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甲子園球場の歓声が届く西宮養護学校を訪問 優勝を誓った若トラたち

岡本育子フリーアナウンサー、フリーライター
児童、生徒からの質問に答える秋山投手(左)、松田投手(中)、江越選手(右)。

きのう15日の午後、阪神タイガースの秋山拓巳投手、江越大賀選手、松田遼馬投手の3人が、西宮市立西宮養護学校を訪問しました。これは2010年からの恒例行事、これで6回目です。会場の体育館には小学部1年生から高等部3年生までの全児童と生徒72人、先生や介護の方や保護者の皆さんが早くから集まり、熱気ムンムン!選手が登場すると拍手と歓声に包まれました。

選手控室のホワイトボードには、歓迎の文字。
選手控室のホワイトボードには、歓迎の文字。

3選手の挨拶、代表生徒の歓迎の言葉に続き、さっそく『質問コーナー』がスタート。箱の中には学年ごとに考えた質問の紙が入っていて、引いたら3人がその子たちがいるところへ行って答えます。最初に引いた松田投手が「小学部5、6年生」と質問者を読み上げた途端に「キャアー!」と大歓声でしたねえ。その後も、抽選会で景品が当たった時のような歓声で、引いた選手も嬉しそうです。

11の質問にズバッと回答?

◆Q1 小学部5、6年生の質問「金本監督はどんな人?」

松田「厳しい人ですね。勝ちにこだわる。来年は期待に応えられるよう頑張りたいと思います」

秋山「この3人のうち唯一、現役時代も知っていますが、年齢が離れていて近寄りがたいですね。今もそうですけど。まあ…怖いかなっていう(笑)」

江越「まず見てわかると思いますけど、選手より体がデカイ(笑)。もちろん厳しいけど、選手以上に勝ちたい気持ちが強いですね。自分たちが応えられるように頑張ります」

司会担当の先生が「1問目から答えにくい質問で」と言われて、3人も苦笑いです。

◆Q2 中学部3年生の質問「私たちは修学旅行でUSJへ行きました。選手同士で遊びに行くことはありますか?どこへ行きますか?」

秋山「ちなみに選手同士でUSJへ行ったことはないですね。僕らは体が大きいので、人の多いところへ行ったら目立っちゃうんで。でも選手同士で釣りに行ったりしている人はいます」

松田「今オフで、僕はゴルフが好きなのでゴルフに行ったりします」

江越「僕はUSJがけっこう好きなので何回か行ったことがありますけど、選手同士とか大勢で行くことはないですね。普段、外に出るのは買い物くらい。買い物は選手同士で行きます」

これは一番最初に挨拶をするところです。左から松田、秋山、江越の3選手。
これは一番最初に挨拶をするところです。左から松田、秋山、江越の3選手。

◆Q3 高等部3年生「野球で一番嬉しかったことは何ですか?」

江越「プロに入ってタイガースファンの応援です。試合で打ったりすると声援や拍手がすごくて、それが一番嬉しかった」

松田「けっこう前になりますが、高校の時。あまり強くなかったので甲子園に出場したことが一番です」

秋山「小さい時からの、プロ野球選手になるっていう夢を実現できたことが一番ですね。これからもっと活躍して応援してもらえるようにしたい」

◆Q4 小学部4年生「西宮市のおすすめスポットを教えてください」

松田「そりゃもう甲子園球場しかないんじゃないかと」。ここで歓声。「甲子園にぜひ足を運んでください!」

秋山「どういうおすすめが欲しいですか?」と逆質問。すると「おいしいお店はありますか?」と聞かれ「えーと、もと阪神選手の葛城さんが阪神西宮駅近くで焼き鳥屋さんをやっていて、葛城さん自身もお店に出ているので、ぜひ行ってください」

