台風・浸水時に役立つ携帯トイレの使い方
震災・浸水時などに水洗トイレが使用できなくなった際、どのようにトイレ機能を確保したらよいかを説明します。最初にお伝えしますが、携帯トイレは震災時にも役立ちますので、ぜひ備えてください。
携帯トイレとは何か?
携帯トイレとは便器に取り付ける袋式のトイレで、吸収シートや凝固剤を入れて、うんちとおしっこを安定化させる製品です。携帯トイレのメリットは、建物内のトイレを有効活用できることです。どういうことかというと、停電や断水、または汚水を流せなくなったとしても、トイレの個室と便器は何ともないので、それらを上手く活用しましょうということです。排泄するには、安心できる空間が必要なので、できるだけいつもと同じ環境を整えることが効果的なのです。ただし、便器に水のうを詰めた場合は、別のところに携帯トイレをセットする必要があります。携帯トイレ(製品)は、吸収量や凝固継続期間、臭気対策などによってさまざまな製品が開発されています。性能を公開していますので、こちらを参考にしてください。
使用後の携帯トイレの処分方法は市区町村に確認することが必要です。多くの場合は可燃ごみになると思います。可燃ごみとして出す場合は、「し尿ごみ」ということがわかるようにして出すことを提案します。ごみ収集車で破裂して作業員がし尿を浴びてしまったことがあるからです。
携帯トイレの取り付けかたと備蓄量
携帯トイレを便器に取りつける方法を説明します。通常、便器の中には水がたまっていますので、いきなり携帯トイレを便器に取りつけると、袋が水でぬれてしまうので携帯トイレを交換する際に水がポタポタ垂れてしまいます。
そこで、まずは便座を上げた状態にして、便器にポリ袋(45リットル程度)を被せます。便器がすっぽり被さるとよいです。ポリ袋を取りつけたら便座を下ろし、その上から携帯トイレを取りつけます。使用するたびに携帯トイレのみを交換すればよいです。
つづいて、携帯トイレをどのくらい備えたらよいかです。最初に結論をいいます。備蓄量の計算式は「(1日当たりのトイレ回数)×最低3日間」です。最低3日間と書きましたが、どのくらいの日数が必要かは災害の規模によってことなります。東日本大震災のとき、浦安市では30日以上にわたって水洗トイレが使用できない地域もありました。
1日当たりのトイレ回数は、人それぞれです。ご自身のトイレ回数を数えることをおすすめします。「避難所におけるトイレの確保・管理ガイドライン」(内閣府(防災担当))には、災害時の目安として「トイレの平均的な使用回数は、1日5回」という数値がありますので、それを当てはめると「5回×3日間=15回」となるので、1人当たり少なくとも15回分を備えていただきたいと思います。
災害時に、もしも携帯トイレがない、もしくは足りなくなった場合は、身近にあるもので対応せざるを得ません。その場合は、例えば、ポリ袋の中におむつや尿とりパッドのようなものを入れて水分を吸収させることが必要です。何かに吸収させて安定化させるという意味です。
2018年の北海道胆振東部地震の避難所、2019年の台風19号の都市部におけるタワーマンションなどで、携帯トイレが役立ちました。平常時に携帯トイレを一度使ってみて、使いやすさなどを確認しておくことをおすすめします。
携帯トイレと一緒に備えた方がよいもの
安心してトイレを使うには、携帯トイレ以外にもさまざまなアイテムが必要です。
まず、トイレには窓がない場合が多いので、停電すると真っ暗です。暗いと不安ですし、失敗したら掃除する水もないので大変です。そのため照明が必要です。照明は空間全体を照らすランタンタイプが良いです。両手がフリーになるヘッドライトも役立ちます。また、断水で手を洗うことができないとしても、ウェットティッシュやペーパータオルがあれば、それで拭き取ることで汚れや菌等の数を減らすことができます。アルコールを含んだ手指消毒薬の備えも必要です。
そして、忘れてはいけないのはトイレットペーパーです。新型コロナウイルス感染症による外出自粛の際、誤った情報が拡散されることでトイレットペーパーが店頭からなくなりました。いざというときに焦らないようにするためには、自分が1回当たりにどのくらいの長さを使用するのかを測っておくと、1か月にどのくらい必要なのかが分かります。自分に必要な量を把握して備えておくと、焦らなくて済みます。
水や食料にくらべると、トイレの備えはかなり遅れています。いざというとき、他人にトイレを借りるのは言いにくいものです。ですから、安心して避難生活を継続するために、ぜひ携帯トイレを備えてください。
参考:トイレの汚水が逆流する兆候 浸水時のトイレ対応を考える
【この記事は、Yahoo!ニュース個人編集部とオーサーが内容に関して共同で企画し、オーサーが執筆したものです】