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1泊2食付にこだわらない! 「ソロ温泉」は素泊まりでリーズナブルに済ませる

高橋一喜温泉ライター/編集者

温泉旅行の楽しみのひとつといえば、旅館でいただくご馳走だろう。

しかし、残念ながら特徴に乏しい料理だと、美味しくいただくものの、ほとんど記憶に残らないことがある。正直「高い料金を払ってまで食べなくてもよかったかも」と思ってしまうことも珍しくはない。

だから、筆者の場合、ソロ温泉のときは1泊2食付にこだわらず、「素泊まり」を選択肢に入れることにしている。

「泊食分離」という選択肢

ソロ温泉なら、宿での食事に縛られる必要はない。温泉街が充実しているのであれば、「泊食分離」という選択もある。

泊食分離は、宿泊と食事を分けて考えるスタイルである。つまり、食事代が料金に含まれておらず、食事はその宿の中のレストランや外の飲食店で食べる。

日本の温泉旅館は食事が料金体系に組み込まれているのが当たり前の文化だったが、近年では泊食分離を積極的にアピールする宿もあり、素泊まりや1泊朝食付など夕食がつかないプランを用意している宿も多い。

素泊まりの場合、料理の料金が含まれていないので、数千円安くなるのも魅力だ。宿や料理のグレードによっては、1万円以上料金差があることも。その分、外で好きな料理を食べたほうが満足度が高いケースも多い。

筆者の場合、次のようなケースでは、素泊まり、もしくは1泊朝食付のプランで予約することにしている。

・宿泊予定の温泉宿の食事が期待できそうもない
・温泉街に食事ができる居酒屋や食堂がある

 せっかく温泉に来たのだから、その土地のおいしいものに舌鼓を打ちたい。宿の食事でがっかりすることが予想できるなら、最初から夕食がついていないプランを選択し、夕食は外の温泉街でとったほうが満足できるだろう。

思いもよらぬ発見も

どんなお店に入るかは食べ物の好みにもよるが、筆者の場合は地元の人が通うような居酒屋ののれんをくぐる。地元の食材を使った料理が多く、酒がすすむ。アラカルトで自分好みのメニューを選べるのもいい。

決められたコースメニューを食べるしかない宿メシと比べれば自由度が高く、ひとりの気楽さを重視するソロ温泉のコンセプトにも合っている。

予想外の出会いや発見がある場合も少なくない。

青森県の大鰐温泉に滞在したとき、宿泊した旅館が夕食を提供していなかったので、宿の主人おすすめの居酒屋で食事をとることにした。魚介が大変おいしいお店で、刺身や焼き魚に舌鼓を打っていたが、どうしても食指が動かない食材があった。

海のパイナップルと呼ばれるホヤの刺身である。20代の頃、大衆居酒屋で食べたホヤがあまりにまずく、それ以来、手を出せずにいたのである。その話をすると、店主は「今朝とれたてのホヤだから全然違うよ」。他の常連さんも加勢してきて、筆者はしぶしぶ食べることに。

すると、本当に別物のおいしさであった。20年間ホヤを遠ざけてきたのを後悔したほどである。

宿の都合に縛られない

泊食分離のメリットをもうひとつ。それは、宿のルールや都合に合わせなくて済むことだ。1泊2食付きだと、夕食の時間が決まっているので、夕食の時間に合わせて動かなければならない。朝食も同じである。特に朝、食欲がわかない人にとっては大きな試練である。

ふとんの上げ下げも宿の都合で行われる。最近は少なくなったが、朝食を終えて部屋に帰ってきたら、きれいさっぱりふとんが下げられていて、「もう少し横になりたかったのに……」と残念な気持ちになることがよくあった。

素泊まりや1泊朝食付プランにすれば、チェックイン時にすでにふとんが敷いてあるケースが多い。仲居さんやスタッフが部屋に入ってくることもないので、ひとりの時間を満喫することができる。

宿のルールに合わせるのではなく、自分のペースで温泉旅を楽しむ。それが充実した「ソロ温泉」を実践する秘訣である。

温泉ライター/編集者

温泉好きが高じて、会社を辞めて日本一周3016湯をめぐる旅を敢行。これまで入浴した温泉は3800超。ぬる湯とモール泉をこよなく愛する。気軽なひとり温泉旅(ソロ温泉)と温泉地でのワーケーションを好む。著書に『日本一周3016湯』『絶景温泉100』(幻冬舎)、『ソロ温泉』(インプレス)などがある。『マツコの知らない世界』(紅葉温泉の世界)のほか、『有吉ゼミ』『ヒルナンデス!』『マツコ&有吉かりそめ天国』『ミヤネ屋』などメディア出演多数。2021年に東京から札幌に移住。

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