自転車ユーザーに愛されるスバル・ブランド
筆者・河口まなぶがFacebook上で最大級の自転車コミュニティ「大人の自転車部」(公開グループのメンバー数約1万4500人)において、自転車ユーザーが所有するクルマ・ブランドについてのアンケートを行なったところ、実に603いいね!となり、アンケートの回答数も2000件以上(複数回答可)に及び、興味深いデータが集まった。
アンケートのタイトルは、「どのブランドのクルマにお乗りですか?」というもの。
アンケートの意図は、「郊外までクルマに自転車を積んで出かけて…」「大会に参加するためにクルマに自転車を積んで」というように、自転車ユーザーが自転車を楽しむ上でクルマとは切っても切れないライフスタイルを持っていることから行われた。
さらにこれは、実際にクルマを趣味としてクルマそのものを楽しむ、いわゆるクルマ好きを対象として所有ブランドに対するアンケートを行なうよりも、実際のライフスタイルに沿ったクルマ選びや実用性の高さを鑑みたクルマ選びが見えてくるのではないかという狙いもある。
そうして実際に集まったデータを見て、まず興味深いのは、上位はほぼ市場シェアそのままの順位となっていること。
1位のトヨタが466票、2位のホンダが376票、3位の日産が207票といった具合で、これは市場シェアをそのまま反映した結果になる。ただし、実際の国内市場シェアと比べると、このアンケート内におけるトヨタのシェアは小さく、逆にホンダや日産のシェアは大きいので、自転車を積むような使い方をしている方の場合は、トヨタを選ばずにホンダや日産を選ぶ傾向と見ることもできる。特にホンダは376票とトヨタと100票差以内にあって健闘している辺りを見ると、ホンダはアクティビティを趣味とするような方に選ばれている傾向といえるだろう。
そしてこの辺りはベーシックなモデルよりもミニバンやSUVなどの、スペース重視のコンセプトやアクティビティ重視のコンセプトを持つモデルが主力となっている現代のホンダのラインナップを反映しているといえる。基幹モデルである小型車フィットにしても、リアシートのアレンジがしやすく、荷物を積むことに特化した部分が特徴。そうしたところが選ばれる要因かもしれない。
しかし、このランキングの中で最も印象的なのは4位に185票でランクインしたスバルだ。実際の国内市場シェアでいえば、スバルはマツダに次ぐ5位となるが、今回自転車ユーザーにアンケートした結果としてはマツダ(121票)を抑えての4位を獲得している。
ちなみにアンケート結果は以下URLを参照→https://www.facebook.com/groups/151555314968932/permalink/411722718952189/
スバルの場合、レヴォーグ、レガシィ・アウトバック、フォレスター、XVなどスポーツワゴンやSUVが多くラインナップされており、これを受ける結果だといえるだろう。
またスバルは20年以上前から日本最大の自転車レースである「ジャパンカップ」に協賛をし続けている他、自転車レースにおいてチームを問わずにサポートを行なう“ニュートラルカー”(タイトル写真)としてスバルの各モデルを長年提供し続けるなど、自転車業界との深いリレーションも構築している。また実際に自転車系のイベントとのコラボレーションも盛んである。今回のアンケート結果を見ると、そうした活動が実際の自転車ユーザー間でのシェアに反映されているといえる。一方マツダは、「Be a Driver」というキャッチコピーで、クルマを趣味としてクルマそのものを楽しむ層にアピールしている結果が表れていると見ることもできる。
一方、輸入車ではVWが72票、メルセデス・ベンツが55票、BMWが50票と上位を占めた。VWは一昨年まで国内シェア1位をキープしていただけに、今回のアンケートでもそうした実績が反映されたとみられる。
一方でメルセデス・ベンツとBMWは僅差の争いであり、これも数年前の輸入車シェアを反映したものと考えられる。その意味では、今後は昨年の輸入車シェアNo1に輝いたメルセデス・ベンツが、自転車ユーザー間でのシェアを増やす可能性もある。事実、最近のメルセデス・ベンツでは、以前よりもはるかにコンパクトモデルやSUVモデルが多く登場しているので、それらが反映される可能性が考えられる。
さらに今回のアンケートでは、ポルシェやフェラーリといったスポーツカーのブランドに投票した方もいた他、アルファロメオなどのいわゆるクルマ趣味としての性格が強いブランドも意外な得票を得ており、クルマ好きな自転車ユーザーからの投票も少なくない結果となった。
またユニークなことに、今回のアンケートでは投票だけでなく、コメント欄に実際の積載方法等をコメントで説明したり、写真で添付してくれたユーザーが多く、投稿は実に200件に迫るものだった。
それらを見ると、荷室のスペースや後席のアレンジ、またその結果得られた空間にどんな方法で積載するかなどが具体例として提示されており、自転車ユーザーにおいては荷室の機能性等がクルマ選びにおける重要な指標になっていることが証明されたのだった。
<このレポートは、大人の自転車部Webサイトに書いた記事を再掲載したものです>