8点リードが終わってみれば1点差、ギリギリの勝利《5/3 阪神ファーム》
きのう5月3日は、阪神甲子園球場でのウエスタン・広島戦でした。ファームにとって今季初の甲子園開催が連休とも重なり、朝早くから入場を待つ方々の列ができていたとか。まあ連日1万人を超えた昨年のゴールデンウィーク(5月3日~5日)ほどではなかったけれど、開門が30分早まったため『選手のお出迎え』はなし。きょう4日も同じ…いえ、さらに早まり10時30分の開門だったそうです。
さて、きのうの試合は榎田投手が1回に1点を失ったものの以降はしっかりと抑え、打線が序盤と中盤に得点して9対1と大量リード!ところが8回と9回に計8点を返されたうえ、逆転のピンチまで招いてしまったのです。8回に追加した1点のおかげで(?)逃げ切りましたが、予定外の登板だったメンデス投手はついに失点してしまい、でも7セーブ目。とりあえず勝率5割同士だった広島に勝って阪神は貯金1、単独3位となっています。そういえば昨年も、この時期に甲子園で戦った相手は広島でしたね。
《ウエスタン公式戦》5月3日
阪神-広島 7回戦 (甲子園)
広島 100 000 026 = 9
阪神 020 142 01X =10
◆バッテリー
【阪神】○榎田(2勝)‐伊藤和‐山本‐石崎‐Sメンデス(7S) / 長坂‐坂本(8回~)
【広島】飯田(3回)-藤井(2回)‐小野(1回)‐江草(1回)‐今井(1回) / 船越‐白濱(7回~)
◆本塁打 陽川3号3ラン(藤井)
◆二塁打 庄司、植田、上本、桑原、バティスタ
◆打撃 (打-安-点/振-球/盗/失) 打率
1]遊:植田 (4-2-0 / 0-1 / 1 / 0) .262
2]二:森越 (2-0-0 / 1-0 / 0 / 0) .246
〃打:西田 (1-0-0 / 0-0 / 0 / 0) .370
〃投:伊藤和 (0-0-0 / 0-0 / 0 / 0) ―
〃投:山本 (0-0-0 / 0-0 / 0 / 0) ―
〃打:今成 (1-1-0 / 0-0 / 0 / 0) .299
〃投:石崎 (0-0-0 / 0-0 / 0 / 1) ―
〃投:メンデ (0-0-0 / 0-0 / 0 / 0) ―
3]中:伊藤隼 (4-1-2 / 1-1 / 0 / 0) .312
4]左一:陽川 (5-2-4 / 0-0 / 0 / 0) .270
5]一:新井 (4-1-0 / 1-0 / 0 / 0) .500
〃左:俊介 (0-0-0 / 0-1 / 0 / 0) .222
6]三:大山 (4-2-0 / 1-1 / 1 / 1) .239
7]右:緒方 (4-2-1 / 0-0 / 0 / 0) .282
8]捕:長坂 (3-1-1 / 0-0 / 0 / 0) .167
〃打捕:坂本 (1-0-0 / 0-0 / 0 / 0) .000
9]投:榎田 (1-0-1 / 0-1 / 0 / 1) .000
〃打二:板山 (2-1-0 / 0-0 / 0 / 0) .198
◆投手 (安-振-球/失-自/防御率) 最速キロ
榎田 6回 63球 (4-2-1 / 1-1 / 2.48) 137
伊藤和 1回 20球 (0-1-1 / 0-0 / 0.00) 140
山本 1回 29球 (3-0-1 / 2-2 / 1.93) 135
石崎 0.1回 30球 (1-1-3 / 5-1 / 4.50) 152
メン 0.2回 9球 (2-2-0 / 1-1 / 0.66) 156
試合経過
1回に庄司の二塁打とバティスタの左前打で1点を失った榎田。しかし打線が2回、新井からの4連打と榎田の押し出し四球で2点を取り逆転!4回には先頭の大山が中前打し、暴投で二塁へ。緒方の左飛で三塁へ進むと、また暴投で生還しました。5回は植田が二塁打(セカンド後方の飛球を上本がグラブに当ててポロリ…)、森越が初球で送って伊藤隼の四球で1死一、三塁。続く陽川がレフトスタンド中段へ文句なしの3ラン!2死後に四球を選んだ大山が盗塁を決め、緒方のショート内野安打で一気に生還して、この回4点を加えています。
