チャンドラヤーン2、通信途絶の着陸機を発見か
2019年9月7日、月南極域への着陸降下中に通信途絶したインドの月探査機チャンドラヤーン2の着陸機が発見された可能性があることがわかった。インド宇宙研究機関ISROは、着陸機との通信を試みるという。
チャンドラヤーン2の着陸機ヴィクラムの消息について、8日午後インドの通信社アジアン・ニュース・インターナショナル(ANI)はISROのK.シヴァン総裁の電話取材コメントを報道した。報道によれば、シヴァン総裁は「月面でヴィクラム着陸機の所在を発見し、周回機は着陸機の熱画像を撮影した」と語ったという。
月探査機チャンドラヤーン2は、月の周回軌道を飛行する周回機、月面に着陸するヴィクラム着陸機、月面を走行し探査するローバーのプラギヤンから構成されている。9月2日にヴィクラム着陸機は周回機から分離に成功しており、周回機が月の軌道上で活動していた。周回機は複数のカメラを備えており、ヴィクラム探査機の通信途絶後に所在確認を試みていたと思われる。
周回機には、IIRSと呼ばれる赤外線分光カメラが搭載されている。ヴィクラム着陸機を熱画像で捉えたとすれば、この赤外線カメラだと考えられる。位置が特定できれば、周回機に搭載されている分解能32センチメートルの高解像度カメラ(OHRC)による詳細画像が撮影できる可能性もある。
シヴァン総裁は、「ヴィクラム着陸機との通信の確立を試みている」とも述べたといい、消息不明の着陸機の発見、状況確認を行っている最中だという。月面から高度2.1キロメートルで通信ができなくなったヴィクラムの着陸の成否については「何かを述べるにはまだ早い」と状況確認に集中している様子をうかがわせた。
チャンドラヤーン2の周回機は月軌道で1年間観測を行う予定だったが、7日のISROコメントによれば「7年間は観測を続けることができる」という。健全な状態の周回機により、予定よりも長期間の観測を行って月探査を進める予定と思われる。周回機にはIIRSを始め、月の南極域に存在するとされる水を検出する機器を備えている。今後、着陸探査ができなかったとしても水の発見に関する手がかりを得ることができる。