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東京六大学野球は全チームが2カードを消化。第3週までの戦いを振り返る

上原伸一ノンフィクションライター
1925年から始まった東京六大学野球リーグ戦が行われている神宮球場(写真:イメージマート)

東京六大学リーグは第3週が終了。全チームが2カードを消化した。これまでの戦いぶりを振り返ってみたい。(以下の成績、数字は第3週終了時点)

ルーキーの台頭が目覚ましい慶大

4勝1敗 勝ち点2で首位に立っているのが、連覇に挑んでいる慶應義塾大学だ。昨秋は4季ぶり40度目のリーグ優勝を果たし、明治神宮大会でも5度目の王座に就いた。

今年は廣瀬隆太(現・福岡ソフトバンクホークス)らが抜け、野手が大きく入れ替わった。だが、昨年もそうだったように、今年も新たな選手が出てきた。

例えば、NPB通算525本塁打の清原和博氏(元オリックスバッファローズほか)を父に持つ清原正吾(4年、慶應義塾)だ。中学ではバレーボール部、高校ではアメリカンフットボール部という異色の経歴を持つ清原は、開幕戦から四番に座り、4試合連続でヒットをマークした。

また、慶応義塾高のレギュラーとして昨年夏の甲子園優勝を経験した1年生も、続々と神宮デビュー。渡辺憩捕手は、法政大学3回戦の延長12回、代打で出場すると、リーグ戦史上初となる「初打席代打サヨナラ本塁打」を左翼席に打ち込んだ。

注目度が高い選手の台頭が、チームの勢いにつながっているのは間違いないだろう。

一方で、見逃せないのが、エース・外丸東真(あづま、3年)の抜群の安定感だ。昨秋6勝0敗と無双を誇った外丸は、今季も他校から厳しくマークされているなかで防御率が1点台と、持ち味の制球力に磨きがかかったピッチングを披露。

法大3回戦では、ドラフト上位候補の篠木健太郎(4年、木更津総合)と投げ合ったが、8回1/3を自責0に抑える力投で、延長サヨナラ勝ちを呼び込んでいる。

早大はエース番号「11」が引っ張る

4勝2敗 勝ち点2で2位につけている早稲田大学は、伊藤樹(3年、仙台育英)が絶対的なエースへの階段を上っている。1年春からリーグ戦に登板している伊藤樹は、2年時の昨秋に4勝をマーク。今年から早大のエース番号「11」を背負っている。

数々の名投手が付けてきた「11」にふさわしい投球を見せたのが、明治大学との3回戦だ。伊藤樹は延長11回147球を投げ抜いて、リーグ戦初完封。早大は負ければ優勝争いから一歩後退となるこの試合を制し、2019年秋以来となる明大からの勝ち点を挙げた。

早大も慶大同様に、1年生の活躍がチームを乗せている。安田虎汰郎投手(1年、日大三)は、立教大学戦の2試合に中継ぎとして登板し、2勝の荒稼ぎ。開幕から同一カードでの2連勝を記録した。

安田は明大1回戦では、1点リードの9回1死満塁の場面でマウンドへ。魔球と呼ばれるチェンジアップを軸に、2人の打者を打ち取った。明大の田中武宏監督に「初見では対応が難しい」と言わしめた安田のチェンジアップ。これから対戦するチームにとっては厄介なボールになりそうだ。

主将・宗山の復調が待たれる明大

3位は明治大学。3勝2敗の勝ち点1で優勝戦線には踏みとどまっているものの、苦しんでいる印象だ。ただ、打撃は好調で、小島大河(3年、東海大相模)を筆頭に、リーグの打率上位6人中4人を明大の選手が占める。チーム打率は2位の早大と8分以上の差をつける3割3分9厘である。

ところが、今年のドラフトの「目玉」と言われる主将の宗山塁(4年、広陵)が、打率1割台と低迷。2月末のオープン戦で受けた死球で右肩(甲骨)を骨折した影響もあり、本来の姿を見せられていない。1番・直井宏路(4年、桐光学園)と2番・飯森太慈(4年、佼成学園)が好調なだけに、第5週目からの完全復活が待たれる(明大は第4週は空き週)。

