アップル、特許権侵害によりポケベル事業者へ28億円支払えと命令される
Bloombergの記事によると、11月18日にテキサス州連邦地裁において、アップルに対して特許権侵害により約28億円の損害賠償金支払命令が出たそうです(もちろん、控訴は十分あり得ます)。
一見してパテントトロール系の話かなと思いましたが、相手はモバイル・テレコミュニケーションズ・テクノロジーズ(MTel)というポケベル(ページャー)の事業者です。1990年代には積極的に事業活動をしていましたが、今では、細々と営業しつつ特許資産のマネタイズをしているという会社のようです。
PACERで調べるとApple以外にBlackberry、AT&T Mobility、Clearwire、Samsung、ZTE、LG、HTC、Sprint、UPS、T-Mobile等も訴えられているようです。実業をやっているので厳密な意味でのトロール、NPEではないですがそれに近い行動ですね。
しかし、日本語抄訳記事にも原文記事にも6件の特許が侵害されたというだけで特許番号が書いてありません。
日本だと当事者に聞くか、裁判所まで閲覧しに行かないとわからないのですが、前にも書いたようにアメリカは裁判情報の公開が進んでますのでPACERで調べるとすぐわかります。当該特許番号は5915210、5590403、5659891、5754946、5809428、5894506です。中身を解説しようかと思いましたがちょっと読み込むのに時間がかかりそうなので今はちょっと無理です(興味ある方はGoogle Patentsでサーチして読んでみてください)。
これらは、1990年代に出願されたページャー関係の特許と思われ、もう期間満了になっているものもあります(期間満了後の特許権では差し止めはできませんが、過去の行為に対する損害賠償は請求できます)。
これを特許制度の濫用の事例と見るか、知財のマネタイズをしっかりやっている事例と見るかは、立場によって変わるので評価が難しいところです。