江越「僕もまだ関西に来て2年目なので…頑張って探します(笑)」

◆Q5 小学部2年生「僕はシュークリーム、特にファミリーマートのが好きなんですけど、好きなスイーツを教えてください」

秋山「チョコレートが大好きですね。どこのというのはないですが、甘いものは全般的に大好きです」

松田「僕はセブンイレブンのシュークリームです!」

江越「僕も甘いものは好きです。コンビニのアイスが好きですね。一番好きなのは、青い袋(と言ったような)のビスケットサンドです」

『質問ボックス』さん(右)と、楽しい進行をしてくださった司会者さん。
『質問ボックス』さん(右)と、楽しい進行をしてくださった司会者さん。

◆Q6 高等部1年生「子どもの頃はどこのファンでしたか?」

江越「僕は…読売ジャイアンツです。これには理由があって、僕の地域ではジャイアンツ戦しか放送がなくて。おじいちゃんがジャイアンツファンだったから」

松田「僕はソフトバンク、ダイエーです。地元が九州なので、すごく応援していました」

秋山「僕のとこも田舎で巨人戦しか放送がなくて、ずっと巨人に憧れていました。松井秀樹さんとか、上原浩治さんとかに憧れていました」

◆Q7 中学部1年生「どうすればボールが速くなりますか?」

松田「そうですね。僕が知りたいくらいですね(笑)。ご飯をたくさん食べて大きくなってください」

秋山「僕は体がこんなに大きいんですけど、球はあんまり速くないんで。いっぱい食べていっぱい練習することだと思います」

江越「僕はピッチャーじゃないので詳しくわからないけど、やっぱりちゃんとしたフォームで、しっかり…ホニャララ」。最後の方は早口で一気に話し、自ら強制終了してしまったので聞き取れず。司会の先生からも「ちょ、ちょっと待ってください。今なんて?」と突っ込まれていました。

◆Q8 小学部3年生 「子供の頃、好きだった遊びは何ですか?」

秋山「家の中にはいなかったですねえ。外でドッジボールしたり。気づけばみんなで野球をしていたと思います」

松田「小さい頃は鬼ごっこ。あと僕はサッカーが好きなので、ほんとサッカーばかりしていました」

江越「外で遊ぶことが多かった。常に体を動かして気づいたらキャッチボールをしていたし。鬼ごっこや秘密基地を作ったりもしました」

◆Q9 中学部2年生 「クリスマスのご予定を教えてください」

江越「僕の予定は…野球教室です」。会場全体から「えええーーーーーー!?」という大きな声と笑いが起こり、松田投手も「僕も“ええ~!”なんですけど」という突っ込み。

秋山「僕と松田は独身で、江越が最近結婚したんで」と言うと、待っていましたとばかりに場内から拍手とお祝いの言葉。「江越は奥さんと過ごすでしょう。僕らは独身組で寂しくご飯でも食べに行きます(笑)」

松田「(秋山投手の言葉を受け)僕は遠慮しとこうかなと思います。彼女とご飯でも…というのはウソです。彼女いないんで」

松田投手(左)のこの顔を見て、思わず笑う秋山投手。
松田投手(左)のこの顔を見て、思わず笑う秋山投手。

◆Q10 小学部1年生 箱から引いた松田投手は質問を見るなり「これはヤバイ!」とひとこと。そして「1年生みんな歌が大好きです。好きな歌を歌ってください」と読み上げました。ここまで質問を引いた選手から順に答えていたし、引き当てた責任もあって松田投手が「僕の一番好きな歌を歌います!」と宣言。そして「六甲おろしに~♪」と歌い出し、3か所ほど歌詞が出て来なくて「ふーんふーんふーん」とハミングになっていたものの、大きな声で1番を完唱しました。あと2人は歌わずに最後の質問へ。

◆Q11 高等部2年 「仲の良い選手は誰ですか?」

秋山「同い年が6人いるので、岩貞、梅野、原口とかといっしょにいることが多いですね」

松田「江越さん。長崎出身で同じだし、きょうも一緒にいるぐらいなので」

江越「松田とはあまり仲良くない(笑)。いえ、仲はいいですけど、調子に乗ってるんで(笑)。仲いいです。ご飯を食べに行ったりしています。同じ長崎出身なので、お互い高め合いながら頑張っていきたいですね」

締めの挨拶で激励された3人

これで質問コーナーは終了しました。続いて3選手と児童、生徒も皆さん、先生や介護の方々みんなでダンスタイム。フォークダンスのように1対1で手を合わせて踊り、また次へずれていくというものです。レクチャーされた振付を選手たちもすぐ覚え、ポンポンを手に歌いながら踊っていました。

ダンスタイムの振り付けを聞いている3選手。大丈夫かしら?
ダンスタイムの振り付けを聞いている3選手。大丈夫かしら?

ダンスのあとは選手からのプレゼント(サイン入りTシャツを全員に)の発表があり、最後は選手1人ずつが挨拶。トリの江越選手が「短い時間でしたが、すごく楽しかったです。来シーズンはしっかり結果を残して、優勝して、ここにいる皆さんに喜んでもらえるように頑張ります!」と締めました。

そして生徒を代表し、児童生徒会長で高等部3年生の畑本幸希くんが「きょうは来てくれてありがとうございました。僕も皆さんに負けないよう勉強を頑張ります。優勝めざして頑張ってください!」とお礼の挨拶。さすが生徒会長さんです。

では、控室に戻った選手3人に感想などを聞きましたので、ご紹介しましょう。

「僕自身も楽しかった!」

まず松田投手に、学校訪問をしたことがあるか尋ねると「初めてです」という答え。地元では?「野球教室くらいですかねえ」。慈善活動に興味は?「あります。僕らにもできることがあったら、やりたいと思います」。本当に楽しい時間でしたね。「こういうオフの機会しか(触れ合える)機会がないので、喜んでもらえたら嬉しい。僕自身も楽しかったし、それでみんなが喜んでくれたら」。歌も?「歌は任せてください(笑)」

