介護保険の認定で“障害者控除” 親を扶養している人、親が課税の人必見! 自治体によっては要支援も
今年も確定申告の時期がやってきました。2月16日(水)からです。介護保険の要介護認定を受けていることで、障害者手帳を持っている方と同じように控除の適用を受けられるケースがあることを知っていますか。あまり知られていないうえ、申請が必要。親や配偶者、ご自身が要介護認定を受けている人は確認必須です。親を扶養している場合、「扶養控除」に加え、「障害者控除」を受けられるかも……。
“障害者に準ずる”と認定する「障害者控除対象者認定書」
「障害者手帳」とは、何らかの障害によって日常生活に支援を必要とする方に対し、自治体が交付する手帳です。
手帳を持つ方を支援する制度の1つに税負担の軽減があります。所得税・住民税の「障害者控除」です。本人または同じ家計で生活している配偶者や扶養親族に障害がある場合に一定額が控除されます。
一方で、高齢になってから、身体の衰えや認知症などによって日常生活に支援や介護が必要となることもあります。その段階で「障害者手帳」の交付を申請することもできるのですが、あまり一般的ではありません。
そこで、手帳を取得していなくても、障害者に準ずる方として、税負担が軽減されることがあります。軽減を受けるには、手帳の代わりに「障害者控除対象者認定書」を入手する必要があります。
自治体によっては「要支援」も対象
「障害者控除対象者認定書」が交付される対象は、自治体ごとに異なります。要介護認定を受けていれば、すんなり認定される自治体と、要介護認定プラスαの要件を設けている自治体があります。
一例として、埼玉県川越市の場合を見てみましょう。要介護1以上であれば、他に要件はなく、申請すれば「障害者控除対象者認定書」は交付され、少なくとも所得税27万円・住民税26万円が控除(特別障害者控除にはプラスαの要件あり)。
「障害者控除対象者認定書」交付要件(埼玉県川越市の場合)
●特別障害者控除対象者認定書
要介護4・5の方
要介護1から要介護3で、一定の要件
所得控除額:所得税40万円・住民税30万円
●障害者控除対象者認定書
要介護1から要介護3で、上記以外の方
所得控除額:所得税27万円・住民税26万円
注:手帳を持っているかたは手帳で控除
*川越市のホームページより
自治体によっては、要支援から対象としているところもあります。特別障害者控除の対象となった場合、同居だと控除額はさらに大きく。
必ずとは言えませんが、これまで取材してきた感触では、プラスαの要件があったとしても要介護3以上くらいだと交付されるケースが多いと思います。
「障害者控除対象者認定書」交付要件(愛媛県松山市の場合)
以下1.及び2.を満たす方が対象
1. 65歳以上であること
2. 要支援または要介護の認定を受けている者
*松山市のホームページより
親を扶養にしている人は「年末調整」か「確定申告」で!
自分や親が、対象となるかどうかについては、住んでいる自治体の役所(高齢福祉課や介護保険課、障害福祉課)で確認しましょう。まずインターネットで「自治体名称+障害者控除対象者認定書」と検索し、概略を知ったうえで電話で問い合わせるのがお勧めです。
判断材料となる要介護度は、申告の対象となる年の12月31日(基準日)でのものとなります。
「障害者控除対象者認定書」を交付された親を扶養している場合、「扶養控除」に加え、「障害者控除」を受けられます。“年末調整”か“確定申告”で。年末調整で控除しなかった人は(間に合わなかった人も)確定申告をしましょう。
扶養にしておらず、親本人が課税されている場合は、親本人が“扶養親族等申告書”か“確定申告”で損をしないようにしたいものです。
この記事を読むまで「『障害者控除対象者認定書』なんて知らなかった」という人もいるかもしれません。対象に該当するなら、当該年を含め過去5年前までさかのぼって交付されます。そこそこ額が大きいので、面倒がらずにトライしてみてください。