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女優・朝比奈彩を形成した30回のNG

中西正男芸能記者
仕事への思いを語る朝比奈彩

 圧巻の“9頭身ボディー”でモデルとして注目され、現在は女優の顔を見せる朝比奈彩さん(27)。12月10日から配信スタートとなったNetflixオリジナルドラマ「今際の国のアリス」ではアクションシーンにも挑んでいます。次々と新たな歩みを重ねていますが、その原点は30回連続でNGを出した日の思いでした。

アクションへの思い

 去年の7月頃から12月頃まで「今際の国のアリス」の撮影をしていたんですけど、アクションの練習は撮影1~2カ月前から始めていました。

 役者の仕事をやらせていただいてから、実は、アクションはずっとやりたいことだったんです。お芝居をする中で自分が一番ストレートに伝えられるものって、体当たりというか、体を使ってやることじゃないかと。その感覚がアクションへの思いにつながっていった感じですね。

 学生の時は陸上をしてましたし、身長も170センチほどあるし、アクションをやった時にカッコよくできるのかなと。

 ただ、実際にやってみると、本当に難しくて…。しっかりと“魅せる”アクションをした方が良いのか、感情に任せて動くようなアクションがいいのか。その答えもなかなか見いだせず、自分の中で迷いに直面することも多々ありました。

 でも、だからこそ、今も引き続きトレーニングを続けていますし、もしまた次に機会をいただいたら、もっとうまくできるようにと考えています。

30回のNG

 もともと、北川景子さんが主演された映画「Paradise Kiss」を見てモデルのお仕事に憧れて、淡路島から東京に出てきたんです。

 そこからバラエティーにも出していただき、少しずつ自分を出すことにも慣れてきた頃に、お芝居に挑戦したいという思いが出てきて。

 でも、最初は本当に何もできなくて。モデルやバラエティーはカメラを意識するお仕事だったのが、逆に、お芝居ではカメラを意識してはいけない。さらに、セリフを話しながら、いろいろな動きもしないといけないですし。

 これは、今でも鮮明に覚えていることなんですけど、撮影で30回連続でNGを出したことがありまして。

 AbemaTV「やれたかも委員会」(18年)というドラマだったんですけど、演じる仕事をさせてもらっての2作目でした。いろいろな説明が入った長ゼリフだったんですけど、それが全然言えなくて。

 元々は午後11時頃終わる予定だったのが、私が何回も失敗するせいで夜中3時までかかってしまい…。翌朝のスタート時間も決まっている中、自分が失敗するせいで、皆さんの時間をどんどん奪っている。

 そうなると、もっと頭がまわらなくなって…。最終的には長ゼリフを何シーンかに割っていただいて、少しずつ撮る形をとってくださいました。自分の力でシーンを終えたのではなく、終えさせてもらったんです。

 その一連の流れを終え、監督の山口雅俊さんに謝りに行ったんですけど、そこで山口監督から言っていただいたんです。

 「役者さんがテイクを重ねることは、これから何度もあるはずだから。まず、今、この現場で経験できて良かったね」

 怒られるどころか、これ以上ない優しい言葉をいただきました。反省を通り越して、一気に心が震えて、涙が流れてきて。今でもその言葉は心に刺さっています。

 そして、いつか、ご恩返しができるような人間になれるよう、これからもしっかりと頑張るしかないと思っています。

憧れの人

 先ほどもお伝えしたように、私は北川景子さんの映画「Paradise Kiss」を見て、この世界に入ってきました。なので、おこがましい話ですけど、次は自分がそういう思いを与えられる存在になれたら、こんなに幸せなことはないなと。

 北川さんとの接点ですか?お仕事でご一緒したことはないんですけど、実は3年ほど前に、たまたまジムでお会いしまして。

 私がいろいろなところで「北川景子さんが好き」と言いまくってるので、なんと、ご本人もそれを知っていてくださいまして。

 当時、私がグラビアをやっている中で“9頭身ボディー”みたいなことを言われてたんですけど、そのキャッチフレーズも知ってくださっていて。

 北川さんの頭の中に自分のことが入っていることがとにかくうれしくて。プライベートなので、あまりお話をするのは失礼だと思いつつも、改めて、私がどれだけ北川さんのことを好きかを最大限の出力でお伝えして帰りました(笑)。

 次は、きちんとお仕事でご一緒できるようにもっと頑張らないといけないと思います。そのためにも、一つ一つ、しっかりと積み重ねていきたいと考えています。

(撮影・中西正男)

■朝比奈彩(あさひな・あや)

1993年10月6日生まれ。兵庫県出身。生島企画室所属。身長171センチ。2014年から生島企画室に所属。「第3回DHCシンデレラアワード」でグランプリを獲得。雑誌「Ray」「Oggi」などの専属モデルとなる。2017年、Amazonオリジナルドラマ「東京アリス」で女優デビュー。18年には、関西テレビのオムニバスドラマシリーズ「大阪環状線 Part3 ひと駅ごとのスマイル」の寺田町駅編「宇宙のタコヤキ」にてドラマ初主演。19年にはテレビ朝日「ランウェイ24」で連続ドラマ初主演。12月10日から配信スタートとなったNetflixオリジナルドラマ「今際の国のアリス」にも出演し、アクションシーンにも挑んでいる。YouTubeチャンネル「朝比奈ちゃんねる」も開設している。

芸能記者

立命館大学卒業後、デイリースポーツに入社。芸能担当となり、お笑い、宝塚歌劇団などを取材。上方漫才大賞など数々の賞レースで審査員も担当。12年に同社を退社し、KOZOクリエイターズに所属する。読売テレビ・中京テレビ「上沼・高田のクギズケ!」、中京テレビ「キャッチ!」、MBSラジオ「松井愛のすこ~し愛して♡」、ABCラジオ「ウラのウラまで浦川です」などに出演中。「Yahoo!オーサーアワード2019」で特別賞を受賞。また「チャートビート」が発表した「2019年で注目を集めた記事100」で世界8位となる。著書に「なぜ、この芸人は売れ続けるのか?」。

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1999年にデイリースポーツ入社以来、芸能取材一筋。2019年にはYahoo!などの連載で約120組にインタビューし“直接話を聞くこと”にこだわってきた筆者が「この目で見た」「この耳で聞いた」話だけを綴るコラムです。最新ニュースの裏側から、どこを探しても絶対に読むことができない芸人さん直送の“楽屋ニュース”まで。友達に耳打ちするように「ここだけの話やで…」とお伝えします。粉骨砕身、300円以上の値打ちをお届けします。

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