも南北統一したら」(最新著)をはじめ「表裏の朝鮮半島」「韓国人と上手につきあう法」「韓国経済ハンドブック」「北朝鮮100の新常識」「金正恩の北朝鮮と日本」「世界が一目置く日本人」「大統領を殺す国 韓国」「在日の涙」「北朝鮮と日本人」(アントニオ猪木との共著)「真赤な韓国」(武藤正敏元駐韓日本大使との共著)など著書25冊

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