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バルサの主力の高齢化と、デ・ヨングに課せられたミッションと。

森田泰史スポーツライター
ドリブルするデ・ヨング(写真:なかしまだいすけ/アフロ)

クラシコを、落とした。リーガエスパニョーラ3連覇を目指すバルセロナに、暗雲が立ち込めている。

現地時間1日にリーガエスパニョーラ第26節が行われ、バルセロナは敵地サンティアゴ・ベルナベウでレアル・マドリーと対戦した。伝統の一戦、クラシコで0-2と敗れ、バルセロナが苦しい状況に追い込まれた。

■バルセロナの補強

近年のバルセロナは「補強下手なクラブ」と化している。2014年以降の加入選手で、現在もなおレギュラーポジションを確保しているのはマーク=アンドレ・テア・シュテーゲンとルイス・スアレスのみだ。

そんな中、昨年冬に獲得を決めたのがフレンキー・デ・ヨングだった。ジョゼップ・マリア・バルトメウ会長が直々にアムステルダムに赴き、最終的に移籍金固定額7500万ユーロ(約90億円)+成果報酬額1100万ユーロ(約13億円)で、今季開幕前の加入が決定した。

デ・ヨングを欲しがっていたのは、バルセロナだけではない。ジョゼップ・グアルディオラ監督が率いるマンチェスター・シティ、資金潤沢なパリ・サンジェルマン、複数クラブが彼を狙っていた。

パスを出せて、ドリブルができる。トータル・フットボールで名を馳せたオランダのアカデミー出身選手で、ゆえにデ・ヨングへの期待値は高かった。バルセロニスモ(バルセロナ主義)は彼の加入を大いに歓迎した。

■メッシという王様

デ・ヨングは2018-19シーズン、アヤックスでブレイクした。21歳の若者が、飄々(ひょうひょう)とボールを保持しながら中盤を駆け抜ける。デ・ヨングを筆頭に若い選手が躍動したアヤックスは、チャンピオンズリーグで決勝トーナメント突入後、レアル・マドリー、ユヴェントスを次々と破り、トッテナムを敗退寸前まで追い詰めた。

アヤックスで、デ・ヨングは主に「組み立て」の仕事を任せられていた。つまり、2人のセンターバックを協力しながら、ビルドアップでボールを前進させていく。ボランチに配置され、攻撃時においては最終ラインの左サイドに下がり、相手のプレス網を掻い潜っていく。

ただ、そのタスクがこなせていたのは、ラセ・シェーネという相棒がいたからだ。デ・ヨングとダブルボランチを組んでいたシェーネは、ベテランの選手らしく、実に巧妙にデ・ヨングの位置を見ながら自身のポジションを修正していた。

だがバルセロナでは、リオネル・メッシという「絶対の王」がいる。メッシこそが規範であり、バルセロナのルールなのだ。メッシを快適にプレーさせるというのが、ある種、チームメートたちの「ミッション」である。そして、メッシは援助に違わず必ず結果で報いる。それが現在のバルセロナだ。

■主力の高齢化

2014-15シーズン、ルイス・エンリケ当時監督の下、バルセロナはリーガエスパニョーラ、コパ・デル・レイ、チャンピオンズリーグで優勝を達成した。バルセロニスタはトリプレテ(3冠)の歓喜に酔った。

だが、その年、大きな変化が訪れていた。2015年1月、L・エンリケとメッシの確執を発端に、空中分解しかけていた組織を収めるため、バルトメウ会長はスポーツディレクターを務めていたアンドニ・スビサレッタの解任と会長選の前倒しを決断した。「解任ブースト」が功を奏した格好だった。

この3年で、バルセロナはおよそ7億ユーロ(約840億円)を補強に投じた。だが、栄華を極めたグアルディオラ監督率いる「ペップ・チーム」からの移行はままならず、シャビ・エルナンデス、アンドレス・イニエスタの後継者は未だ見つけられていない。

そして、メッシ(32歳)、セルヒオ・ブスケッツ(31歳)、ジェラール・ピケ(33歳)、スアレス(33歳)と主力選手の高齢化が進んでいる。

バルセロナが足を踏み入れたラビリンスには、出口が見当たらない。ビッグマッチを落とした以上に、厳しい現実が待っているかもしれない。

スポーツライター

執筆業、通訳、解説。東京生まれ。スペイン在住歴10年。2007年に21歳で単身で渡西して、バルセロナを拠点に現地のフットボールを堪能。2011年から執筆業を開始すると同時に活動場所をスペイン北部に移す。2018年に完全帰国。日本有数のラ・リーガ分析と解説に定評。過去・現在の投稿媒体/出演メディアは『DAZN』『U-NEXT』『WOWOW』『J SPORTS』『エルゴラッソ』『Goal.com』『ワールドサッカーキング』『サッカー批評』『フットボリスタ』『J-WAVE』『Foot! MARTES』等。2020年ラ・リーガのセミナー司会。

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