ポンポンを持ってダンスタイム。楽しそうにステップを踏んでいます。
ポンポンを持ってダンスタイム。楽しそうにステップを踏んでいます。

オフの練習は順調?「はい。ウエートとか、しっかりやっています」。来年2月1日まで、選手それぞれにノルマがあるそうで。「ありますね。それを達成して、それでもっと上に、(ノルマを)超えるくらいの気持ちで」。どこに重点を置いて?「体全体で、僕は下半身メインにやっています。去年の終盤からウエートの仕方(フォームとか重さとか)が変わって、ことしの秋季キャンプ以降も継続できていると思うので、来年2月まで続けていきたい」

年明けの自主トレは?「年明けというより、今は鳴尾浜でやること、今のメニューをこなすことを考えています」。ずっと休みなく?「はい。年末に(長崎へ)帰ってからもずっと練習しますし」。改めて来年の目標を。「優勝、でしょう。ことしの4位は悔しかったんで、優勝したいですね。それに貢献できるように頑張ります」。きょう子どもたちとも約束しましたからね。「はい!」

センターでのレギュラーを狙う

ついで、結構、楽しげに松田投手をいじって笑いを取っていた江越選手。「こういう施設には初めて来ました。触れ合ってみて、応援してもらっているんだなと実感しました。活躍して、優勝して応えたいですね」という感想です。質問コーナーで子どものころは巨人ファンだったと答えちゃいましたね。おじいちゃんを理由に。「おじいちゃんも僕が出ている時は阪神ファンですよ(笑)」。伝統の一戦は、おじいちゃんにもつらいかな?

これもダンスタイム。照れながらも優しい笑顔の江越選手ですね。
これもダンスタイム。照れながらも優しい笑顔の江越選手ですね。

その巨人に、陽岱鋼選手の移籍が決まりました。ライバルが同じリーグに増えるわけですが「それはまず自分が試合に出られないと、その場に立てないので」とのこと。また阪神にも糸井選手が来て、外野手のポジション争いも熾烈です。「センター、ライトは固定と言われているけど、しっかりそこでレギュラーを狙っていきたい」

センターへのこだわりはありますか?「ずっとセンターやっていたという、ただそれだけなんですけど。守り慣れているし」。レフトは?「難しいですが、レフトを守れと言われたらやらないと仕事できないので。ただ、あくまでもセンター(定位置)という気持ちで挑戦していきたいと思います」

評価されたことを裏切らないように

最後は秋山投手。西宮養護学校は甲子園球場から直線距離で1キロ以内という位置にあります。秋山投手は、ここまで甲子園の歓声が届くと教えられて「歓声が聞こえるくらい盛り上げていけるよう頑張ります」と活躍を誓いました。

オフは「24日まで球団の施設が使えるので練習して、使えない時はジム中心で。東京の渋谷に複合施設ができたので、そこでやらせてもらいます。投げられる場所もあるとか。24日から27日までやって、愛媛には年末も1日しか帰らないですね」とトレーニングみっちりのスケジュールみたいです。渋谷の複合施設とは『dat(diamond allians town)』という、スポーツジムやフィットネス、ゴルフ、エステ、治療院などを兼ね備えたもの。

同じくダンスタイムの秋山投手。一緒に歌も口ずさんでいましたよ。
同じくダンスタイムの秋山投手。一緒に歌も口ずさんでいましたよ。

「本格的ではないけどブルペンで、夏以降の感覚がよかったので忘れないように。秋季キャンプは追い込んだ中でも投げられていたから、この時期も休まずにどれだけできるかというとこですね。秋季キャンプで評価してもらったこともある。それを裏切らないよう、オフを過ごしていきたい」

甲子園球場から届く大歓声の、その中に秋山投手が、江越選手が、松田投手がいることを西宮養護学校の皆さんは楽しみにしているでしょう。優勝という約束も。

フリーアナウンサー、フリーライター

兵庫県加古川市出身。MBSラジオのプロ野球ナイター中継や『太田幸司のスポーツナウ』など、スポーツ番組にレギュラー出演したことが縁で阪神タイガースと関わって約40年。GAORAのウエスタンリーグ中継では実況にも挑戦。それからタイガースのファームを取材するようになり、はや30年が経ちました。2005年からスポニチのウェブサイトで連載していた『岡本育子の小虎日記』を新装開店。「ファームの母」と言われて数十年、母ではもう厚かましい年齢になってしまいましたが…1軍で活躍する選手の“小虎時代”や、これから1軍を目指す若虎、さらには退団後の元小虎たちの近況などもお伝えします。まだまだ母のつもりで!

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