気を付けたいフードコートでの新型コロナ感染リスク
夏休みで増えるフードコートの利用
全国各地で新型コロナ第5波が広がっていますが、お盆の帰省や夏休みで利用したフードコートでの感染事例をよく耳にするようになりました。
新型コロナウイルスは、主に飛沫感染と接触感染が想定されています。エアロゾルを吸入することによる感染リスクも重要視されています。いずれにしても、ソーシャルディスタンスの確保が重要です。
厚労省は「夏の感染拡大防止特設サイト」(1)において、もし外食するとしても「換気が良く、座席間の距離も十分で、適切な大きさのアクリル板も設置され、混雑していない店を選択してください」と明言しています。
そのため、多くの自治体は「テーブル間は1メートル以上の間隔をあけるか、アクリル板等で区切る」などの対応をしています。
推奨にしたがって、フードコートでも飛沫防止のためのアクリル板を用いた区切りを設けています。パンデミック当初はあまり見られない光景でしたが、最近は1つのテーブルにも複数のアクリル板が設置されていることが多いですね。
アクリル板が感染を減少させる明確なエビデンスはないのですが、スーパーコンピューター富岳の試算では、頭くらいの高さがあれば対面からの飛沫は防げるとしています(2)。
テーブルやアクリル板に注意
フードコートが通常の飲食店と異なる盲点があります。それは、利用した人あるいは次に利用する人がテーブルを拭かないことがあるという点です。
同じ生活環境にある家族同士が、アクリル板を使って互いの飛沫を防止する意味はさほどありません。それよりも、違う家族が使った後のテーブルやアクリル板に新型コロナウイルスがついている可能性を考えないといけません(図)。
小さな子供は、テーブルやアクリル板をベタベタと平気で触ります。そこにウイルスが付着している場合、子供が感染を媒介するリスクは高くなります。
水で濡らした雑巾で吹いても少しはウイルスを除去できますが、重要なのはテーブルをアルコールで拭き上げるという作業です。フードコートを見ていても、家族が交替するたびにこれが行われているわけではありません。定期的に消毒している施設もありますが、あくまでフードコート全体の感染リスクが少し減らせるだけで、その対策だけに頼るのは少し勇気が要ります。
アクリル板を設置することも重要ですが、フードコートでは使用前後のテーブル表面をアルコール消毒するほうが圧倒的に効果的です。もし利用するのであれば、濃度70%以上95%以下のエタノールが含まれた製品を常備しておくことが望ましいです(濃度70%以上の製品が入手できない場合は、濃度60%以上の製品でも構いません)。
しかし、そこまで感染対策の意識が高いのであれば、そもそも密な時間帯にフードコートに行かないことのほうが重要かもしれません。先ほどの「夏の感染拡大防止特設サイト」(1)においても、「家族や同居者以外との大人数・長時間の集まりや会食は控えて」と明記されています。
(参考)
(1) 感染リスクが高まる「5つの場面」 夏の感染拡大防止特設サイト. (URL:https://corona.go.jp/proposal/)
(2) 飛沫やエアロゾルの飛散の様子を可視化し有効な感染対策を提案 ~「富岳」による新型コロナウイルス対策その1(URL:https://www.r-ccs.riken.jp/highlights/pickup2/)