楽天カード「2枚持ち」に意外な需要があった
楽天カードは2021年6月から「2枚目」を発行するサービスを始めました。それまでカードの発行は1人1枚でしたが、2枚持ちが可能になったわけです。果たしてそんなに需要はあるのか、少々疑問に思っていたのですが、実際には好調のようです。
発行枚数2300万枚を超える楽天カードは、楽天のフィンテック事業における中心的な存在です。10月12日にオンラインで開催された「Rakuten Optimism 2021」には楽天カード代表取締役社長の穂坂雅之氏が登壇。2枚目サービスによる発行枚数は「3ヶ月で50万枚を超えた」との数字を明らかにしました。
なぜ、クレジットカードを2枚も持つ必要があるのでしょうか。まずは使い分けのニーズがあります。趣味の買い物と毎月の引き落とし、個人用と仕事用など、利用シーンによってお財布を分けたいときに複数のカードがあると便利です。
国際ブランドやカードのデザインで選びたいというニーズもあるようです。楽天カードの国際ブランドはVisa、Mastercard、JCB、American Expressの4種類があります。楽天がグッズを展開する「お買いものパンダ」など、カードの絵柄もいくつか用意されています。
これらのニーズは単に「クレジットカードを2枚持つ」だけでも満たせますが、あえて「楽天カードを2枚持つ」理由として考えられるのが、楽天経済圏の存在です。楽天ポイントを効率的にためるべく、より多くの支払いに楽天カードを使いたい人が着実に増えているようです。
こうしたニーズの高まりを踏まえ、楽天カードは発行枚数「3000万枚」、ショッピング取扱高「30兆円」、取扱高シェア「30%」という「トリプル3」を目標に掲げています。
2枚目サービスでは、発行枚数を増やすのはもちろん、取扱高の増加につながる「ウォレットシェア」の拡大も図っています。他社カードで支払っていた分を楽天カードに切り替えてもらうことで、お財布の中でのシェアを高める作戦です。
楽天カードは世界を狙えるか
楽天グループのフィンテック事業を統括する立場でもある穂坂氏は、さらにその先の姿についても言及しています。
「取扱高30兆円を達成すれば、米国の四大銀行に割って入る世界規模の会社になる。楽天カードは世界に進出していくが、世界での取り扱いを加味して30兆円ではなく、日本の市場をおさえるだけで30兆円は達成できる」(穂坂氏)
実際に楽天カードは2015年に台湾に進出しており、日本と同様に年会費無料やポイント還元で人気を博しているようです。また、2021年1月には楽天銀行も台湾での営業を始めています。さらに多くの国や地域への展開もあるのでしょうか。
楽天の海外事業といえばEコマースなどではあまりうまくいかなかった印象が残っています。金融サービスについても、国境を越えて展開するのは容易ではないものの、こうして楽天カードが世界規模で頭角を現しつつあるのは興味深いところです。