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ウクライナ企業「ドローン迎撃ライフル」開発:上空でロシア軍の偵察ドローンをジャミングで機能停止へ

佐藤仁学術研究員・著述家
(Radio Free Europe提供)

2022年2月にロシア軍がウクライナに侵攻。ロシア軍によるウクライナへの攻撃やウクライナ軍によるロシア軍侵攻阻止のために、攻撃用の軍事ドローンが多く活用されている。また民生用ドローンも監視・偵察のために両軍によって多く使用されている。

そして両軍ともにドローンの迎撃を徹底的に行っている。上空のドローンを迎撃するのは、電波を妨害(ジャミング)してドローンの機能を停止させるいわゆる"ソフトキル(soft kill)"と、対空機関砲のように上空のドローンを爆破させる、いわゆる"ハードキル(hard kill)"がある。

ウクライナのイバノフランコフスクにある企業では、ジャミングで上空のドローンを迎撃するライフルを開発し、現在までに80本のドローン迎撃ライフルを製造している。いわゆる"ソフトキル"だ。1本12000ドル(約150万円)で決して安くはないが、ボランティアやビジネスマンが購入してウクライナ軍に提供している。3.5キロメートル先の上空のドローンを機能停止させることができる。迎撃ライフルの開発と使用の様子を欧州のメディアのRadio Free Europeが報じている。

ウクライナ紛争ではウクライナだけでなくロシア軍も監視・偵察ドローンや攻撃ドローンを大量に飛ばしているので、地上から迎撃することが両軍の安全保障上、非常に重要になっている。

大型の攻撃ドローンはジャミングで迎撃することは難しいので、小型の監視・偵察ドローンへジャミングを行って機能停止させている。小型の偵察ドローンは、ジャミングでも機能停止できるが、最近の偵察ドローンには手榴弾などの武器や弾薬が搭載されている可能性があるので、機能停止するだけで上空からドローンが落下して地上で爆発する危険もある。そのため、できるのなら上空で撃破、いわゆる"ハードキル"で破壊しておいた方が良い。

また現在のロシア軍は落下した監視ドローンを回収して部品の再利用をして、監視ドローンを作っているようだ。そのため、監視ドローンといえども、中途半端な機能停止によって落下させるのではなく、他の戦車やミサイルと同じように上空で徹底的に破壊しておきたい。そうすれば部品を回収されて監視ドローン製造に再利用されないので効果的である。

ロシア軍の監視・偵察ドローンにウクライナ軍の居場所を察知されると、その場所をめがけてミサイルが大量に発射されるので小型の偵察ドローンでも検知したらすぐに破壊したり機能停止させたりする必要がある。地上からドローンを迎撃することが安全保障上、非常に重要になっている。

学術研究員・著述家

グローバルガバナンスにおけるデジタルやメディアの果たす役割に関して研究。科学技術の発展とメディアの多様化によって世界は大きく進化してきました。それらが国際秩序をどう変化させたのか、また人間の行動と文化現象はどのように変容してきたのかを解明していきたいです。国際政治学(科学技術と戦争/平和・国家と人間の安全保障)歴史情報学(ホロコーストの記憶と表象のデジタル化)。修士(国際政治学)修士(社会デザイン学)。近著「情報通信アウトルック:ICTの浸透が変える未来」(NTT出版・共著)「情報通信アウトルック:ビッグデータが社会を変える」(同)「徹底研究!GAFA」(洋泉社・共著)など多数。

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