Yahoo!ニュース

クラブ、選手、監督…イタリアのファンが考えるミラン不振の責任は?

中村大晃カルチョ・ライター
19日のEL・AEKアテネ戦で引き分けに終わり落胆するミランの選手たち(写真:ロイター/アフロ)

セリエAで3連敗中のミランは、ヴィンチェンツォ・モンテッラ監督が逆風にさらされている。だが、イタリアのサッカーファンは指揮官よりもクラブの責任が大きいとみているようだ。

大型補強による期待と高揚感が消え去り、不振にあえいでいるミラン。イタリアの複数メディアは、メンバーを固定できていないモンテッラ監督を批判し、立場が危うくなりつつあると報じた。

だが、イタリア『ガゼッタ・デッロ・スポルト』は10月21日、1000人を対象としたアンケート(16~18日実施)の結果を公表。「まだ形を見いだせていない監督」よりも、「投資額は大きかったが補強を間違えたクラブ」「期待に見合うパフォーマンスを出せていない選手」の責任を問う声が多かったと伝えた。また、一定数のファンが「多くの変更を理由とする当初の困難というだけで乗り越えられる」と考えている。

2017年10月21日付ガゼッタ・デッロ・スポルト紙参照、筆者作成
2017年10月21日付ガゼッタ・デッロ・スポルト紙参照、筆者作成
2017年10月21日付ガゼッタ・デッロ・スポルト紙参照、筆者作成
2017年10月21日付ガゼッタ・デッロ・スポルト紙参照、筆者作成
2017年10月21日付ガゼッタ・デッロ・スポルト紙参照、筆者作成
2017年10月21日付ガゼッタ・デッロ・スポルト紙参照、筆者作成

『ガゼッタ』によると、9月末の同様のアンケートと比べ、全体では選手の責任を問う声が19%から29%と跳ね上がっている。「クラブ」は27%から29%と微増。「監督」は17%から15%と減っている。また、「時間の問題」という回答も、37%から27%と大きくダウンした。データを見る限り、イタリアのサッカー好きは、ミランの問題点がクラブの補強戦略と選手たちとみているようだ。

ただ、ミラニスタ(ミランサポーター)に限定すると、数字が変わってくる。「時間の問題」が41%から32%に下がったのは全体と同じ傾向だが、「クラブ」が10%から23%と大幅増。また、「監督が25%から27%に微増と、モンテッラ監督の責任を問う声が一番大きいという。

いずれにしても、興味深いのは、それでもイタリアのサッカー好きがミランに一定の評価を下している点だ。最終順位を問うアンケートでは、平均でミランは「3.2」を記録。「1.6」のナポリ、「1.8」のユヴェントス、「2.8」のインテルに次ぐ4番手だった。

現在10位のミランは勝ち点12と4位ラツィオに7差をつけられている。だが、そのラツィオ(3.4)やローマ(3.3)を上回る数字は、ミランが4位まで与えられるチャンピオンズリーグ(CL)出場権を獲得し、5年ぶりに欧州最高峰の舞台に戻ると予想する声が多かったことを意味する。

22日のジェノア戦次第では指揮官の進退が問われるとの報道も浮上しているミラン。降格圏に迫る17位と低迷するジェノアを相手に白星を取り戻し、9月末から減りはしたものの、なおも約3割のファンが考える「当初の困難というだけで乗り越えられる」という結末に向けて流れを変えられるだろうか。

カルチョ・ライター

東京都出身。2004年に渡伊、翌年からミランとインテルの本拠地サン・シーロで全試合取材。06年のカルチョーポリ・W杯優勝などを経て、08年に帰国。約10年にわたり、『GOAL』の日本での礎を築く。『ワールドサッカーダイジェスト』などに寄稿。現在は大阪在住。

中村大晃の最近の記事