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NY原油11日:中国景気への危機感、OPEC増産で急反落

小菅努マーケットエッジ株式会社代表取締役/商品アナリスト
(写真:アフロ)

NYMEX原油9月限 前日比1.88ドル安

始値 44.81ドル

高値 45.34ドル

安値 42.69ドル

終値 43.08ドル

中国経済の減速懸念、石油輸出国機構(OPEC)の増産が嫌気され、急反落した。

中国は景気減速への対応で人民元の切り下げに踏み切ったが、これを手掛かりに原油相場を押し上げることには失敗している。中国経済の刺激を目的とした政策対応だが、これによって逆に中国経済の減速に強い危機感が浮上した結果、原油相場は売り反応を示している。中国が本当に7%前後の成長目標を達成できるのか強い不信感があり、工業用素材市況も総じて売り反応を示している。中国に関しては、大規模な財政出動期待なども浮上しているが、通貨安による輸出奨励策の実効性については、疑問視する向きが多い模様だ。

一方、OPEC8月月報が公表されたが、7月の産油量が日量3,151.3万バレルとなり、6月の3,141.2万バレルから10.1万バレル増加していたこともネガティブ。Bloombergは小幅減産を予測していたが、OPEC月報ではイラク、サウジ、アンゴラ、イラン、UAEなどが増産に踏み切ったことが確認されている。サプライズとなるような増産幅ではないが、OPECの産油水準が約3年ぶりの高水準に達したことが、素直に嫌気されている。OPECに関しては、イランのザンギャネ石油相が日量50万バレルの増産を支持したとの報告もあり、今後も積極増産を進めるとの見方が、原油価格の反発余地を限定している。

改めて中国リスクが高まる中、原油安誘導による需給リバランスの必要性は維持されることになる。1ヶ月以上にわたって急落する中、ドル安の持続性によっては50ドル近辺まで戻る可能性はある。ただ、原油高が進行すれば需給リバランスは実現しない以上、3月17日の年初来安値42.63ドル、更には40ドルの節目が打診する流れは維持される見通し。

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マーケットエッジ株式会社代表取締役/商品アナリスト

1976年千葉県生まれ。筑波大学社会学類卒。商品先物会社の営業本部、ニューヨーク事務所駐在、調査部門責任者を経て、2016年にマーケットエッジ株式会社を設立、代表に就任。金融機関、商社、事業法人、メディア向けのレポート配信、講演、執筆などを行う。商品アナリスト。コモディティレポートの配信、寄稿、講演等のお問合せは、下記Official Siteより。

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