好調な打撃陣に対し、投手陣はチーム防御率がリーグ5位。(22年春から昨春にかけての)3連覇の時は確立されていた先発の軸も、ここまでの全5試合で4人が先発と、定まっていないようだ。

宗山に加え、誰がエースの働きをするかも、残り3カードのカギになりそうだ。

第3週1日目の第2試合(早大対明大)には1万5千人の観客が詰めかけた(筆者撮影)
第3週1日目の第2試合(早大対明大)には1万5千人の観客が詰めかけた(筆者撮影)

法大はあと1本、あと1点が課題

開幕前、篠木と吉鶴翔瑛(4年、木更津総合)という投手2枚看板を擁する法政大学は、優勝候補の呼び声が高かった。実際2人は、NPBのスカウトの視線を浴びながら好投を続けている。篠木の防御率はリーグ1位であり、吉鶴は同5位だ。両腕が先頭に立つ投手陣もよく投げており、チーム防御率は1点台。リーグダントツの数字である。

しかし、チームは3勝3敗の勝ち点1で4位。波に乗れていない。原因は打線だろう。チーム総得点、チーム打率はともにリーグ4位である。慶大1回戦は12安打6得点とよく打ったが、3敗はいずれも1点差(1点差勝ちは1試合)。勝負所でのあと1本、あと1点が課題になっている。

今年から指揮を執る大島公一監督のもと、走塁で1つ先の塁を狙う意識も高まっている。

残り3カードでは、攻撃面でもチームのポテンシャルを出し切りたい。

投手陣好調の立大は打線が奮起するか⁉

立教大学は2勝4敗。まだ勝ち点がないが、2カードとも3回戦まで粘り強く戦うなど、春、秋とも2勝に終わった昨年とは違う姿を見せている。

法大1回戦では、3年生ながらエース番号「18」を背にする小畠一心(智辯学園)が、リーグ戦初勝利を初完封で飾った。また、先発2番手として大越 怜(3年、東筑)が台頭。早大2回戦で5回1失点と好投し、リーグ初白星を手にした。

投手の柱は固まりつつあるなか、奮起を待ちたいのが打線だ。チーム総得点、チーム打率ともリーグ6位である。

今年から立大を率いている木村泰雄監督(昨秋の途中から監督代行)は静岡・韮山高の出身。慶大の堀井哲也監督は高校野球部の同期で、東京六大学リーグでは立大と慶大の選手として対戦したことも。第4週の相手は慶大。互いに監督として戦うのは、2012年の都市対抗 準々決勝以来となる(当時、木村監督は日本製紙石巻監督、堀井監督はJR東日本監督)。

東大はいかに先発が試合を作るか

東京大学は0勝4敗。まだ白星はない。ただし打撃では、3ランもはなっている大原海輝(3年、県浦和)がリーグ2位、青貝尚柾(2年、攻玉社)は同8位の打率をマーク。チーム打率も、昨秋ベストナインの酒井捷(すぐる。3年、仙台二)が故障で離脱しているなか、リーグ3位である。

チーム総得点も15。昨秋は全11試合で18得点なので、攻撃力はかなり上がっていると言えよう。

しかし、投手陣に目を転じると、チーム防御率は9.79。これでは勝利は遠いだろう。法大2回戦に勝利した昨秋のチーム防御率は4点台だった。

昨年11月に助監督から昇格した大久保裕監督も、先発投手が試合を作って、ロースコアの接戦に持ち込むことが、東大の勝利への道と心得ている。昨秋は安定感があった平田康二郎(4年、都西)ら先発陣が、クオリティ・スタート(先発投手が6イニング以上を投げ、かつ自責点3以内に抑えたときに記録される指標)の投球ができれば、打力はあるだけに白星が見えてくる。

ノンフィクションライター

Shinichi Uehara/1962年東京生まれ。外資系スポーツメーカーに8年間在籍後、PR代理店を経て、2001年からフリーランスのライターになる。これまで活動のメインとする野球では、アマチュア野球のカテゴリーを幅広く取材。現在はベースボール・マガジン社の「週刊ベースボール」、「大学野球」、「高校野球マガジン」などの専門誌の他、Webメディアでは朝日新聞「4years.」、「NumberWeb」、「スポーツナビ」、「現代ビジネス」などに寄稿している。

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