月ぎめで新聞を購読している人の実態を探る
月ぎめの新聞購読者率は大よそ8割
新聞購読の最大のルートは世帯単位での月ぎめ定期契約(世帯単位・月単位で契約を交わし、原則毎日新聞を世帯まで配達してもらう購入方式)。実態としてどれぼとの人が購読しているのだろうか。公式な発行部数だけでは把握しにくい現状を、財団法人新聞通信調査会が発表したメディアに関する全国世論調査から確認していく。
今調査対象母集団では回答時点(2014年9月)で78.0%の人が月ぎめで新聞を取得している。
月ぎめの購読様式として、1世帯で複数の新聞を購入する場合もある。例えば一般紙と業界紙、業界紙とスポーツ紙といった具合。そこで月ぎめで取っている人に対し、どのような種類の新聞を取っているのかを複数回答で聞いた結果が次のグラフ。「全国紙」とは朝日、毎日、読売、産経、日経を、「ブロック3紙」とは北海道、中日、西日本新聞を意味する。
全国紙は53.9%、県紙・地方紙が35.0%、ブロック紙が13.6%。スポーツ紙や夕刊紙、その他の新聞(業界専門紙など)は1割にも満たない。全部を足すと111.3%になるため、同一区分内で複数紙を購読している可能性もあるが、それでも複数購読はさほどいない。
そこで「同一区分内で複数紙を購読」のうち、一番ありそうなパターンとなる全国紙に関して、何紙を取っているかを聞いた結果が次のグラフ。6.5%が複数紙を購読している。
大よそ15人強に1人。全国紙の複数購読者はそれだけいることになる。
月ぎめ新聞購読者の内情を探る
月ぎめによる新聞購読者の動向を、経年変化で、さらには属性別で確認していく。まずは経年変化。どの種類でも良いので月ぎめで新聞を購読しているか、具体的にどの新聞を取っているか、その変化を見たのが次のグラフ。
2008年度時点では88.6%だった月ぎめ新聞購読者も、直近の2014年度では78.0%。10%ポイントほどの減少。具体的な中身を見ると、地域性の強い県紙・地方紙はほとんど変化がないが、全国紙とブロック3紙が漸減し、これが全体値を押し下げている。
特に全国紙の減少ぶりは著しく、大よそ3/4・13.1%ポイントもの減少。新聞で読まれている記事の上位には「地元関連」「社会関連」が名を連ねているが、その需要によりマッチした新聞が好まれ取られ続けているということか。
これを属性別に見たのが次のグラフ。
性別では特に違いは無く漸減、世代別では50代以降はさほど大きな減少はないものの、それより若い世代における加速度的な減少ぶりが見られる。特に中堅層における減り方は著しく、この世代における「新聞に対して距離を置く姿勢」が浮き彫りにされている。
他方18歳から19歳にかけて、2013年度以降上昇する動きが確認できる。これは単にイレギュラーな値なのではなく、新学習指導要領によって小中高校で新聞などを教材として活用することが示されたことを受け、学校などで手に取る機会が増えたことから、自宅でも取る・取ってもらう人が増えたものと考えられる。要は制度に助けられた形。
月ぎめは新聞にとって最後の砦的存在の仕組みではあるが、それにおいても確実に利用者は減少している。とりわけ全国紙では今まで以上に積極的かつ効果のある対策を講じなければ、さらなる減少は避けられまい。
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