節約しろとうるさく言うはずのFPがなぜ「推し活予算月16600円はアリ!」と言うのか?
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FPといえば、だいたいにおいてムダづかいはダメ!という?
ファイナンシャル・プランナーといえば、お金の専門家とよく説明されます。いろんなお金のテーマがありますが、一番分かりやすいのは「節約しなさい!」「ムダづかい止めなさい!」とダメ出しをするイメージかもしれません。
雑誌の節約特集を読むと「1日数十円を節約して、年間700円お得!」とか、「○○に500円も使うなんてムダづかい!すぐやめましょう」というようなコメントをしていたりします。
家計の収支をプラスにすることは確かに大切なのですが、本人にとって生きがいとなる出費までダメ出しして削らせるような人もいるようです。
この連載枠の私の肩書き、実は「お金と幸せについて考えるFP」としていますが、私はかねてより趣味とか生きがいにかかる出費は肯定的に捉えています。
一方で、趣味にのめり込む人は、予算感覚もなく、毎月5万円とか10万円をつぎ込んでいるようなイメージもあります。
「散財しまくる趣味人」と「節約を戒めてばかりのFP」という構図ですが、今回若い世代の推し活予算が明らかになった、あるデータを紹介してみたいと思います。
推し活予算の平均はどれくらいかが明らかになった!~あなたの推し活は使いすぎ?
趣味、特に具体的な「推し」に対してお金をかけてのめり込み、幸せを求める生き方を「推し活」と呼びます。すっかり市民権を得た言葉となってきました。
推し活というと、毎月10万円くらいつぎ込むような家計破綻のイメージがありますが、実際はどうなのでしょうか。
R&C株式会社は、WEBメディアの「R&Cマガジン」にて、推し活をしている20~50代の男女1000人に「推し活にかけるお金」の調査を実施し、アンケート結果を公開しています。
そこで出た結果は、私たちがイメージしている「推し活=とんでもない金額の出費」というイメージからは大きくかけ離れたものでした。
PR TIMES 推し活に使うお金の月平均は16,605円!男女1000人に推し活にかけるお金についてアンケート調査を実施
R&C MAGAZINE 推し活に使うお金は月平均16,605円!1,000人の推し活事情を調査
推し活予算平均は16605円と現実的! ただしジャンルによって違いは大きい
まず推し活予算ですが、平均が月16605円となっています。平均ということは「平均以下」と「平均以上」があるとしても、意外にまとまった数字だなという印象です。
同調査では13分野について推しジャンル別の平均値も紹介しています。上位を紹介すると
1位:俳優(舞台) 月31,375円
2位:声優 月16,686円
3位:YouTuber/インフルエンサー 月15,306円
となっています。平均を大きく上回る1位は、観劇費用が1万円単位になることも多いためでしょうか。全公演参戦をしている人などは金額的にはそうとう高額になりそうです。
2位の声優はコンサートやイベント参加費用というところでしょうか。2.5次元劇などは人によっては「俳優(舞台)」とするか「声優」とするか悩ましいところですが、ライブイベントであることは共通しています。
3位はいわゆる投げ銭やグッズ購入などでしょう。VTuberについては別のカテゴリーがあるのでここには含まれていません。
以下、アニメ、マンガ、俳優(映像系)、ゲームなどと並びます。
内訳をみると月10000円以下が多数
今回の調査が推し活データとして興味深いのは、「普通の推し活」の実態が見えてきたことです。平均でも月16000円と趣味予算としては現実的な数字になっていますが、ほとんどの人は月10000円に納めています。
「月5000円以内」がどのカテゴリーでも最多で、「月5001~10000円以内」とする人もかなり多く、ほとんどのカテゴリーで「月10000円以内」が半数を占めているのです。
一部に高額出費をしているリミッター解除者がいても、半数以上は平均以下の月10000円程度というのは意外ではないでしょうか。
とはいえ、Z世代は趣味を複数持つのが標準的、という別の指摘もありますから、「推し活合計予算」はもっと大きくなる人もいるかもしれませんね。
また、予算管理についても実に建設的であることが明らかになっています。
特に予算は設けず、推しのためならお金は惜しまない 7%
と「予算無制限!」という人はごく少数派であり、
予算の範囲内で楽しんでいる 40%
ある程度の予算を決めているが超えることもある 26%
あまりお金を使わずに楽しみたい 27%
というようなリアリティのある推し活をしている人が多いというわけです。
皆さんの「推し活」に対するイメージ、ずいぶん変わったかもしれません。
推し活は「ウェルビーイング(幸せ感)」見合いで考えてみよう
私は最近、ウェルビーイング(幸福)とお金のバランスについて考えるのがテーマです。これをファイナンシャル・ウェルビーイングと言っていて、先日は「ファイナンシャル・ウェルビーイング」という本も出版してしまったほどです(推し活とウェルビーイングについても論じています)。
推し活は、若い世代のウェルビーイングを高めている良い象徴だと思っています。趣味にお金を使っても、ちゃんと幸福度を手にしているのであれば、それはOKなのだ、という考え方です。
金額もそう無理のない範囲で楽しんでおり、ある程度予算をコントロールする意識もあります。出費がかさんだ後はおそらく、食費を削ったりしてバランスを取っているはずです。
彼ら彼女らの推し活を言い換えると、「生活コストを削って仮にお金だけが貯まっても、生きがいも楽しみもない人生はNGだ」ということになります。
今までのFPはとにかく削ることばかりを主張してきましたが、大事なのは幸せや満足とのバランスであって、ただお金を削ることではないのです。
その意味では、年に数回フェスに参戦して音楽を楽しむ人たち、年に何度か2.5次元観劇にお金をつぎ込むような人は幸せを賢く手に入れている「いいお金の使い方」というわけです。
推し活のバランスが崩れる2つの注意点~推し変も大事にしたい
推し活にお金を使ってもいい、とはいえ、「推し活とあなたのウェルビーイングのバランス」は考えていくことが大切です。
たとえば強いストレスを解消するために推し活に高額の出費をし、家計が崩壊していくようなケースは回避しなければいけません。この場合、どんな推し活でもあなたの根源的ストレスを癒やしてはくれませんので(むしろ経済的不安が上乗せされる)、問題に向き合っていく必要があります。
2つ目は「推し変」問題です。ドライに推しを乗り換えていける人は総予算があまり変動しません。旧推しのコレクションも気にせずメルカリに売ったりします。
ところが、「新推し」への愛と「旧推し」への愛を同時に回そうとし始めると、これは予算倍増を意味します。愛が弱まっていることを自認した場合は、しっかり乗り換えをしていきましょう。
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