Yahoo!ニュース

政治局常務委員は解任されたが、粛清を免れた李炳哲元帥! 朴正天軍総参謀長も健在が確認!

辺真一ジャーナリスト・コリア・レポート編集長
祖父の命日に宮殿に参拝した金正恩総書記と随行者(労働新聞から筆者キャプチャー)

 祖父・金日成(キム・イルソン)主席の命日にあたる今朝、金正恩(キム・ジョンウン)総書記は錦繍山太陽宮殿に恒例の参拝に現れたが、先月末の労働党政治局拡大会議で「党の決定と国家的な最重大課題の遂行を怠った」と批判された軍No.1の李炳哲(リ・ビョンチョル)政治局常務委員(党軍事副委員長)と政治局員でもある軍No.2の朴正天(パク・チョンチョン)総参謀長の二人も他の党、軍幹部と共に参拝に随行していた。

 その一方で、政治局拡大会議で中座したのか、退席させられたのか定かではなかった党序列11位の保健部門も兼務している崔相建(チェ・サングォン)政治局員(党書記兼科学教育部長)の姿は見えなかった。

(北朝鮮で「重大事件」が発生! 軍No.1とNo.2の元帥が更迭!)

 整列した際の立つ位置をみると、本来ならば金総書記と並んで一列目に立ってしかるべき李炳哲氏は政治局員候補が並んでいる3列目に朴太徳(パク・テドク)党規律調査部長と李鉄萬(リ・チョルマン)党農業部長との間に挟まれて立っていたことから政治局常務委員を解任され、2ランク下の政治局候補に降格した模様だ。

 朴正天軍総参謀長は政治局員が並ぶ2列目に立っていることから政治局員からは降格されておらず、総参謀長のポストもそのまま維持されているようだ。但し、軍の階級は元帥から次帥に下げられていた。また、立つ位置がいずれも大将である権英鎮(クォン・ヨンジン)軍総政治局長、李永吉(リ・ヨンギル)社会安全相、鄭京澤(チョン・ギョンテク)国家防衛相の次の順であったことから軍の序列は下がったものとみられるが、次帥が大将よりも序列下とはなんとも不自然だ。

 写真が不鮮明なため今一つ、断言できないが、国防相の金正寛(キム・ジョングァン)大将らしき人物が4列目にいることだ。政治局員でもあり、通常ならば、2列目の権英鎮軍総政治局長の隣に立ってしかるべきである。仮にこの人物が別人ならば、それはそれで金国防相の欠席が気になるところである。

 李氏と朴氏の2人は「党の決定と国家的な最重大課題の遂行を誤り、革命事業の発展に莫大な阻害を及ぼし、経済活動と人民生活の安定を重大に阻害し、怠慢、怠業行為を行った」ことから全ての職、肩書を剥奪され、粛清された可能性も指摘されていたが、今回の処分は2017年10月に「不純な態度」や「規律違反」が問題にされ、労働党組織指導部第一副部長に降格した当時序列3位の黄炳誓(ファン・ビョンソ)政治局常務委員の処遇に近いものとなった。

 なお昨日、韓国では金総書記が痩せたことや軍No.1とNo.2を叱責したことなどから「金正恩死亡説」や「クーデター発生」のデマ情報が株式市場を駆け巡り、情報機関の国家情報院は「(金総書記の)身辺に異常はない」と打ち消しに躍起となっていた。今日午前零時に金総書記が参拝に現れたことで健在が確認された形となった。

(北朝鮮でクーデターは起きないのか?)

ジャーナリスト・コリア・レポート編集長

東京生まれ。明治学院大学英文科卒、新聞記者を経て1982年朝鮮問題専門誌「コリア・レポート」創刊。86年 評論家活動。98年ラジオ「アジアニュース」キャスター。03年 沖縄大学客員教授、海上保安庁政策アドバイザー(~15年3月)を歴任。外国人特派員協会、日本ペンクラブ会員。「もしも南北統一したら」(最新著)をはじめ「表裏の朝鮮半島」「韓国人と上手につきあう法」「韓国経済ハンドブック」「北朝鮮100の新常識」「金正恩の北朝鮮と日本」「世界が一目置く日本人」「大統領を殺す国 韓国」「在日の涙」「北朝鮮と日本人」(アントニオ猪木との共著)「真赤な韓国」(武藤正敏元駐韓日本大使との共著)など著書25冊

「辺真一のマル秘レポート」

税込550円/月初月無料投稿頻度:月3回程度(不定期)

テレビ、ラジオ、新聞、雑誌ではなかなか語ることのできない日本を取り巻く国際情勢、特に日中、日露、日韓、日朝関係を軸とするアジア情勢、さらには朝鮮半島の動向に関する知られざる情報を提供し、かつ日本の安全、平和の観点から論じます。

※すでに購入済みの方はログインしてください。

※ご購入や初月無料の適用には条件がございます。購入についての注意事項を必ずお読みいただき、同意の上ご購入ください。欧州経済領域(EEA)およびイギリスから購入や閲覧ができませんのでご注意ください。

辺真一の最近の記事