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Bリーグが今季開幕から採用するFIBAの新ルール。知っておきたい最低限の要素は3つ!

青木崇Basketball Writer
昨年に続くルール変更で早急な順応が求められるレフェリー:リオ五輪より(写真:ロイター/アフロ)

 FIBA(国際バスケットボール連盟)は、10月1日より新ルールを導入する。日本ではB1、B2、B3、Wリーグが2018-19シーズン開幕、天皇杯皇后杯がセカンド・ラウンド、学生を含めた国内全体では来年の4月1日から適用。9月7日から3日間行われたアーリーカップは、新ルールの下で行われた国内最初の大会となった。

 筆者はアーリーカップ2018関東で4試合解説の機会をいただいた際、FIBAが発表した英文をチェックし、新ルールが適用される局面でできる限り説明しようと心掛けた。しかし、会場で観戦していたファンの方々からすれば、「どうしてこうなるのか?」と思うシーンが何度かあったことは容易に想像できる。

 JBA審判部からBリーグを通じ、アーリーカップで実況するアナウンサーと解説者にルール改正の文書が届いたのは9月6日の夜。英文の解釈を日本語でわかりやすく訳すことやFIBAとの確認作業など、様々な事情があってなかなか公開できずにいた。とはいえ、Bリーグのレギュラーシーズン開幕の約1か月前、プレシーズンゲームを通じてレフェリーやスコアラーズ・テーブルの方々が新ルールに順応する時間ができたのは、前向きに捉えるべきだろう。JBAから配布された資料に目を通してみると、ファンの方が試合観戦するうえで知っておきたい要素として、以下の3つをリストアップしておきたい。

・24秒ルール(ショットクロック)

 ショットクロックについては、試合の再開が24秒か14秒の違いを把握しなければならない。フロントコートでシューティングでないファウルをもらった場合、14秒未満の場合は14秒にリセット、15秒以上残っていればそのまま。また、バックコートでファウルされた場合は、24秒から再開されることも変更はない。ただし、ファウルやバイオレーションといったデッドボールとなるターンオーバーが発生して攻守交代が起こった場合、インバウンドの場所によってゲーム再開時のショットクロックに違いが出てくる。インバウンドをバックコートから行うのであれば24秒、フロントコートの場合は14秒になるのが今回の変更された点だ。

 もう一つの変更点で重要なのがタイムアウト。4Qと延長の残り2分を切った時にポゼッションを得たチームがタイムアウトをコールすると、今まではフロントコートから24秒で再開されていた。しかし、新ルールではコーチがインバウンドをバックコートかフロントコートのどちらかを選べるようになる一方で、フロントコートを選んだ場合のショットクロックが14秒になる。

 細かくてわかりにくいという方には、ボールを保持するチームが変わった際のインバウンドをバックコートから行う場合が24秒、フロントコートからのときが14秒で試合再開になると覚えておくといいだろう。

・テクニカルファウル

 JBAの資料では変更の理由として、「二重の罰則を避けるとともに、ボールの有無でのバランスを確保するため」と記述している。今までのルールでは、オフェンスを展開しているチームの選手やベンチがテクニカルファウルを取られた場合、相手に1本のフリースローが与えられることに加え、ポゼッションも失って相手ボールで試合再開となっていた。今回の改正によって、オフェンスをしているチームの選手がテクニカルファウルを取られても、ポゼッションを失わずにオフェンスを継続できることとなる。NBAをよく見ている方であれば、あまり違和感はないだろう。

 テクニカルファウルがコールされた際は、相手にフリースロー1本が与えられた後、笛が鳴った時点の状況に戻って試合再開と覚えておけば問題ない。

・インスタントリプレー(IRS:採用はB1のみ)

 リプレーでチェックできる状況が、新たに3つ追加された。

 まずは、ゲームのラスト2分間におけるゴールテンディングとインターフェアランス。コールした後にIRSでの確認が可能になり、その際にブロックショットが正当なものと判断された場合は、ジャンプボールシチュエーションで試合が再開される。しかし、判定を覆すだけの確証がない場合は、コート上でコールされた判定が適用される。

 残る2つはいずれもどの時間帯でもIRSによる確認可能で、ファウルが2Pシュートか3Pシュートに対するものかという微妙なコールと、ファウルをアップグレードやダウングレードする必要があるかといったことが対象。ただし、IRSを使うか否かの権限は、クルーチーフに委ねられている。

 他にもダブルファウル、ファイティング、スローイン、ドリブルに関する変更があったものの、毎試合起こりうるようなものではないため、ここでは説明を省略させてもらった。JBAのサイトで変更内容が公開された際には、一度チェックすることをお勧めしたい(10月2日時点でJBAのサイトにはまだ掲載されていない→10月4日公開)。

 なお、アンスポーツマンライクとテクニカルファウルが1回ずつなどで失格退場処分になった選手やコーチが、次の試合で自動的に出場停止となるBリーグ規定は、多くのファンがご存知だと思う。しかし、今季は試合後のレビューでダウングレードに相当するとJBA審判部が判断し、Bリーグもそれを認めた場合、対象となった選手は次の試合に出場できる。ただし、試合結果と判定は覆らない。レビューの対象が失格退場となった場合のみということは、FIBAルールの変更で知っておきたい要素3つと一緒に、ぜひ覚えてもらえれば幸いである。 

Basketball Writer

群馬県前橋市出身。月刊バスケットボール、HOOPの編集者を務めた後、98年10月からライターとしてアメリカ・ミシガン州を拠点に12年間、NBA、WNBA、NCAA、FIBAワールドカップといった国際大会など様々なバスケットボール・イベントを取材。2011年から地元に戻り、高校生やトップリーグといった国内、NIKE ALL ASIA CAMPといったアジアでの取材機会を増やすなど、幅広く活動している。

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