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所属クラブで存在感放つ韓国人Jリーガー。ロシアに行くのは誰か!?

慎武宏ライター/スポーツソウル日本版編集長
FC東京のチャン・ヒョンス(写真:西村尚己/アフロスポーツ)

今年でリーグ創設25周年となるJリーグ。2月23日に開幕したJ1(1部リーグ)を皮切りに、J2(2部リーグ)、J3(3部リーグ)の全54チームがしのぎを削り合っているが、そのJリーグ(1部〜3部まで)に韓国人選手がどれほどいるかご存知だろうか。

Jリーグがシーズン開幕前に発表した今季の登録選手の概要によれば、その数は実に51人。

国別外国人選手の分布で見ると、65人がプレーするブラジル勢に次ぐ第2位の多さなのだ。今やJリーグにおいて韓国人選手は欠かせない存在になっている。

(参考記事:なぜ今、韓国人選手のJリーグ進出が増えているのか。加速するK→J移籍の背景)

そもそもJリーグに初めてやって来た韓国人選手は、ノ・ジョンユンが第一号だった。

高麗大学在学中に韓国代表入りを果たし、Kリーグを経ずに日本にやって来た彼は、一部の韓国の人々に「裏切り者」と罵られ、同じ外国人であっても同時期にやって来たジーコ、リネカー、リトバルスキーに比べると年俸は安かった。

その多くを貯金して韓国の両親に仕送りし、自身は節約のために広島市内のスーパーマーケットに閉店間際に行って、割引商品を買ったりもした苦労人であったことは有名な話だ。

このノ・ジョンヨンが韓国人Jリーガー第1世代とすれば、97年からやって来たコ・ジョンウン、ホン・ミョンボ、ファン・ソンホン、ハ・ソッチュ、ユ・サンチョルらは韓国人Jリーガー第2世代だろう。

(参考記事:Jリーグ25周年の今だからこそ知りたい!! 韓国人Jリーガー、あの人は“いま”)

Kリーグで実績を積み、韓国代表の主力でもあった彼らは、韓国よりも高い年俸や専任通訳の帯同など、その待遇も良かった。韓国の多くのスポーツ新聞が「Jリーグは韓国人選手のエル・ドラド(黄金郷)だ」と書き立てていたほどだった。

そんな第2世代の流れはチェ・ヨンスまで続くことになり、2000年に来日したパク・チソンが韓国人Jリーガー第3世代の時代を切り開くことになる。

明知大学を中退してJリーグにやって来たパク・チソンは、Jリーグで成長し、韓国代表にも定着。2002年ワールドカップで活躍し、オランダPSV移籍を経てマンチェスター・ユナイテッドに進出した。

彼の成功もあって、Jリーグは韓国人有望株の青田買いに乗り出し、韓国の選手たちも大学やKリーグを経ずに日本にやって来るようになった。その多くがパク・チソンのように、「韓国発、日本経由、ヨーロッパ行き」を目標に掲げたものだ。

だが、それを実現できた選手は限られている。私の記憶が正しければ、パク・チュホとキム・ボギョンくらいではないだろうか。そのほかは欧州ではなく中東や中国に渡ったり、韓国に戻ってしまった。

その一方で2010年以降は、韓国でプロを経験せずに高校や大学からそのまま日本にやってくる選手が急増。低年齢化と無実績化が顕著な韓国人Jリーガー第4代が増えたが、気がつくと翌シーズンには韓国に戻ってしまったという選手も増えている。ソン・フンミンやキ・ソンヨンなど、韓国でニュースになるスター選手も少ない。

そんなこともあってここ数年で韓国のメディアやサッカーファンたちがJリーグに注ぐ関心が薄らいでいるのも事実だが、今季の韓国人Jリーガーたちは粒ぞろいだ。

例えばGK。ヴィッセル神戸にはキム・スンギュ、セレッソ大阪にはキム・ジンヒョン、鹿島アントラーズにはクォン・スンテと韓国代表クラスの守護神たちがJリーグでプレーしている。川崎フロンターレのチョン・ソンリョン、ベガルタ仙台のイ・ユノ、コンサドーレ札幌のク・ソンヨンなどを含めると計6名。今季Jリーグの外国人GKは9名だが、その大半が韓国人GKなのだ。

攻撃陣に目を移しても、ガンバ大阪でファン・ウィジョ、セレッソ大阪でヤン・ドンヒョン、横浜Fマリノスでユン・イルロク、ベルマーレ平塚でイ・ジョンヒョプなどがプレーしている。

サガン鳥栖(キム・ミンヒョク、チョン・スンヒョン、チョ・ドンゴン)や柏レイソル(パク・ジョンス、ユン・ソギョン、キム・ボギョン)などは韓国人トリオを主力として起用しているし、ヴィッセル神戸のチョン・ウヨンはヴィッセル神戸の副キャプテン、チャン・ヒョンスはFC東京のキャプテンを任されている。

元ドイツ代表で現在はヴィッセル神戸に所属するルーカス・ポドルスキ―ほどにその名を轟かす外国人スターというわけではないが、昨今の韓国人Jリーガーは今のところ各自が所属するクラブで確かな存在感を放っているのだ。

それだけに注目したいのは彼らのこれからだ。ロシア・ワールドカップの韓国代表最終メンバーに、果たして何名のJリーグ組が選ばれるだろうか。

(参考記事:英雄パク・チソンが語るロシアW杯。「韓国はラッキー」「マンUもソン・フンミンに興味」)

ロシア・ワールドカップ開幕まであと2か月。海を隔てた日本で奮闘する太極戦士にも、ぜひとも関心を寄せていただきたい。

(初出:韓国スポーツ新聞『スポーツ・ソウル』2018年4月6日付け)

ライター/スポーツソウル日本版編集長

1971年4月16日東京都生まれの在日コリアン3世。早稲田大学・大学院スポーツ科学科修了。著書『ヒディンク・コリアの真実』で02年度ミズノ・スポーツライター賞最優秀賞受賞。著書・訳書に『祖国と母国とフットボール』『パク・チソン自伝』『韓流スターたちの真実』など多数。KFA(韓国サッカー協会)、KLPGA(韓国女子プロゴルフ協会)、Kリーグなどの登録メディア。韓国のスポーツ新聞『スポーツソウル』日本版編集長も務めている。

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