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大雨のときのトイレの使い方

加藤篤特定非営利活動法人日本トイレ研究所 代表理事
携帯トイレを取り付けたところ(写真:NPO法人日本トイレ研究所)

九州北部を中心に記録的な大雨による被害が発生しています。この記事では、在宅も含めた避難時のトイレ対応について説明します。

まずは安全な場所への避難が最優先です。

事前に離れた安全な地域へ避難することや、垂直避難として高い階に行くことなどが考えられます。

発災後、3時間以内に4割がトイレに行く

そのあと、水や食料が必要になるのですが、それらより早く必要になることがあります。それは、トイレです。

過去の災害では、発災後3時間以内に約4割、6時間まで含めると約7割の人がトイレに行きたくなったというデータもあります。つまり、水や食料より先にトイレ対応が必要になるのです。

安心できるトイレがないと水を飲めない

排泄は我慢できませんし、1日何度も必要になります。ここで知っておいてほしいことは、私たちは安心してトイレが使えないことがわかると、水や食事を摂れなくなってしまうということです。

熱中症やエコノミークラス症候群を予防するため水分をしっかり摂るべきときに、トイレが原因で飲めなくなります。

だからこそトイレの備えが大事です。

トイレ逆流の恐れ

大雨で道路が冠水したり、床下浸水等が起きたりするということは、地中にある下水道も浄化槽も満水なので、水洗トイレは使えない可能性が大きいです。無理に流しても流れていかなかったり、一階から溢れたりすることも考えられます。

もしも、便器の中からボコボコと空気が出る、溜まっている水が跳ね出すことがあれば、それは逆流の兆候です。

基本的には周辺の水が引くまで水洗トイレは使えないと思った方が良いです。

携帯トイレの使い方

このようなときに役立つのが「携帯トイレ(便器に取り付けて排泄する袋)」です。

携帯トイレとは、袋の中に吸収シートや凝固剤を入れて、うんちとおしっこを安定化させる製品です。

携帯トイレのメリットは、停電や断水、または汚水を流せなくなったとしても、トイレの個室と便器があれば、それらを上手く活用できることです。

携帯トイレをいきなり取り付けると、便器に溜まっている水が袋についてしまい交換時に床を汚してしまいます。

そうならないように、まずは図のように45リットル程度のポリ袋を便器に被せ、その上に便座を下ろします。そして、便座の上から携帯トイレを取り付けることをおすすめします。このようにして携帯トイレのみを交換すれば水が滴ることはありません。

詳しい使い方や具体的な製品については、こちらを参考にしてください。

日本全国、いつどこで大雨による被害が起きるかわかりません。携帯トイレは、地震等による停電時にも役立ちますので、絶対に備えて頂きたいアイテムです。

特定非営利活動法人日本トイレ研究所 代表理事

災害時のトイレ・衛生調査の実施、小学校のトイレ空間改善、小学校教諭等を対象にした研修会、トイレやうんちの大切さを伝える出前授業、子どもの排便に詳しい病院リストの作成などを実施。災害時トイレ衛生管理講習会を開催し、人材育成に取り組む。TOILET MAGAZINE(http://toilet-magazine.jp/)を運営。〈委員〉避難所の確保と質の向上に関する検討会・質の向上ワーキンググループ委員(内閣府)、循環のみち下水道賞選定委員(国土交通省)など。書籍:『トイレからはじめる防災ハンドブック』(学芸出版社)、『もしもトイレがなかったら』(少年写真新聞社)など

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