6回にも代打・板山の右前打と、植田の左前打を下水流が後逸するエラーも重なって1死二、三塁のチャンスに伊藤隼が中前へ2点タイムリー!これで9対1とリードを広げました。
榎田は、2回1死からサード・大山が打球をはじくエラーがあったものの併殺で無失点。3回は三者凡退で、4回も左前打されたバティスタの二盗を長坂が刺して3人で終了。5回は2死から桑原に中前打、自身の牽制悪送球で二塁へ進めますが続く上本のライナーをレフト・陽川がナイスキャッチ!6回は先頭に四球を与えながら併殺打もあって3人で片づけ、6回4安打1失点で交代です。
7回は伊藤和が登板。先頭への四球のみで代打・岩本を三振に、代打・土生は投ゴロ(二塁への送球がワンバウンドになるも植田がよく捕って一塁はアウト)などで無失点。その裏は江草に対して三者凡退です。この時、長坂の代打で坂本が登場し、スタンドからは大きな拍手がありました。
その坂本がマスクをかぶり、8回のピッチャーは山本。桑原に内野安打、上本に左越え二塁打でいきなり無死二、三塁として1死後に庄司の二ゴロで1点。メヒアの四球に続いてバティスタが左前タイムリー。2点を返されます。その裏に板山がセカンドのエラー、植田の投ゴロで走者が入れ替わり、代打・今成は左前打で1死一、二塁。2死後に陽川が右前タイムリーを放って10対3とします。まだまだセーフティーリード、だったのですが…
9回は石崎が1死を取ってから、代打・坂倉を自身の送球エラーで二塁へ。続く桑原に左中間へタイムリーを浴びました。ここから、なんと3連続四球!押し出しで2点目を与えて交代です。なおも1死満塁で登板したメンデスが初球でメヒアを打ち取り、あと1人コール。ところがバティスタにも初球を打たれ、これが右中間へ豪快な二塁打。走者一掃のタイムリーとなって10対8…。次の美間に右前タイムリーを浴び、1点差とされましたが、最後は土生を三振に仕留めて試合終了。
掛布監督が語る、誤算と収穫
試合後、ベンチで囲んだ掛布監督の談話です。「榎田、先制はされたけどテンポがいい。それが攻撃のリズムを作る。メンデスは使わずにまとめたいと思ったんだけど、石崎がああいう状態になってしまって。あしたのことを考えて置いておきたかったんだよ。そこが大きな誤算。山本はいい時に比べると、ねぇ。この点差でピッチャーを何人か使うと、1人くらい合わないのも出てくるけど、ここまでとは思わなかったなあ」
そして、もう一度「あしたのことを考えると、メンデスを使ったってのが…。あしたどうかな。3連投はさせないんで。他に?守屋とか」と繰り返しました。次に野手の話になっても「陽川はいいとこで1発が出たね。ここにきて状態が上がってきている。きょうは石崎の誤算と、陽川が上がってきたことだね」と、メンデス投手を登板させるに至った石崎投手の乱調が悔やまれるようです。
2安打した大山選手について「彼は打つ、打たないより(試合に)出しておこうという、それだけですよ。エラーしたから、ああいう形でヒットが出てよかったし、いい進塁判断もした。勇気のいる進塁だったと思うよ。魅力を感じたね。すごく楽しみな部分が増えた」と掛布監督。それにしても、いい場面で回ってくることが多い気がします。「持ってるんじゃない?(笑)。これだけのお客様の前でミスをして、どう対応したらいいか考えたかも。打席で、下から上へ伸び上がるのを直そうとしているんだけど、高めに浮いた球の前さばきがよくなってきたね」
また、実戦に復帰した坂本選手のことを聞かれた掛布監督は「あいつ出してから、もつれたなあ」と言い、我々を見てニヤリ。そのあと「あのケガがなければ1軍のベンチにいる選手。これから(試合は)坂本中心にやっていかないと。山田コーチと考えていきます」と話しました。
