低価格な「特別養護老人ホーム」への入居を早める「5つのポイント」
民間の高齢者施設はすぐにでも入居できるところが少なくありません。しかし、割安感のある特別養護老人ホーム(特養)は数年待ちとなっているところもあります。
特養は弱者救済の使命あり
特養とは、介護保険制度の施設介護サービス計画に基づいて入浴・排せつ・食事などの介護、日常生活上の世話、機能訓練、健康管理および療養上の世話を行うところです。
申し込めるのは、原則、要介護3以上。
費用負担が少ないことから人気が高く、待機者が多いところも。とはいえ、特養は、弱者救済の使命があり、困っている人を優先して助けていく責務を背負っており、状況によっては早く入れるケースもあります。
ポイント制で必要度の高い人から入居
必要度合いの高い人から入居できるよう、入居の基準をポイント制で定めています。一例ですが、下表はさいたま市の特養の入所指針です。
要介護度が重いほどポイントは高くなり、在宅介護の困難性が加点されます。主たる介護者がいない場合は加点が大きくなっています。つまり、子が親と別居のケースでは必要性が高いとみなされる可能性があります。
さらに、居宅サービス利用が多いほどポイントは高くなります。
判定基準は自治体ごとに違いますが、おおむね似た傾向です。ホームページに掲載しているところも多いので確認してみましょう。役所の介護保険の窓口に行けば、詳細を教えてくれるはずです。
また、数か所の特養に申し込むことが一般的です。そのため、待機者数を聞くと多くて驚くかもしれませんが、実数の4~5倍になっていると考えてよいと思います。
一方、地域によっては料金の安い有料老人ホームに入居者が流れ、特養に空きがあるところもあるようです。「場所」を広げて探してみるのも方法です。
もし、一時的に別の施設に入居して特養が空くのを待つなら、特養も持つグループ法人を検討するといいかもしれません。
介護を行う家族の事情が変わったときには伝える
介護者が病気になった際には、申し込み後でも必ず連絡をして事情を伝えてください。高齢の親がもう一方の親を介護している場合も、介護者の親に病気などの異変があったときには連絡しましょう。
理由次第で順番を早めてもらえる可能性がありますし、「 緊急枠」もあるはずです。 また、状況によっては要介護1、2でも入居できるケースがあるので、 事情がある場合は、最初からあきらめずに説明するようにしましょう。
◆特養入居の待機期間を短くするコツ
1,複数に申し込む。
2,場所を広げて探してみる。
3,必要な居宅サービスは利用する。
4,介護者の状況が変わった時には、申し込み後でも連絡。
5,「ダメに決まっている」と行動前にあきらめない。
※この記事は2024年11月7日に発売された自著『高齢者施設 お金・選び方・入居の流れがわかる本 第3版』(翔泳社)から抜粋し一部改編し転載しています。