話題のポータブルクーラー。そのまま使うと逆効果!買う前におさえておきたいポイントとは
例年になく厳しい暑さが続くこの頃。クーラーが暮らしに必要不可欠な存在となっています。(皆様もだと思いますが)
今回は、特にこの2、3年注目され始めているポータブルクーラー(スポットクーラー)についてその特徴や注意点を紹介します。
昔からスポットクーラーというのは存在していましたが、近年は山善、ダイキン、アイリスオーヤマ、EcoFlowなど多種多様なメーカーから発売され、形や機能もバリエーションが豊かになってきました。
特徴としては
・設置工事不要
・コンセントがあれば使える
サイズもさほど大きくないため、エアコンの代替として検討する方やエアコン故障の際の緊急対応として検討する人も多いようです。
ただ、この利便性が高そうに見える反面、間違えた使い方をするとかえって室温が上がる事態にもなってしまいますので「6畳ほどの部屋でポータブルクーラーを使って冷却の実験」をしながら紹介できればと思います。
ポータブルクーラー(スポットクーラー)に興味がある方、検討している方の参考になればと思います。
今回使う製品
使うのはドン・キホーテで2023年の5月に発売された「移動式クーラー」です。
「冷風・除湿・送風」の3モードで設定可能温度も「16~31度」となっています。
どちらかというとスタンダードなポータブルクーラーです。
6畳の部屋を冷やします
撮影は天気が快晴の13時頃。一応何か置いた方が良いと思い布団を出しておきました。
サーモグラフィーで計測すると窓側は36度と高めですが全体の室温は34,35度くらいでした。
この部屋を冷やしていくわけですが、その前に抑えておくべきポイントを紹介します。
ポータブルクーラーは「クーラー本体+室外機」
これが全てというわけなのですが、通常の家庭用のエアコン(クーラー)は部屋の中に本体を壁に取り付けています。それとは別に屋外に室外機もありますよね。
この室外機もポータブルクーラーは一体となっています。
室外機が外にあって室内では感じなかった「排熱」がポータブルクーラーを使う上で特に気を付けないといけません。
排熱処理
と、言うわけでまずは部屋で使う場合、冷却時に発生する排熱を外に追い出さなければいけません。なので「窓パネル」と「排熱ダクト」が必要です。(本製品には付属されていますが全メーカー全製品が付いているわけでは無いので確認しましょう)
特に排熱ダクトは必須です。長さも限りがあるので窓の位置と本体の位置を確認して取り付けれるか確認しましょう。
排熱ダクトを本体に取り付け、窓に窓パネルを取り付けたら準備OKです。
これで排熱処理がある程度できた状態になるので実験していきます。
「6畳の部屋を冷風・16度・強風」と一番冷えそうな設定で25分冷やしてみます。
25分後
吹き出し口は約18度と冷えています。あとは正面を中心に冷えているのが分かります。
排熱ダクトに関しては冷却の際に出る排熱の影響でおよそ50度となっています。
排熱ダクトが無いとこの熱風が部屋中にまき散らされるわけです。
室温はというと本体から少し離していた温度計を見ると35→32度と3度程度下がってました。これが大きいのか小さいのかは人によって感じ方は違うかもしれません。私個人的には部屋に入った瞬間少し下がったかな。というのは体感としてありました。
横からサーモグラフィーを見ていただくと分かりやすいですが、正面+風が当たった壁を中心に冷えていきます。ポータブルクーラー(スポットクーラー)は基本的にはスポットを冷やすので排熱処理をしたとしても家庭用エアコンと比べると部屋全体を冷やす能力は少し落ちるかなと私は思っています。
局所的に冷えるので扇風機やサーキュレーターなどで冷気を拡散させるとまた結果が変わってきます。今回は一応排熱処理だけして35度の部屋で25分冷却した場合の結果となりますので参考程度に見てください。
で、ここからが大事なのですが、排熱処理をせずに部屋を冷やそうとした場合どうなるかも実験します。
排熱処理をしないで使うと部屋がどうなるか
窓パネルやダクトを外してみました。
面倒だからそのまま使おうとしてこの状態で使う人も多々いるようなので是非参考にしてください。
つけ初めた瞬間から何となく結果が見えつつありますが、本体の後ろの壁が数分としないうちに41度を超え始めました。
一応実験なのでこの状態で20分待って部屋がどうなるか確認します。
20分後
完全に悪化しています。壁の温度が48度に達しています。その付近の温度もつられて上がっているのがサーモグラフィーからも確認できます。
室温についても34度からスタートしたのに37度と逆に上がってしまっているのが確認できます。あと熱が上に来ているので立っていると上側が暑く感じます。
天井にサーモグラフィーを向けると36~38度と外気温より高くなってしまっています。
部屋全体の冷却という意味では完全に失敗してしまっています。
排熱処理をした状態だと冷風が当たる壁面は27度でしたが排熱処理をしないと約34度となっています。このまま窓を閉め切った状態だと温度が上がる一方ですね。
今回の実験で分かったこと
・(締め切った部屋で)排熱処理をしないと全体の温度が上がる
・排熱処理をしてても工夫しないと部屋全体が冷えるのに時間がかかる
・製品正面の部分的な箇所はしっかり冷える
私もポータブルクーラーのYouTube動画をアップしていますがコメント欄には「思った以上の効果が得られなかった。」「あまり冷えない」などのご意見もチラホラあります。
どこでも使える反面使い方を間違えると逆効果になってしまうので皆様も購入を検討される際にはこういったポイントも抑えておくと良いかなと思います。
ただ、締め切った部屋という前提では上記のとおりですが
■こういった所で使えそう
・アウトドア(電源付きサイトなどコンセントがあれば)
・窓など開け切って換気を良くして作業
・エアコンが設置出来ない場所で特定の作業者だけ冷やす
ポータブルクーラーの特徴としても正面はしっかり冷やしてくれます。排熱が滞留しなければ良いので空気を流れるようにした上で正面に立つ人を冷やす。という目的であれば問題なさそうです。
後はアウトドアでも電源付きサイトがあれば外でクーラーなんて変わった使い方も出来ます。防塵防滴には対応していないのであまりアグレッシブな使い方は出来ないのが前提です。(消費電力700W,800Wなのでコンセントの上限値を超えないようにしましょう)
色々と注意点が多い製品ですが特性さえ把握しておけば家庭用エアコンや扇風機では出来ない便利な使い方も色々と出来る製品です。
ただ、家庭用エアコンの代替で買う人も一定数いてそういった方が失敗してしまった。という声も聞きます。まだまだ残暑も残っていますので、もし必要になった。という方はこういった良い所、悪い所を考慮してご検討頂ければと思います。
また今回の実験は動画にもしています。
もっと知っておきたいという方はお時間がある時に参考にしてみてください。