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「開幕ローテ」「2ケタ勝利」 阪神・青柳晃洋投手が掲げた2年目の目標

岡本育子フリーアナウンサー、フリーライター
昨年5月、初めて1軍へ上がる少し前の青柳投手です。

昨年12月20日、帰省する際にルーキーイヤーを振り返ってもらったところ、青柳晃洋投手(23)はこう答えました。「僕は、ここまで投げられるとは思っていなかったんです。ドラフトも下の方だし、自分でも苦手な部分が多い。弱点もいっぱいある中で、監督が使ってくれたのがすべてでしたね。想像していたよりよかったです。使ってもらったことが大きい。あれだけ四死球を出して、普通の監督なら使ってもらえないでしょう?」

今後の自身につながった1年

青柳投手は5月28日に初昇格、その後は何度か登録と抹消を繰り返したものの最後は9月27日に昇格して、そのままシーズンを終えています。1軍での成績は13試合に登板(うち12試合が先発)して4勝5敗、防御率3.29。被安打41、奪三振52、与四球40、与死球8、失点31、自責点25という内容でした。なおファームでは公式戦に14試合(先発7試合)投げて2勝2敗、防御率4.19です。

1軍での4勝は「僕にとって今後の自信につながったというのは、すごくあります」という青柳投手。自己採点を聞いてみたら「点数はつけたくないんですよ。高くても低くてもクレームがきそうで…」と苦笑いです。なるほど。1年目で既に、いじられキャラ定着の様相を呈していますもんね。ファン感謝デーで、そんな青柳投手の魅力を実感された方も多いでしょう。

3月19日、ウエスタン公式戦で初先発。
3月19日、ウエスタン公式戦で初先発。

よって点数は聞かず、回顧していただきました。「寮の食堂に目標を書くところがあって、そこに僕は『20試合』と書いたんです。自分では中継ぎだと思っていたので。結果は、先発だったこともあって13試合。まあ数字は達成できていませんけど、でも出られた試合は多かった。よかったと思いますね」。予想とは違ったけど、先発できたことはありがたかった?「もちろんです!」

一番印象に残っている試合を聞くと即答。「7月あたまの巨人戦」。えーと…。思い出そうとしたら「東京ドーム、1安打無失点の試合です」とヒントをくれました。あーはいはい!わかります。

7月7日の巨人-阪神13回戦(東京ドーム)、6-0で阪神が勝った試合です。青柳投手は自己最長の7回、114球を投げて1安打無失点、6奪三振の好投で2勝目。許したヒットは2回に村田選手が放った右前打のみで、他には外野にも飛ばされていません。ヒーローインタビューで「すごいうれしいです。(巨人戦初登板に)すごい緊張したんですけど、初回に野手の方が点を取ってくれたんで楽な気持ちで投げることができました」と声を弾ませていたのを思い出します。チームの連敗を止めたも大きかったですね。

ウインターリーグの最優秀投手に

次に、台湾の『2016アジア・ウインター・ベースボールリーグ(AWB)』の話をご紹介しましょう。昨年は初めてNPBがウエスタン選抜(阪神、中日、ソフトバンク、オリックス、そして楽天の1選手)のWESTと、イースタン選抜(巨人、ヤクルト、DeNA、ロッテ、楽天)のEAST、2チームに分かれて参戦。台湾プロ、台湾アマ、韓国、欧州選抜と計6チームで争ったリーグ戦は、NPB-WESTが14勝2敗の成績で1位通過。2位の韓国は9勝5敗2分けでした。

上位4チームによる決勝トーナメントで、まず準決勝は4位・台湾アマに大量リードを許し、もしかすると翌日の3位決定戦へ回るのか?と思われたところから逆転!13対10で勝って、最終日の18日、NPB-EASTを6対1で下して優勝しています。

青柳投手といえば、このフォームですね。
青柳投手といえば、このフォームですね。

青柳投手はリーグ戦4試合(うち先発3)、準決勝と決勝もリリーフで計6試合に登板。3勝0敗1セーブ、防御率は1.45です。18回2/3を投げて被安打15、奪三振20、与四球7、与死球1の内容。そして勝利チームから毎試合選出されるMVPを2度受賞し、しかも決勝戦前に行われる表彰式では今リーグ全体の最優秀投手賞にも選ばれました。昨年の岩貞投手に続いての受賞ですね。

3週間を振り返って「収穫ばっかりでした!」とにっこり。そのあと「ボールが日本と違ったんで何とも言えないですけど。フォアボールを出さないというテーマの中での投球をしようと思って、そういうところはできた。外国人やイースタンの打者にもカーブを織り交ぜた投球がよかった」と言います。ボールは日本より小さかったようですが「慣れたので2、3試合目から投げるのは平気でした。でも今回試したカーブが、あの通りいくかどうかわかりませんね」とのこと。

リーグ最優秀投手賞について「MVPは嬉しいですけど、防御率がずば抜けてよかったわけでもないから、誇れるものでは…。でも獲れたのはよかった」と青柳投手。前年の岩貞投手も受賞した件は「向こうでも(台湾のメディアに)しょっちゅう言われましたよ~。去年(2015年)MVPを獲って、ことし10勝したって。その期待に応えないといけないですね」と苦笑したあと、キリッと顔を引き締めました。でも吉兆です。期待しましょう。

ラーメン大好き!青柳さん

ことしの目標はのちほど、ここで小虎日記のルーキーイヤー回顧でおなじみの質問もしてみました。まずは食べ物、何が好きですか?と聞いたら「ラーメン!ラーメンは好きですねえ」。ほとんど間を空けずに回答。味は?「とんこつ醤油が好きです」。ラーメンだったら1ヶ月ずっと食べられるほど?「余裕っす!」。例えば一日三食ともラーメンでも?「はい。それで1ヶ月いけますって!おんなじラーメンってのはきついですけど」

10月、フェニックスリーグでのサイン会。
10月、フェニックスリーグでのサイン会。

そりゃそうですよね。では嫌いな食べ物は?「牛乳、納豆、たまご」。これも即答でした。「ゆでたまご、目玉焼きはダメ。生たまごは飲めないけど、すき焼きで食べるのは大丈夫。ユッケもいける。出し巻きとか、たまご焼きは食べられますよ。オムライスも」。アレルギーではなく単に苦手なようですが、奥さんになる方は覚えるのが大変ですね。もしかしたら結婚して食べられるようになるかも?

