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焼鳥好きは押さえたい新店! ひと口で感動する「熱ふわ」ささみは必食【津田/東京】

今回、冒険するのは東京都品川区西五反田の焼鳥屋「津田」。目黒駅からたった1駅。不動前駅周りは飲み屋もちらほらとあるものの小ぢんまりとしていて、すぐその先は閑静な住宅街が広がっている。そんな小さな町に2023年冬、焼鳥屋「津田」がオープン。扱うのは茨城県の銘柄鶏・つくば茜鶏。ここ数年、高級店の出店が相次ぐ東京において〝手の届く〟うまい店の誕生だ。

焼鳥屋とは思えない外観
焼鳥屋とは思えない外観

外観を見るに、何も知らずに歩いて「津田」と出合うのはちょっと難しそうだ。というのも、店頭の外灯に描かれているのはたった1本の焼鳥。加えて、入口はまさかのアルミサッシ。傍から見れば、焼鳥屋というよりも何かの営業所に思うかもしれない。

それでも、引き戸を開ければしっかりと焼鳥屋。席はL字カウンターのみ。焼き台からもうもうと登り立つ煙を見た途端、「ぐぅ」と腹が鳴る……。俄然、焼鳥気分。こうなれば、腹がはち切れるまで食べるしかないというもの。

ささみのさび焼きにただ感動……

さび焼き
さび焼き

さぁ、待ちに待った1本目はささみのさび焼き。多幸感を感じさせる、ふくふくとしたフォル厶。口に運べばしっかりと熱く、それでいて芯は一切のパサつきがなく、ほぐれていくよう……。そう、これこれ! 言ってみれば「熱ふわ」のさび焼き。理想的で美しい1本だ。

よく、ささみの表面だけに火を入れたネタも見かけるけれど、ささみだって肉。火をちゃんと入れたほうが肉のうまみが際立つ。とはいえ、やわらかく仕上げたい……。そのバランスが難しいところなのに、津田さんはさらりとやってのける。このさび焼き、高級店顔負けだ。

砂肝
砂肝

せせり
せせり

銀杏
銀杏

さび焼きがこうもうまいと、続く串も期待してしまうというもの。ジャクッと力強い砂肝に、プリッとしたせせり、もちもちの銀杏……。いいね。うまみと食感の緩急は、間違いなく焼鳥の醍醐味。それに、このやや強めに当てた塩がいい塩梅。どうりで気づけばビールグラスに手が伸びているわけだ。

むね肉の一品は名物の予感

抱き身(むね肉)
抱き身(むね肉)

ちょっとした肴に、肉味噌ピーマン
ちょっとした肴に、肉味噌ピーマン

続いて「抱き身です」と差し出されたのは串ではなく、小鉢。香ばしく焼き上げられた胸肉の上には、こんもりと盛られた大根おろし。さらに大葉などの香味野菜を天高に飾って……。これは印象的だなぁ。

鶏のたたきのようなしっとりとした弾力。どこまでも爽やかな香り。んん。これはそそられる。抱き身は2貫。でも、余ったおろしさえも肴になるんだ。

梅干しサワー(お酒は20歳になってから)
梅干しサワー(お酒は20歳になってから)

食道の豊かな食感がやみつきに

食道(ストローやさえずりと呼ばれることも)
食道(ストローやさえずりと呼ばれることも)

ここで希少部位の食道とは嬉しい誤算! 都内でもこのネタをおいてある店はなかなか見かけないんだ。コリッ、サクッとしてクリスピー。これにキレのあるタレが、まぁ、よく合うこと。吞兵衛なら間違いなくハマる1本。

ねぎま
ねぎま

ねぎまはもも肉やむね肉ではなく、かた肉というのは珍しいなぁ。ムチッと跳ねるような弾力で、あっさりとしながら噛むほどに味わい深い。焼鳥は焼肉やもつ焼きに比べて、食感の緩急に富んでいる食べ物。そういうところも、好きなんだよ。

食べる前からうまいじゃがバター

じゃがバター
じゃがバター

そして、じゃがバター。焼鳥の流れを考えると、でんぷん質の野菜よりみずみずしい野菜の方が合うとは思うのだけど、いやぁ……じゃがいもは強い! 食べる前からうまい! アッツアツのホックホクに焼き上げられたじゃがいもに、バターを添えて。うん、もう完敗。

厚揚げ
厚揚げ

厚揚げもお見事。最近は厚揚げを串に打つ店も少なくなってきたようにも思うけれど、こういう町焼鳥に来ると厚揚げ串を無性に食べなくなる。もう、火傷上等。素朴ながら家では味わえない香ばしさに酒もぐぐぐっ。

つくねがうまい店にハズレなし

塩つくね
塩つくね

皮

レバー
レバー

塩つくねと皮、レバー。やや粗挽きのつくねは噛むほどにうまみがぐぐぐっ。皮はふだん塩で食べることが多いけれど、タレだって抜群だ。鼻をくすぐる香ばしさと、もっちり吸い付くような食感がたまらない! そういえば食べていなかったのがレバー。これもふんわりと仕上がり、ネガティブな臭いは皆無。どれも王道のネタだけに、「ちゃんとうまい」ことが嬉しい。

大ボリュームが嬉しいそぼろ丼

そぼろ丼
そぼろ丼

気付けば、15本近く。まだ串を頼みたい気持ちもありつつ、〆も食べたいとなるとこのあたりが引き時。シンプルにそぼろ丼を頼んでみれば、これがまた大ボリュームときた。そぼろもしし唐も、見るからに豪快。

これは予想外……。そぼろ丼は焼鳥屋の定番だけれど、やや小さめの丼に盛られることがほとんど。さすがに「食べきれるのだろうか?」と一抹の不安を覚えたものの、これが不思議なもので、するり、するりと収まってしまう。しっとりとして、味も申し分なし。無事、完食だ。

二人で思い描いた焼鳥をカタチに

左が大森さん、右が津田さん
左が大森さん、右が津田さん

さすがにこれだけ食べれば、もう2軒目はいらない。心も胃袋も充分、満たされた。「津田」の何がいいかといえば、うまい焼鳥がアラカルトでもセットでも好きなように頼めるということ。新店となるとコースのみの高級店ばかりオープンする東京焼鳥シーンにおいて、これは貴重。

「僕達の思い描いた焼鳥を楽しんでもらえたら嬉しい」と津田さん。頼れる相棒・大森さんとともに作り上げたのは、焼鳥好きが通える居心地のいい店。素材も味も妥協せず、それでいて手の届く価格で……。大げさに言えば、町焼鳥の新時代を告げるかのようなインパクトが「津田」にはあった。なんだろう。ずっと、こういう焼鳥屋が生まれるのを待っていた気がするよ。

▼冒険のおさらい

①「熱ふわ」のさび焼きは必食

②希少部位や焼き野菜もうまい

③焼鳥はアラカルトもセットも可

店舗情報
【店名】津田
【最寄り駅】不動前駅
【住所】東京都品川区西五反田5-9-18
【予約】03-6684-7347
【定休日】日曜、隔週月曜
【串のアラカルト】あり
【セット】あり
【鶏メモ】つくば茜鶏

毎週、焼鳥三昧! 焼鳥を斜めに逆さ撮りする〝ヤキトリスト撮り〟は元祖にして名刺代わり! 「焼鳥は串柄、人柄」をテーマに、大衆的で気兼ねない町焼鳥から、鶏にこだわり1本1本に心血を注ぐ専門店まで焼鳥まみれの日々を送っています。焼鳥好きの方、フォローよろしくお願いします!

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