世界各地で発生する「オーバーツーリズム」問題、見直しが図られる観光産業 #専門家のまとめ
京都市内であふれかえる観光客や富士山登頂による迷惑な登山客、山梨県の「コンビニ富士」問題など、観光客と地域とのいざこざが各地で発生し、オーバーツーリズムという言葉を見ない日はない、というほどの社会問題となっています。
オーバーツーリズムは、今や日本のみならず世界各地で大きな問題として取り上げられているほどとなっています。抑制策と平行して、今後の地域と観光とのあり方も考えなければいけません。これからのオーバーツーリズム問題についていくつかの参考となる記事をまとめてみました。
ココがポイント
▼スペインで広がるデモ行動。物価上昇や環境破壊への懸念など地域住民と観光客との溝が深まり暴行にも発展するケースも
・マヨルカ島でも大規模デモ、スペイン各地でオーバーツーリズムに抗議(CNN)
▼クルーズ客数制限、観光税引き上げなど、オーバーツーリズムの抑制策が世界で議論。世界経済フォーラムでも大きなアジェンダに
・世界に押し寄せる「オーバーツーリズム」の津波...観光客数を「制限」する規制も、各国が続々採用(ニューズウィーク)
▼二重価格制の導入が日本国内では議論されている。「特典」制度など行動経済学的な対策で持続可能な地域を目指す
・訪問者数制限、二重価格制、行動促す特典 オーバーツーリズム対策の現在地(Forbes Japan)
▼「コンビニ富士」は幕を設置したことで客数が減少、生活と観光の両立に向けた今後の検討が求められる
・「コンビニ富士」幕で隠したらインバウンド客3割減、混乱防止に効果…専門家は「生活と観光の両立模索を」(読売新聞)
エキスパートの補足・見解
日本政府は2030年までに6,000万人を目標として掲げていますが、このまま地方に多くの観光客が訪れることで、ますます地域住民と観光客との対立が深まる恐れがあります。観光によって地域住民の生活が脅かされたり地域の観光資源や文化資源が損なわれたりしては本末転倒です。
サステイナブル・ツーリズム(持続可能な観光)へとシフトしていくべきだと、国連世界観光機関(UNWTO)も提唱しているほどです。これまでのような観光客数だけを求める観光産業から脱却し、観光客、観光地、地元経済など、観光に関わるステークホルダーそれぞれにとって、持続可能な観光とは何かを考えるタイミングにきているようです。