実は知らない「経口補水液」の正しい知識ー熱中症対策に有効な製品の選び方を解説
熱中症に注意が必要な季節です。経口補水液といえば市販されている製品はどれでも脱水を伴う熱中症への効果があると思いがちですが、実はそうではありません。消費者庁は経口補水液を用いるときの注意点としてパッケージをよく確認するよう呼びかけています。経口補水液の選び方や飲み方を改めて確認してみましょう。
そもそも経口補水液ってなに?
経口補水液は水分、電解質、糖分が適切に配合されていて、体から失われた水分と電解質を素早く補うことができる食品です。乳児の発育や、妊産婦、授乳婦、えん下困難者、病者などの健康の保持・回復などに適する「特別用途食品」の認可対象食品で、販売には国からの許可を得る必要があります。
スーパーやコンビニに行くと、経口補水液に似た見た目の清涼飲料水が並んでいます。商品を選ぶときに迷うかもしれませんが、経口補水液のパッケージには「特別用途食品(消費者庁許可個別評価型病者用食品)」のマークがついているので見分けることができます。
同じ経口補水液なのに「熱中症」への効果の表示がある製品、ない製品があるのはなぜ?
暑い時季、熱中症対策のために経口補水液の活用を考える人は多いと思います。
さまざまなメーカーから販売されている経口補水液ですが「熱中症」に用いることについての表示を許可されている経口補水液は6製品です(2024 年 6 月30日時点)。
- 「経口補水液 ジーオーエス (G-OS)(五洲薬品)」
- 「オーエスワン(OS-1)(大塚製薬工場)」
- 「オーエスワンゼリー(OS-1ゼリー)(大塚製薬工場)」
- 「オーエスワンパウダー(OS-1パウダー)(大塚製薬工場)」
- 「オーエスワン アップル風味(OS-1 アップル風味)(大塚製薬工場)」
- 「アクエリアス経口補水液 ORS(オーアールエス)(日本コカ・コーラ)」
なぜ同じ経口補水液でも表示に違いがあるかというと、特別用途食品には「許可基準型病者用食品」と「個別評価型病者用食品」があり、熱中症に関する表示をして販売する場合には後者の個別評価型病者用食品として許可を得る必要があるためです。なお個別評価型病者用食品とは、特定の疾患のための食事療法として期待できる効果の根拠が医学的、栄養学的に明らかにされている食品として消費者庁が表示許可した食品のことです。
暑い日に熱中症対策として経口補水液を活用する際にはパッケージの「許可表示」を確認しましょう。熱中症に効果があると認められた製品の場合はここに記載があります。
経口補水液を適切に使うための3つのポイント
経口補水液を活用するときのポイントは3つあります。
1.平常時の水分補給としては用いない
経口補水液は感染性胃腸炎による下痢や嘔吐で脱水状態の方が医師から指示されたときや、脱水を伴う熱中症*のときなどに飲むものです。脱水状態ではないときなどに漫然と摂り続けると、健康に好ましくない影響を及ぼすことがあります。
*個別評価型病者用食品の経口補水液
2.食事制限がある人は医師などに相談する
医師からナトリウム、カリウムの摂取量について指示されている場合は主治医に相談してください。経口補水液にはそのほかに糖質も含まれているので、糖質の摂取量に制限がある人も注意が必要です。
3.「経口補水液を飲んでも良いか分からない」「飲み方や飲む量が分からない」など心配なときは医師、管理栄養士、薬剤師などに相談する
経口補水液はさまざまなメーカーから販売されているうえに、経口補水液に似た見た目の清涼飲料水も販売されています。ドラッグストアや薬局で選び方に迷ったときには薬剤師に声をかけてください。
■参考
・消費者庁:特別用途食品 許可品目一覧 令和6年6月24日更新
・消費者庁:経口補水液ってなに?
・消費者庁:特別用途食品について
・消費者庁:ご存じですか?経口補水液の知識
・厚生労働省:特別用途食品の許可審査基準の概要
【この記事は、Yahoo!ニュース エキスパート オーサーが企画・執筆し、編集部のサポートを受けて公開されたものです。文責はオーサーにあります】