北朝鮮がアフガン問題でついに沈黙破る!2日連続で「対米批判」
北朝鮮が外務省のホームページを通じて20日、21日と2日続けてアフガニスタン問題を巡って米国批判を展開している。
北朝鮮がアフガニスタンの情勢について沈黙を破ったのは一昨日(20日)、外務省のホームページにアフガニスタンの混乱について「米国に責任がある」との記事を載せてからで、昨日も同じような内容の記事を掲載していた。
北朝鮮はこれまで対米批判を控えていた。反米月間(6月25日―7月27日)の最中でも自制していたのに今回はアフガニスタン情勢を持ち出して、米国批判に出た。
北朝鮮は20日の記事では華春瑩・中国外務省報道官の17日の記者会見での発言を引用し、「最近の国際世論はアフガニスタンの現状とこれに関連した米国の責任に大きな注目を寄せている」と、遠回しながら米国を批判。また、「米国の保守メディアも米国のアフガニスタン政策が完全に失敗した」と伝え、バイデン政権は「中国以外の国際社会からも批判されている」と伝えていた。
華報道官は17日の記者会見で「中国はアフガニスタンの人々の意志と選択を尊重する。アフガニスタンではすでに40年以上戦乱が続いており、戦争停止と平和実現は、アフガニスタン国民3000万人余りの一致した声であり、国際社会や地域諸国の共通した期待でもある」と発言していたが、北朝鮮は「米国はアフガニスタンに不安、分裂、一家離散というひどい混乱を残した」との華報道官の発言をクローズアップさせ、「アフガニスタンの現実は米国こそが世界平和の狂乱者、破壊者であり、自らの利益のためならば何も躊躇しない破廉恥な国であることを叙述に見せている」と、米国に批判を浴びせていた。
また、華報道官は「米国はともすれば軍事的に介入し、戦争を事とする政策を誠実に反省し、民主主義と人権の看板の下で他の国の内政に干渉し、他国と地域の平和と安定を破壊する行為を止めるべきである」と、他国の問題への内政干渉を停止するよう求めていたが、常日頃米国から人権侵害国と批判されている北朝鮮はこの部分についても言及するのを忘れなかった。
また、昨日の「中国とロシアがアフガニスタンの事態を招いた米国を辛辣に批判」と題する記事では「米国に対する国際社会の非難が高まっている」としたうえで「米国こそが世界平和と安定を破壊する主犯であり、緊張激化を招く火の元であることを立証している」と断じていた。
この日の記事では王毅外相が16日にブリンケン米国務長官との電話協議で「問題解決のために力と軍事的な手段を使っても問題を増幅するだけだ。この教訓は真摯に受け止めるべきだ」と語った発言を真っ先に紹介したうえで再度、華報道官の「米国はともすれば軍事的に介入し、戦争を事とする政策を誠実に反省し、民主主義と人権の看板の下で他の国の内政に干渉し、他国と地域の平和と安定を破壊する行為を止めるべきである」の発言を引用して、米国に警告を発していた。
また、ザハロワ・ロシア外務省報道官の8月15日の「アフガニスタンでのアメリカの実験プロセスの結果として『2つの勢力の対決』が続いている。世界はアメリカ政府の歴史的実験の結果に驚愕している」との発言も取り上げ、アフガニスタンの現況を招いた張本人が米国であることを強調していた。
北朝鮮外務省の記事はいずれも国際社会のメディア報道を引用した形を取っているが、北朝鮮もアフガニスタンの事態は米国の政策の失敗の結果であることを事実上、表明したことになる。折しも米国のソン・キム北朝鮮担当特別代表が昨日(21日)から3泊4日の日程で韓国を訪問し、韓国側と北朝鮮への対応を協議しているところである。
北朝鮮はタリバンが米軍の支援を受け、アフガンに侵攻した「同盟国」ソ連と戦ったことからタリバン政権を承認していなかったが、2001年の米国のタリバン政権への武力攻撃に対しては「武力行使は正当化できない」と反対しており、それ以降はタリバン勢力には「反米」「反外勢」という共通点から「連帯」を表明していた。
なお、外務省の記事は労働新聞には掲載されておらず、北朝鮮のメディアは22日午前10時現在、アフガニスタンで「政変」が起きたことを国民に知らせていない。