ユヴェントス、開幕10戦全勝で「完ぺきなマシン」 止められるのはスキャンダルだけ?
ユヴェントスのクリスティアーノ・ロナウドは、セリエA前節ウディネーゼ戦で今季4点目を決め、チームの勝利に貢献した。プライベートでのトラブルの真相はさておき、少なくとも、騒動の真っただ中でも結果を出し続ける胆力は見事と言うほかない。
ただ、それ以上に目を見張るのが、ユヴェントスの強さだ。リーグ開幕8連勝に加え、チャンピオンズリーグ(CL)でも連勝スタート。公式戦で開幕10連勝は、1897年創設のクラブの長い歴史においても初めての記録だ。これ以上のスタートダッシュはないだろう。
◆もはや8連覇は確実?
セリエAにおける開幕8連勝は、今季が通算6回目。2013-14シーズンのローマ、2017-18シーズンのナポリ以外は、いずれもユヴェントスの記録だ(1930-31、1985-86、2005-06、2018-19)。そして、ユーヴェはこの記録を達成した過去3シーズン、いずれもスクデットを手にしている。
しかも、ユーヴェはすでに直接のライバルであるナポリからも勝利を収め、勝ち点6差をつけている。対抗馬の筆頭と言われながら、出だしの躓きが響いているインテルとは、すでに8差だ。
当然、7連覇中の絶対王者の優位は揺るがない。まだ10月だというのに、すでに8連覇は確実という向きもある。それだけではない。中には、もはや焦点が「いつ優勝するか」という声もある。
『トゥットスポルト』は先日、イタリアのあるブックメーカーが、ユーヴェが10試合を残して優勝する可能性に5.50倍というオッズをつけたと報じた。シーズン終盤に優勝が決まるのと同じ確率で、3月中旬にユーヴェのスクデット獲得が決定するという予想だ。
◆向かうところ敵なし
さすがに閉幕の2カ月前に優勝が決まる可能性は高くないと思われるが、それだけユーヴェの強さが異次元ということだ。
OBのマッシモ・マウロは、『レプッブリカ』で、やはり古巣のナポリにも賛辞を寄せつつ「ユーヴェは別の惑星にいる」とコメント。マリオ・スコンチェルティ記者は『Calciomercato.com』で「このまま続ければ止めることはできない」と綴っている。
ロベルト・ペッローネ記者は『コッリエレ・デッロ・スポルト』のコラムで、「ユヴェントスの主たる敵はユヴェントス自身だった。今年はなおさらだ」とコメント。ユーヴェを「完ぺきなマシン」と評した。
アンドレア・ディ・カーロ記者も、『ガゼッタ・デッロ・スポルト』でユーヴェをキャタピラーになぞらえて、「何を前にしても決して止まることなく、進む先に何があっても舗装してしまう」と記している。
さらに、元GMのルチアーノ・モッジは「すでに『どうやって今のユーヴェを止められる?』と問うイタリアの評論家たちがいる。我々が答えよう。『新たなカルチョーポリ』だ」とツイートした。
カルチョーポリとは、かつてユヴェントスがセリエBに降格することになった八百長スキャンダルのことだ。その“当事者”だったモッジらしい、刺激的な物言いだが、つまりは「向かうところ敵なし」ということだろう。
◆新記録樹立への期待
つねに冷静沈着なマッシミリアーノ・アッレグリ監督も、ウディネーゼ戦の勝利には「今季のベストゲームの一つ」と満足感を表し、先日のイベントでも「欧州でも勝利をつかむとき」と、悲願のCL優勝への手ごたえをうかがわせている。
もちろん、まずは目の前の戦いに集中しなければいけない。ただ、次節からジェノア、エンポリ、カリアリと、当面は格下との対戦が続く。ファビオ・カペッロ時代の2005-06シーズンに記録したリーグ開幕9連勝、2013-14シーズンにローマが達成した開幕10連勝のセリエA記録更新も期待されるところだ。
一方で、12節のミラン戦を経て、ユーヴェは12月にフィオレンティーナ、インテル、トリノダービー、ローマとハードスケジュールが待っている。この過酷な連戦まで勝ち続ければ、インテルが持つリーグ連勝記録にも並ぶ。
ちなみに、インテルが17連勝を記録した2006-07シーズン、カルチョーポリでユーヴェがセリエBを戦っていた。それから12年。イタリアで1強時代を続け、C・ロナウドというスーパースターも手に入れた“老貴婦人”は、どこまで連勝街道を伸ばすことができるだろうか。