増える高齢者世帯、女性の一人世帯は男性の2.5倍に
高齢化社会の到来と共に問題視されているのが、高齢者がいる世帯の増加。特に不測の事態が生じた時に対応に手間取ることになる高齢者のみの世帯、さらには高齢者一人のみの世帯の増加が危惧されている。そこで厚生労働省が2014年7月に発表した「国民生活基礎調査の概況」の最新データを基に、その現状を確認していくことにする。例えば「高齢者一人身世帯」には男性のみと女性のみの事例が考えられるが、男性と女性ではどちらが多いのだろうか。
今回検証対象となる世帯は「高齢者世帯」と呼ばれているもの。具体的には「65歳以上(高齢者)のみで構成されている、あるいはこれに18歳未満の未婚の者が加わった世帯」を指す。
この「高齢者世帯」の具体的な世帯数推移を示したのが次のグラフ。最新の2013年では、男性独りのみ世帯数が1に対して、女性独りのみ世帯数は2.45、夫婦(共にお年寄り)のみ世帯が3.32の割合となっている。
20年あまりの間(1986年から2013年)に「高齢者世帯数」そのものは4.9倍、男性のみの単独世帯に限れば6.7倍にまで増加している。増加率は男性単独世帯の方が大きいが、絶対数は女性単独世帯の方が2.45倍ほど、407万1000世帯にも及ぶ。これは女性の方が寿命が長いことによるもの。特に「夫婦のみ世帯」で配偶者に先立たれ、単独世帯になる人において、その傾向が強いと容易に想像できる。5年おきに行われる国勢調査の結果(「自分の歳で結婚している人は何%? 未婚・既婚率などをグラフ化してみる(2010年国勢調査反映版))」もそれを裏付けている)。
女性の長寿命を別の視点で確認できるデータを、やはり「国民生活基礎調査の概況」から呈しておく。男女それぞれの高齢者独り世帯における、年齢階層構成比を示したものだが、明らかに男性よりも女性の方が高齢化している。
例えば80歳以上で区切ると、男性は24.2%・女性は38.5%と、10ポイント強の開きがある。独り暮らしの高齢者のうち、男性は4人に1人・女性は5人に2人が80歳以上と数字で表現すると、そのリアルな現実に背筋が凍る思いをする人も少なくあるまい。
高齢者世帯の増加に伴いバリアフリーに関する問題、「買物困難者」に代表される社会生活上のインフラの対応、さらには健康管理など、多種多様な問題が表面化し、トラブルの増加が予想される。各種対策が急務であることはいうまでも無い。
■関連記事: