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藤井聡太竜王4度目の優勝なるか――第16回朝日杯将棋オープン戦準決勝、決勝展望

古作登大阪商業大学アミューズメント産業研究所主任研究員
デビュー以来数々の最年少記録を塗り替えてきた藤井聡太竜王(筆者撮影)

 第16回朝日杯将棋オープン戦(朝日新聞社主催)は2月23日東京都千代田区「有楽町朝日ホール」で準決勝と決勝が行われる。

 ベスト4に勝ち進んでいるのは藤井聡太竜王(20)=王位・叡王・王将・棋聖、渡辺明名人(38)=棋王、豊島将之九段(32)、糸谷哲郎八段(34)。

 データを基に優勝の行方を予想してみた。

藤井竜王が最有力

 本棋戦では藤井竜王が第11、12、14回で優勝、渡辺名人が第6回優勝(準優勝3回)の実績があり、豊島九段と糸谷八段の2人は初優勝がかかる。

 準決勝の対戦カードは藤井竜王-豊島九段戦と渡辺名人-糸谷八段戦。それぞれの対戦成績と最近10局の勝敗は以下のとおり。

<藤井竜王の対戦成績と最近10局>

対渡辺名人 14勝2敗

対豊島九段 20勝11敗

対糸谷八段 6勝0敗

最近10局 7勝3敗

<渡辺名人の対戦成績と最近10局>

対藤井竜王 2勝14敗

対豊島九段 22勝16敗

対糸谷八段 18勝7敗

最近10局 4勝6敗

<豊島九段の対戦成績と最近10局>

対藤井竜王 11勝20敗

対渡辺名人 16勝22敗

対糸谷八段 22勝7敗

最近10局 6勝4敗

<糸谷八段の対戦成績と最近10局>

対藤井竜王 0勝6敗

対渡辺名人 7勝18敗

対豊島九段 7勝22敗

最近10局 4勝6敗

 データからは、対戦相手全員に勝ち越していて直近10局も7勝3敗と好調を維持している藤井竜王が「大本命」といえる。気になるデータは敗れた3局はいずれも後手番ということ。

 二番手は直近10局6勝4敗とまずまずで年明けから上り調子の豊島九段。2022年度も王位戦七番勝負第1局で藤井王位から先手番で勝ち星を挙げているだけに、振り駒で豊島九段が先手を握れば接戦が予想される。

相居飛車の最新研究が激突か

 今回のベスト4進出者は全員居飛車党のため準決勝、決勝ともに相居飛車の最新型が見られそうだ。

 藤井竜王-豊島九段戦はどちらが先手でも角換わりが本命で、相掛かりの可能性もあるだろう。

 渡辺名人―糸谷八段戦は渡辺名人先手なら矢倉か角換わり、糸谷八段先手なら角換わりに進みそうだ。

 持ち時間40分、勝ち進めば1日2対局の短期決戦なので、各棋士とも入念な事前研究により「藤井対策」を用意してくるはず。波乱が起きても不思議ではない。

大阪商業大学アミューズメント産業研究所主任研究員

1963年生まれ。東京都出身。早稲田大学教育学部教育学科教育心理学専修卒業。1982年大学生の時に日本将棋連盟新進棋士奨励会に1級で入会、同期に羽生善治、森内俊之ら。三段まで進み、退会後毎日コミュニケーションズ(現・マイナビ)に入社、1996年~2002年「週刊将棋」編集長。のち囲碁書籍編集長、ネット事業課長を経て退職。NHK・BS2「囲碁・将棋ウィークリー」司会(1996年~1998年)。2008年から大阪商業大学アミューズメント産業研究所で囲碁・将棋を中心とした頭脳スポーツ、遊戯史研究に従事。大阪商業大学公共学部助教(2018年~)。趣味は将棋、囲碁、テニス、ゴルフ、スキューバダイビング。

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