南から暖湿気が流入し、北陸から東北は大雨・西日本から関東を中心に梅雨明けを思わせる今年一番の暑さ
梅雨と暑さ
令和6年(2024年)は、梅雨がないとされる北海道を除き、各地で平年より遅い梅雨入りとなりました。
その後、6月20日から23日に沖縄・奄美地方が平年より早く梅雨明けしましたので、現在の梅雨は、九州から東北までということになります(表)。
今年の梅雨は西日本を中心に大雨となることが多く、6月21日には鹿児島県で、6月28日には静岡県で線上降水帯が発生しました。
7月2日も、梅雨前線が西日本から東日本の太平洋側にのび、西日本から東日本では南から暖かくて湿った空気が流入し、大気の状態が不安定となって雷を伴った激しい雨が降った所もありました。
7月2日に全国で気温が一番高かったのは、宮崎県・赤江の36.1度、次いで宮崎の35.5度、鹿児島県・名瀬の35.4度で、3地点が、最高気温が35度以上の猛暑日となりました。
また、最高気温が30度以上の真夏日を観測したのが238地点(気温を観測している全国914地点の約26パーセント)、最高気温が25度以上の夏日を観測したのが736地点(約81パーセント)もありました。曇りや雨の所があるにもかかわらず、多くの所で真夏日や夏日を観測しました。
今年は、6月14日に真夏日418地点(約46パーセント)、6月12日に夏日825地点(約90パーセント)を観測していますが、この時の暑さは、大陸育ちの高気圧におおわれたところに、強い日射が加わってのものですので、湿度が比較的低い暑さです(図1)。
しかし、梅雨に入ってからの暑さは、南海上から暖かくて湿った空気が流入しての暑さで、熱中症になりやすい湿った暑さです。
7月3日は、梅雨前線が西日本から北上し、西日本から晴れて気温が上昇する所が多くなる見込みです(タイトル画像)。
このため、7月3日は西日本から関東を中心に、猛暑日の予想は70地点(約8パーセント)、真夏日の予想は561地点(約61パーセント)、夏日の予想は862地点(約94パーセント)と、予想通りなら、いずれも今年一番の暑さとなります。
そして、この暑さは、翌4日も続き、北関東では、最高気温が40度に迫る、あるいは超すかもしれないという記録的な暑さとなるみこみです(図2)。
こうなると、西日本から関東甲信では、梅雨はどこへいったのかという感じになります。
しかし、梅雨前線がなくなったわけではありません。
北上した梅雨前線は北陸地方から東北地方に停滞しますので、北陸地方から東北地方では、しばらくは大雨に注意・警戒が必要です。
ウェザーマップが発表している16日先までの仙台の予報をみると、降水の有無の信頼度が5段階で一番低いEや、二番めに低いDが多い予報ですが、3日から4日にはお日様マーク(晴れ)があります。そして、5日以降は傘マーク(雨)や黒雲マーク(雨の可能性がある曇り)の日が続く予報です(図3)。
梅雨明けの二つの型
梅雨明けには二つの型があります。
一つは、太平洋高気圧によって梅雨前線が北へ押しあげられて梅雨明けとなる「梅雨前線北上型」の梅雨明けです。
もう一つは、梅雨前線が南下しながら弱まる「梅雨前線弱まり型」の梅雨明けです。「梅雨前線弱まり型」の時は、「梅雨前線北上型」に比べて、北から上空に寒気が入りやすいという特徴があります。雨が多い不順な夏になることが多いというのが「梅雨前線弱まり型」の梅雨明けです。
今週の太平洋高気圧が強まって梅雨前線を押しあげ、晴天が続くというのは、「梅雨前線北上型」の梅雨明けに近い動向です。
ウェザーマップが発表している16日先までの福岡の予報をみると、7月7日の七夕までは、お日様マーク(晴れ)が続きますので、このまま梅雨明けと考えることもできます(図4)。
しかし、来週には再び傘マーク(雨)や黒雲マーク(雨の可能性がある曇り)の日が続く予報です。しかも、稲妻マーク(雷)もついていますので、来週は大荒れの日が続く予報です。
梅雨明けの判断をする気象庁の予報官が、今週の晴れ間を、「早い梅雨明け」とするか、「長い梅雨の中休み」とするかは分かりませんが、どちらにしても難しい判断です。
いずれにしても、梅雨明けのような暑い日が続きますので、こまめに水分をとるなど、熱中症には厳重に警戒してください。
タイトル画像、図2、図3、図4の出典:ウェザーマップ提供。
図1の出典:ウェザーマップ提供資料をもとに筆者作成。
表の出典:気象庁ホームページ。