インド月探査機チャンドラヤーン2、降下中に通信途絶
2019年9月7日、インドが月の南極域への着陸探査を計画していた探査機チャンドラヤーン2は、ヴィクラム着陸機が月面への降下を開始してからおよそ22分後に探査機との通信が途絶えた。インド宇宙研究機関ISROは、着陸機との通信が途絶えたことを認め「データを解析中」とコメントした。
7日早朝からインドの月探査機Chandrayaan-2(チャンドラヤーン2)の着陸機Vikram(ヴィクラム)による月の南極域着陸を実施していた。ヴィクラム着陸機は、降下開始から22分ほどは順調に降下を続けていたが、「ファイン・ブレーキング・フェーズ」と呼ばれる減速中に通信が切断された。ISRO管制室のモニターには、探査機が計画の軌道から逸脱したと見られる様子が表示されている。
ISROのツイートによる発表では「ヴィクラム着陸機は高度2.1キロメートルまで正常に動作し計画通り降下していた。その後、着陸機と地上局との通信が途絶えた。データを解析中である」としている。
ヴィクラム探査機の着陸を管制室で見守っていたナレンドラ・モディ首相は、探査機チームを祝福してすでに退出しており、探査機との通信回復や着陸再開の見込みは低いと考えられる。降下中の通信途絶は、着陸機の月面衝突を反映したと考えられ、着陸失敗の可能性が高い。
【追記】
日本時間2019年9月7日22時40分ごろ、ISROはヴィクラム着陸機のその後について声明を発表した。
ヴィクラム着陸機は、高度35キロメートルから地上2キロメートル直下まで、計画通りの軌道に沿って降下した。着陸機に搭載されたすべてのシステムとセンサーは、この時点まで優れた機能を発揮し、可変推進技術などの多くの新しい技術を実証してみせた。定義されたサクセスクライテリアに沿って、これまでミッション目標の90〜95パーセントが達成されている。着陸機との通信は喪失したものの、月の科学に対する貢献は続く。
声明は上記のように述べ、着陸の成否についてはコメントしなかったものの、ヴィクラム着陸機との通信回復が難しいことを示唆した。また、周回機が正常に機能していることを強調し、チャンドラヤーン2ミッションは分解能0.3メートルのカメラなどのミッション機器を搭載した周回機によって継続されることを強調した。