2022年 天皇賞(春)のみどころ~実力派ステイヤーが揃った一戦
1日、阪神競馬場で天皇賞(春)が行われる。通常、京都競馬場で行われているGIレースだが改装工事中のため異なるコースでの開催となる。クリップのような形状をしている阪神競馬場の芝コースの向こう正面に3200mのスタート地点がある。1周目は外周を大きくまわる外回りで4コーナーから直線にかけて下り坂があるが、ゴール手前から急な上り坂がある。2周目はは内周をまわる内回りで道中は3コーナーまで平坦だが、3コーナー過ぎから緩やかな下り坂があり、その後再びゴール前にある急な坂を通過するという少々トリッキーなコースとなっている。そもそも芝3200mというコースがあまり使われていないので傾向はつかみにくいが、道中は平坦も多くしっかりとスタミナを要求されるコースといえる。
前日17時時点のJRA発表の前日オッズを検証する。
1番人気は前哨戦の阪神大賞典を勝ったディープボンドで2.7倍、2番人気は昨年の菊花賞馬で今年は日経賞も勝っているタイトルホルダーで5.2倍、3番人気は4連勝中のテーオーロイヤルで7.0倍、4番人気はステイヤーズSと阪神大賞典でともに2着を続けているアイアンバローズで8.2倍、5番人気はゴールドシップ産駒で年明けの万葉Sを制しているマカオンドールで9.9倍となっている。いずれも長距離戦での実績が高く崩れない馬たちで、順当なオッズだ。
長距離での堅実さが魅力のディープボンド
ディープボンドは昨年の同コースでの天皇賞(春)で2着にきたあと、フランス遠征を経て年内に有馬記念を走り2着という成績。競馬で走るシーン以外でも"タフさ"をみせており、さらに前哨戦も制したことで安定の有力候補となっている。長距離戦に転じてからは崩れたところをみせないし、3歳時よりもパワフルさを感じさせている。しかも状態も申し分ない。課題は大外の8枠18番。陣営は「スタートが悪い馬ではない。どんな競馬になってもいけると思うから、前向きに考えたい」(大久保龍師)とポジティブに捉えている。当日になりオッズは下がってはいるが、正午現在で2倍は切っていない。オッズのわりに安定した軸馬になるのではないか。
■2022年阪神大賞典(GII) 優勝馬 ディープボンド
タイトルホルダーは外枠からの先行争いに注目
タイトルホルダーも順調そうだが、鍵は先行馬ながら8枠16番に入ったという点だろう。そのあたりは鞍上がしっかりさばいてくれそうだが、同型のアイアンバローズが1枠1番という絶好枠を引いており、どのように先行争いをするのかに注目している。何せ、タイトルホルダーはドゥラメンテ産駒でアイアンバローズはオルフェーヴル産駒。いずれもポテンシャルは高いが少々クセの強い血を受け継いでおり、そのあたりがレースで良いほうに出て粘り強さを見せるのか、はたまた悪いほうに出るのか。とても気になっている。
■2022年日経賞(GII) 優勝馬 タイトルホルダー
■2021年有馬記念(GI) 優勝馬 エフフォーリア (2着ディープボンド 5着 タイトルホルダー)
上昇度ではアイアンバローズに注目
上昇度という点で注目しているのはアイアンバローズだ。角居厩舎時代からずっと担当している上村助手に現在の様子を伺ったところ「明らかに上向いている」とのことだった。
「オルフェーヴル産駒ということもあり気持ちの扱い方がが難しい馬ですが、ポテンシャルの高さはかなり感じていたんです。だから、ゆっくりじっくり育ててきました。
乗り手は何人か変わっていますが、いまはダイワスカーレットやキングカメハメハの調教をつけていた黒野助手が乗っています。乗り始めた当初は手を焼いていた場面もありましたが、最近はしっかり手の内に入れています。」
同型のタイトルホルダーの動きは気になるが、タイトルホルダーのほうが外枠な分、内のアイアンバローズのほうが楽に先行できるのではないか、とも察する。
4連勝中!順調そのものテイオーロイヤル
テーオーロイヤルも順調そのもの。厩舎関係者によれば一戦ごとに確実に上昇しており、まだまだ心身ともに伸びしろを感じるそうだ。まさに「真価が問われる一戦」(横井助手)だが、想像を超えて難なくクリアするシーンも十二分に考えられる。
上位人気馬はどの馬が勝っても不思議ない、と思わせる中で、4枠7番を得たのは有利だ。
■2022年ダイヤモンドS(GIII) 優勝馬 テーオーロイヤル
ヒートオンビートは今回はレースでもメンコ 陣営「ポタジェを感じさせる」
2桁人気以下では友道厩舎のヒートオンビートが気になる。これまでレースではゲート裏でメンコを外していたが、今回は池添騎手の進言もあり
「この距離でより落ち着いて走れるように」とメンコをつけてレースに臨む予定とのことだ。
「これまで勝ちきれないレースが続いていましたが、我々の感覚ではポタジェのような存在。力は確実につけているので、いつ爆発してもおかしくないです」と大江助手。
昨年はワールドプレミアでこのレースを制している陣営だけに、ここまで注意をくばっておきたい。
■2021年天皇賞(春)(GI) 優勝馬 ワールドプレミア