「中継ぎのつもりで」6回63球の好投
榎田投手は「初回にちょっとボールが多かったけど、あとはリズムよく投げられたと思う」と試合を振り返りました。6回で63球という、非常に少ない球数も「少ないに越したことはないですけど意識はしていません。1軍でそれは無理なので、今の力量を考えてやるだけです。ゾーンで勝負していこうということで、それなりにコースにいっているから悪くはないのかなと思います」。淡々とした答えです。
緩い変化球については「長坂が、バッターを見ながらうまくリードしてくれました。1球ごとに彼もよく考えてくれたので、リズムよく投げられた。(盗塁阻止など)守備面もしっかりやってくれていますし」とルーキーキャッチャーをたたえる榎田投手。今季は投手が打席に立つ機会もあり「打席に入るのは新鮮で、野球を楽しくできるかなって感じですね。バッティングは好きなので」と笑顔。2回は押し出しの四球、4回は一ゴロ、どちらも2死での打席でした。
それに絡めて1軍のことを聞かれると「特に1軍どうのとは考えていなくて、今をしっかりと。先発で長いイニングを投げようと考えすぎていたのを、中継ぎのつもりで1イニング1イニングをしっかり投げるという意識です」と、これは好投を続けている最近、榎田投手がいつも口にしていることでもありますね。
復帰戦でマスク、8失点を猛省
3月7日の教育リーグ・オリックス戦で死球を受け、右手親指を骨折していた坂本選手が実戦に復帰しました。7回に代打で出場し、そのままマスクをかぶっています。「代打と言われていたので(準備して)いけました。久しぶりだったので、ちょっと緊張しましたけど、試合に出られたということで。そこだけですね、きょう良かったのは」。ほとんど笑顔はありません。
「僕が出てから試合がバタバタしちゃったので。チームにもピッチャーにも申し訳ない。早く慣れるというか、ゲーム感覚を取り戻していかないと、こんな状況では使ってもらえないので。もう一度気を引き締めてやらなきゃダメです。一回一回しっかり準備して、アピールしてきたい」
キャッチャーの競争に、これから加わっていくことになりますが「それは与えられるものではなく自分でつかみにいくもの。ちょっと遅れましたけど、試合に出られるようになったのでチャンスはあると思うし、いいアピールをしていきたい」という坂本選手。復帰戦が予想以上に長い守りとなったため疲れたのでは?と尋ねたら「疲れたとか言ってられない。きょうの試合、一歩間違えたら逆転されていた。ああいう場面で出ていって、もっとやることがあったはず」と最後まで険しい表情でした。
4打点の陽川、2安打の大山
マルチヒットに盗塁も決めた大山選手は、ヒットについて「追い込まれていたので、とりあえずバットに当てるというか、一球一球必死にやった結果です」と初々しいコメント。掛布監督の言葉を使え聞き、対応力という点は「どう打つかというのは、打席の中ではあまり考えていない」そうですが、走塁に関しては「サインもあるし、常に次の塁を狙っています」とのこと。
最後は3号3ランの陽川選手です。「追い込まれていたので何とかしようと思いました。形は、いい結果だったのでよかった」。4番がしっかりすると、と掛布監督は常に言っていて、陽川選手も「これまでの試合で(4番の)仕事ができていなかった。これからできるようにしたいです。意識しすぎると力みが出るので、まずは一球一球に集中したい」と、期待に応える気満々です。
なお8回2死一、二塁でのタイムリーは「3‐2と追い込まれて、ランナーも走りかけていたので、右方向を意識してバットに当てれば何か起こると思っていた」と陽川選手。その通りに右前打を放ち、二塁から植田選手が還って、のちに思えば値千金の10点目が入ったわけです。4番の仕事キッチリ!でしたね。