【高野町(高野山エリア)】昆虫食の楽しみ方。和歌山でたぶん一番野生の虫を食べている男より
6月4日、6(む)4(し)の日にお送りする昆虫食の話題です。
注意!
本日の記事は昆虫食の話題です。
一般の方には不快感を覚える内容があるかもしれません。危険だと思った方はそっとページを閉じてください。
私は近年の昆虫食ブームに乗っかったわけでも、SNS映えを求めたわけでも、SDGs意識高い系でもなく、2013年から昆虫を食べ始めています。
そのきっかけは、
・元々好奇心旺盛で食に対して好き嫌いがなかった。
・道の駅や直売所で販売されている、地元ならではの商品を見る・食べるのが好きだった。
・20年ほど前から民俗学に興味を持ち、独学で勉強していく中で、イナゴやカイコを食べたり薬として利用する日本人の昆虫食文化を知った。
民俗学とは、かつての日常生活や文化、つまり人々の「あたりまえ」な暮らしを様々な側面から調査・研究する学問。
・尊敬する民俗学者 宮本常一 の学びのスタンス『歩く、見る、聞く』を自身でも実践していく中で、一つ加えて『歩く、見る、聞く、何でも食べる』とし、地域の多様性について調査し、学んでいた。
宮本常一:
生涯にわたって旅をし、約三千以上の村を足で歩きながら、村々を見て、お年寄りから話を聞いて学び、人々の暮らし・文化・経済を研究し、離島問題や地域開発、観光振興、農業指導に尽力した。
・昆虫食の普及活動を行われている団体「昆虫エネルギー研究所」や 内山昭一師と出会い、昆虫食を食べる機会が出来た。
これらの要素が絡み合い、「実は昆虫食って面白い文化ではないか?食べずに判断するのは何事も良くない」と思って虫を食べ始めました。
~~最近の私の昆虫食の楽しみ方~~
①自分で野生の虫を採集
私は山村に住んでおり、周りに自然があります。
なので、自分で虫を採集して、それを主に食べています。
自分で虫を採集に行くことで、季節による自然の移り変わりを味覚以外の五感で体感でき、ついでに食べられる野草や薬草や木の実も採集でき、一石三鳥。食べられる野草はお惣菜になります。
(なお、私の住んでいる針葉樹ばかりの山村よりも、開けた農村地域の方が、明らかに虫は採集しやすいです。そこはちょっとうらやましい。)
②虫の味の多様性を楽しむ
市販の昆虫食はバラエティグッズとしてのインパクトを重視したような種類や養殖しやすい昆虫の種類が多く、種類が限られますが、自分で捕った場合はその限りではありません。
捕った種類=食べることのできる種類です(毒虫は除く)。
また、市販品のようにパウダー化されておらず、全体を食べるので、虫の複雑な味わいを楽しめます。
好奇心旺盛な私は虫それぞれの味が気になるので、食べ比べも行います。
特に幼虫は食べた植物の味がするので、野草の味の特徴(酸っぱい/からい/渋い/甘い/脂肪分が多い等)を知った上で虫を食べると、その面白さがさらに増します。
※私は勉強した上で自己責任で食べています。
③調理はシンプルに
料理としての美味しさを追求することにそれほど興味はなく、基本的に虫本来の味の多様性に興味があるので、調理はシンプルです。茹でる、焼く、揚げる程度の工程で、味付けも塩コショウ、和の調味料のさしすせそも併用して試しています。
イナゴの佃煮なんかも大好きなのですが、昔の人の食べ方を再現してみようと、七輪を使ってイナゴを炭火であぶり、そこに時々砂糖醤油をぬりぬりしてあぶり焼きをしてみたら、ガス火を超える美味しさがありました。こういう実験も大好きです。
④日本の昆虫の可能性を探る
昆虫食の普及活動も行っているため、様々な虫の味を一般の人にも楽しんでもらうにはどうしたら良いのかは悩みどころです。
虫のカタチが無いと「昆虫食を食べた感じがしない」という人もいれば、「虫のカタチが見えないと食べられる」という人もいます。