そんなことを思い浮かべながら、好きな女性のタイプを聞いてみましょう。「顔や外見はあまり関係ないかな。タイプがあまり一貫していないですね。明るい子は好きですけど、それもほどほどに(笑)」。タレントさんでは?「有村架純。好きです!」。ラーメンと時と同じくらいの力が入っていました。映画『ビリギャル』も見たとか。わかります。可愛いですもんねえ。

好きな色も教えてください。「青が好きですね。グローブも1軍に上がって黒にしたけど、本当は青にしたかったくらい。着る服は白や黒が多いです」

漫画家の方からのエールに感激

もらって嬉しいプレゼントは何ですか?これは結構悩む人が多い…と言いかけたら「マンガ!」。はやっ(笑)。確かに。入団時から青柳投手のマンガ好きは有名でした。

だけど読みたいマンガは自分で買っているでしょう。プレゼントでも嬉しい?「その人がお薦めしてくれるのを読みたいですね」。なるほど、どんなものでも読んでみるタイプ?「はい。キャンプの時も、おばちゃんがマンガを貸してくれて読んでいましたよ」。多分、キャンプの賄いをされている方だと思いますが、それもすごく嬉しかったようです。

1年前に入寮した時も、こんなにマンガを持って来ていました。
1年前に入寮した時も、こんなにマンガを持って来ていました。

マンガといえば、ウインターリーグへ行っている時に、愛読している少年マガジン、少年ジャンプが台湾では読めないとツイッターで嘆いたところ、少年マガジン編集部さんが取り置いて寮に送ってくださったエピソードが既に有名。少年ジャンプの方はファンの方が届けてくださったそうですが、マガジンだけは読めずに帰国したのです。でも寮の部屋に入ったら「3週間分がまとめて置いてあって、それが一番うれしかった!」と笑顔いっぱいでした。

そして年が明けて寮に戻ってきた7日、また新たなプレゼントが!阪神ファンの漫画家さんから、自身の著書と激励メッセージが届いていたそうです。青柳投手の投げる姿も一緒にあったとか。「こういうふうに少しでも周りの人が期待してくださっている。その分しっかり活躍して応えられるようにしたい」。自身のツイッターでも感謝の言葉を述べています。いつか青柳投手が主人公のマンガ、見てみたいですね。あのフォームは絵になりますから。

“大吉”にしたい2017年

12月30日から1月7日まで、お母さんの実家がある兵庫で過ごしていたそうです。これは昔から年末年始の恒例。そして初詣は兵庫と、あと京都にも行ったとか。引いたおみくじは「兵庫が末吉、京都は大吉」だったみたいで「大吉を信じていこうかな」と言っていました。

6日に入寮した新人選手とは「お風呂で挨拶されたので、あまりわからなかった(笑)」とのこと。でも1年前の自分と重ね合わせて思い出すこともあったでしょう。「去年は新人だったので、僕に中では終わった時に1軍にいられればいいと思っていた」。それは予想をこえて叶ったというべきですね。「ことしは、そう言っていられない。監督にも期待していただいているので、開幕からローテに入って、去年の経験を生かして貢献したいです」

8日から始まった、2年目と指定選手による強化練習ではキャッチボールも行っていて「きょう初めてで軽めですけど、2月1日から試合ができるようにと監督も言われたので、それに合わせて間に合うようにやっていきます」と青柳投手。ウインターリーグもあったので、まず肩やヒジを休めることからのオフだったかもしれませんね。

台湾から帰国した翌日、ウエートルームを出てきた青柳投手。
台湾から帰国した翌日、ウエートルームを出てきた青柳投手。

では最後に、ことしの抱負をお願いします。

「開幕ローテ」「2ケタ勝利」

この2つをキッパリと言い切りました。「開幕ローテはもちろん狙いたいし、去年は1年目でまだ甘いところがあったと思いますが、ことしは2ケタ勝利とか取れるものは何でも狙っていきたい」。大きな自信を得て、さらに羽ばたくであろう2年目。どんなシーズンになるのか、自分でも楽しみで仕方ないという表情の青柳投手が印象的でした。

フリーアナウンサー、フリーライター

兵庫県加古川市出身。MBSラジオのプロ野球ナイター中継や『太田幸司のスポーツナウ』など、スポーツ番組にレギュラー出演したことが縁で阪神タイガースと関わって約40年。GAORAのウエスタンリーグ中継では実況にも挑戦。それからタイガースのファームを取材するようになり、はや30年が経ちました。2005年からスポニチのウェブサイトで連載していた『岡本育子の小虎日記』を新装開店。「ファームの母」と言われて数十年、母ではもう厚かましい年齢になってしまいましたが…1軍で活躍する選手の“小虎時代”や、これから1軍を目指す若虎、さらには退団後の元小虎たちの近況などもお伝えします。まだまだ母のつもりで!

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