そんな中で、我が家の近所の畑で捕れるカメムシをホワイトリカー+氷砂糖に漬け込んで熟成させてみたら、美味しい昆虫リキュール、カメムシリキュールになりました。
さわやかな青りんごフレーバーで、飲んでも絶対昆虫エキスだと気付く人はいないと思います。
日本の昆虫も、様々な可能性を秘めている気がします。
⑤地域コミュニティの中の昆虫食
私が住んでいる山村は高齢の住民の方も多いです。
そんな地域で、よくあるのは家の軒下や近所にスズメバチの巣が出来た、ということ。
体の曲がったお年寄りが駆除するのは難しいし、業者に頼んで山の中まで来てもらうとそれなりのお金がかかります。
そんな時に、私は蜂の巣駆除のお手伝いをして、殺虫剤を使わず巣を取り外します。地域の方は喜んでくれるし、私は新鮮で貴重なハチノコが手に入って有難く、お互いWin-Winになれます。(殺虫剤使わず捕るのは危険なので毎回ではないです)
また、無農薬栽培されている方の畑で害虫駆除がてら虫捕りをすると、これもまたお互いWin-Win。農家さんは虫がいらない、私は虫が欲しい。
(地域の方)「捕ったその虫どうするの?」
(私)「食べまーす」
と答えると確実に変わった子扱いされますが、高齢者の方の場合は自身の親や祖父母から昆虫食に関わる話や実例を見たり聞いたりしたことがある方も多く、昆虫食本には載っていない『活きた昆虫食のリアル話』を聞けたりします。
このような地域への関わり方もあります。
昆虫食はまだまだ研究としても商品としても発展途上で、SDGsに寄与し、未来食の可能性があり、有効なタンパク源なのかもしれません。どんどん新しいお店、新しい商品、新しい情報が出てきています。
ただ、それら全てを受け入れる必要は無いと思っています。
たまたま私は田舎に住んでいて、田舎には豊かな自然があり、虫もいて、資源として日本人が使ってきた経験知があり、それを活用しない方がもったいないので、私は虫も食べます。
他にも、ジビエ(免許あり)、世間的には地味な川魚、田んぼのタニシ、日本の薬草、山菜や木の実なども自分で採集して、地域の自然丸ごとを私は頂いています。
~~今から虫を食べてみたい方へ~~
都市部に住んでいて、身近に虫がいないという人は通販でも全く問題ありません。むしろ、初心者の方は安全のためにも市販の虫から入られると良いと思います。
昆虫食通販大手のバグズファームさんは、ちょうど今日6/4までキャンペーンされてます、良かったら覗いてみてください。
野生の昆虫を食べたい方は、既に様々な昆虫食の本が出ておりますので、それらをご参考にして明らかに安全だと判断できた虫から食べてみてください。その際は必ず加熱処理してください。
食べられる植物の勉強も一緒にすると、なお昆虫食の面白さが増すと思います。
一般的にはまだまだゲテモノ扱いの範疇から脱し切れていない昆虫食ですが、「押し付けられる昆虫食」ではなく、「自分から好奇心を持てる昆虫食」へと目線を変えるきっかけになれば幸いです。
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いなか伝承社 代表
田中寛人
住所:和歌山県伊都郡高野町東富貴519-2
メール:inakadss@gmail.com
FB:https://www.facebook.com/inakadss
専門は「地域資源の掘り起こしと可視化」による地域おこし、地域活性化の支援。具体的にはそこにしかない体験コンテンツ造成や商品開発支援など。
コンセプトは『歩く、見る、聞く、何でも食べる』
机上の空論ではなく、自分が動いて地域を知った上でお手伝いさせていただいています。
あ、過去には、日本初の昆虫発酵調味料なども実際に醸造・販売しておりました。